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織田信長といえば“彼”しかいない 2026年大河ドラマも決定した“大人気俳優”による9年前の大ヒット作品

  • 2025.6.5

2025年6月7日、小栗旬が主演を務める映画『信長協奏曲』(2016年)がフジテレビ系にて放送される。本作は、2016年時点で累計部数450万部を突破した石井あゆみによる同名人気コミック(小学館『ゲッサン』連載中)の実写映画で、興収45億円超の大ヒットを記録。小栗が演じる主人公の高校生・サブローが戦国時代にタイムスリップし、奇しくも同じ顔をした織田信長と出会い、信長として生きることになる物語だ。

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(C)SANKEI

一大プロジェクトのラストを飾る実写劇場版『信長協奏曲』

2014年からフジテレビ開局55周年プロジェクトとして、漫画『信長協奏曲』(のぶながコンツェルト)のTVアニメ・実写TVドラマ・実写劇場映画の同時企画が展開したが、この連動プロジェクトのラストを飾ったのが映画『信長協奏曲』。ドラマ版の直接的な続編で、「本能寺の変」に至るサブローの戦国時代での体験が描かれる。

ごく普通の高校生のサブローは、タイムスリップ後、病弱だという信長から、代わりに信長として生きてくれと頼まれる。最初は逃げ腰だったサブローだが、戦の惨状を目の当たりにするにつれ、信長として生きる覚悟を決め、戦のない平和な世をつくろうと思い始める。歴史音痴のサブローは、桶狭間、上洛、金ヶ崎、浅井朝倉との戦いなど、史実を知らないにもかかわらず、信長が行った通りのことを成していく。

そして、ついに安土城を完成させたサブローは、天下統一も間近と思った矢先、自分と同じようにタイムスリップしてきた松永弾正久秀(古田新太)から歴史の教科書を見せられ、信長はもうすぐ死ぬ運命にあることを知り、衝撃を受ける。だが、運命にあらがい、生き抜こうと決意した彼は、歴史を変えて平和な国を築くことができるのか……?

一人二役で熱演する小栗旬

信長として大奮闘するサブローを演じる小栗が非常に魅力的。現代の言葉を喋り、飄々かつフレンドリーな態度で家臣と接し、それぞれにあだ名を付けるなど、“殿”のイメージとは程遠いサブローだが、有言実行の彼はみんなから慕われるようになっていく。

本物の信長は「明智光秀」と名乗り、頭巾で顔を隠しながら、必要に応じてサブローの影武者をしている。小栗はサブローと信長を一人二役で演じているが、対照的なセリフ回しや所作を見事に演じ分けている上、激しいアクションも多く、圧巻の熱演ぶり。

小栗は、2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』でも織田信長を演じることが発表されたが、『信長協奏曲』と並べて、「シリアスとポップ両方の信長役!」「織田信長と言えば小栗旬」といった声がSNSに上がっている。

強い目力が印象的な山田孝之

本作の冒頭で、羽柴秀吉が幼かった頃に、信長に対して恨みを抱くことになる事件が描かれる。信長への復讐を誓い、暗殺の機会をうかがう秀吉を、山田孝之が怪演しているのにも注目してほしい。山田は主演の小栗に匹敵する名演技で、秀吉がのし上がっていくさまを体現している。特に、強い目力が印象的で、思わず釘付けになる。SNSにも「山田孝之かっこよすぎ」「めちゃくちゃダーク」といったコメントが見られた。

信長の正室である帰蝶は、本物の信長とはうまくいっていなかったが、サブローとは惹かれ合い、深い愛情で結ばれていく。柴咲コウが気の強い帰蝶をチャーミングに表現しているが、サブロー扮する信長を「うつけ」と呼んで、度々ケンカをしながらも、ツンデレ具合がたまらない彼女を好演していて魅力的だ。

常に信長のそばにいる家臣・池田恒興を爽やかに演じているのは向井理。常識人の恒興は、自分のことを「恒っちゃん」と呼ぶ破天荒なサブローに振り回されっぱなしだが、彼の真摯な言動に強く感銘を受け、サブローに仕えていく。恒興役は向井にピッタリのキャラクターという感じで、彼を見ていると笑顔にならずにいられない。

豪華キャストが集うビッグスケールの作品

山田、柴咲、向井と主演級の俳優たちが小栗の脇を固めている『信長協奏曲』だが、現在はNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、やなせたかしにあたる役を演じている北村匠海が、まだ10代の頃に本作に出演したのも見逃せない。彼は森長可役を演じており、初々しい演技を披露している。

さらに、前出の古田や、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)、濱田岳、髙嶋政宏、水原希子らも顔をそろえており、それぞれが個性的な演技を見せている。中でも濱田は徳川家康役なので、サブロー扮する信長の目指す戦のない未来を担う重要な存在を演じている。

豪華キャストが一堂に会し、物語が進んでいく中、大規模な合戦シーンが繰り広げられるが、その迫力は凄まじく、主演の小栗は2017年の「ジャパンアクションアワード」でベストアクション男優賞・優秀賞を受賞した。

異色の本能寺の変の結末とは?

歴史の勉強もろくにしてこなかった男子高校生のサブローが突然、戦国時代にタイムスリップして、織田信長として生きることになり奔走するも、飛躍的な進歩を遂げ、本物の信長から嫉妬される存在に。明智光秀として生きる本物の信長は、虎視眈々とサブローの寝首をかこうと狙うようになるが、彼は自ら信長の座を手放したため、サブローは納得がいかないし、複雑な状況となっていく。

信長自身が光秀としてサブローを狙う本能寺の変にいよいよ突入するといった段階になり、物語はどう決着するのか、一瞬たりとも目が離せない。映画『信長協奏曲』は非常によくできたストーリーになっており、予想外の展開に唸ること必至。一人二役の小栗の熱演を、この機会にぜひ目に焼き付けてほしい。


映画『信長協奏曲』(2016年)

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP