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手取りを増やす4条件…車に乗らない人も生活に直結するガソリンの暫定税率

  • 2024.12.25

「我々は腹をくくっているんです!」と国会で「手取りを増やす」政策の実現に、覚悟を示した国民民主党の伊藤たかえ参議院議員。「103万円の壁」に続いて「ガソリン暫定税率の廃止」、「扶養控除の維持・拡大」と「年少扶養控除の復活」を実現すべく、奮闘中だ。伊藤議員のインタビュー2回目は、103万円の壁の進捗とガソリン減税、そして扶養控除や年少扶養控除についてもうかがった。

お話を聞いたのは…

伊藤たかえ参議院議員

1975年生まれ、名古屋市出身。1998年に金城学院大学文学部を卒業後、テレビ大阪に入社。報道記者として事件取材やドキュメンタリー番組を制作。2006年、資生堂を経てリクルート入社。2016年リクルートでの育休中に参議院議員選挙に初出馬。子育て世帯のリアルを日々永田町で訴え、個人の問題と捨て置かれてきた課題を、それは社会の課題・政治が取り組むべきと“これまでの国会にはなかった”政策提言に努めている。

>>伊藤たかえ公式HP

123万の壁を超えるには…厚すぎる「与党の壁」

―「103万の壁」は、今、「123万の壁」になりましたが、「与党の壁」が厚すぎますね。

伊藤議員:「103万円の壁」には、所得税の課税最低限の話と、扶養控除を受けられる上限年収の2つの意味がありますが、後者の特定扶養控除に関しては、2025年分所得から103万円から150万円に引き上げられることが決まりました。大学生年代のアルバイト問題は僅かながら前進します。一方で、前者の基礎控除の引き上げについての与党が示したのは、物価上昇率と同等の「123万円」に留まり、古川(国民民主)党税調会長の言葉を借りれば『話にならない』状態です。

―123万で終わってしまうのですか?

伊藤議員:いいえ、終わらせはしません。税調会長、政調会長の“上司”である幹事長が急きょ三党会談を行い、12月11日に自民党、公明党、国民民主党の幹事長間で合意した内容の実現に向け、「誠実な協議」を再開することになりました。

―「178万円を目指す」というものですね。

伊藤議員:はい。30年前と比べて最低賃金は73%増になっているので、年収の壁である103万円も73%増の178万円にすべきだというのが国民民主党の主張です。そもそも103万円という水準を決める時も、物価水準ではなく最低賃金を基にしているんです。自民党の税調会長は“税は理屈”と仰っていましたが、それならば、物価上昇率をもとに123万円だという与党より、最低賃金を鑑みて178万円だとする我々の理屈の方に分があります。

―理屈は、物価上昇率ではなく、最低賃金の方にあるということですね。

伊藤議員:そうです。

―幹事長間では「ガソリン暫定税率の廃止」も確認されました。

伊藤議員:画期的なことです。たとえばガソリンが1リットル183円だとすると、そのうち53.8円がガソリン税として課されているのですよ。これぜひ皆さん知って頂きたいです。今回、私たちが選挙で言ったのは、本来の税金である28.7円リットルに1974年から道路整備計画の財源不足に対応するための暫定措置として加算されている25.1円Lの「当分の間税率」(=暫定税率)の引き下げです。当初2年の約束だった暫定税率が続いてもう50年。いつまでやるんですかっていう話ですよ。

―ガソリン税は、生活に直結する話ですよね。

伊藤議員:特に地方はそうです。都内の山手線なら1キロに1つ駅がありますが、地方は家族みんなが車で移動している。ガソリン代の家計負担は都会の比ではないのです。加えて企業にとっても、輸送費が抑えられるので、利益や賃上げの減資になる。スーパーで売られている野菜などの食材も安くなります。

―ガソリン代が1リッターあたり25.1円安くなるのは大きいですね。

伊藤議員:はい。しかし肝心な“いつから廃止?”が決まっていません。与党との難しい交渉は続きます。

―そのほかにも、国民民主党は16歳から18歳の高校生年代の子どもを育てる親の税負担を軽減する「扶養控除」の維持・拡大を求めていました。

伊藤議員:与党は既に昨年段階で、扶養控除額を縮小する方針を決めており、結論を今年出すと明言していた為、特に強く反対しました。ここに来て公明党も一緒に反対して下さったお陰で、ひとまず現行水準を維持することになりましたが、これは方針撤回ではなく、判断を来年に持ち越しただけなので、こちらも引き続き交渉が続きます。与党は15歳以下を対象とする「年少扶養控除」はゼロなのに、「扶養控除」があるのは、制度上のバランスが悪いといいますが、それならば年少扶養控除を復活させるのが、少子化対策を喧伝する政治家の主張であるべきです。

―年少扶養控除の復活はないのですか?

伊藤議員:検討もしていないと言われました。異次元の少子化対策が必要というなら、子育て世帯の手取りを増やす政策に血眼になって頂きたいものです。手取りを増やすポイントは4つあると考えています。一つ目は何よりお給料が増えること。二つ目は控除の拡大を含め、税負担が下がること。三つ目は社会保険料負担が下がること。四つ目は、給付や無償化など、公的支援が拡充すること。この4つの内、1つたりとも欠かしてはいけません。「手当と控除の二重取りはダメだ」と言っているうちは、少子化対策のスタートラインにすら立てないことを、政治家は自覚すべきです。

―その財源を、国民民主党は子ども国債で賄っていこう、と?

伊藤議員:そうです。現在、財政法で認められているのは橋や道路をつくる為の建設国債のみですが、政府はその建設国債を、実は「育英会」や「大学ファンド」にこっそり入れています。そんなことをするくらいなら、堂々と「教育国債」の議論をすべきです。国づくりは人づくりと石破総理も所信表明演説で仰っているのですから、子どもたち、若者たちへの教育支出は、将来成長や税収増につながる投資的経費とみなし、絶対にケチらないでいただきたいと思っています。

―今回の衆院選で少数与党になり、さまざまな交渉が表に出るようになってきましたね。

伊藤議員:密室で国民生活に関わる大切なことを決めてしまう悪習を変えるチャンスだと思っています。加えてただ拳を振り上げるのではなく、具体的な対案を提示しながら反対する、現実的な交渉が出来るなど、まさに対決より解決の政治ができることを求められています。

政策実現には、国民世論の大きさも大事。私たちも、協議をしっかりウォッチしていたい。

次回からは、「第一子保育料の無償化」を表明した小池都知事の政策をフォローするので、乞うご期待。

取材・文/政治ジャーナリスト 細川珠生

政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。

(細川珠生)

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