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「もしも」と「いつも」に使えて無駄にしない! 失敗しない食材備蓄の方法って?【これならできる! 防災備蓄メソッド(前編)】

  • 2024.8.8

いざというときのための食料ストック、していますか? 災害の多い日本に住んでいる限り、家族を守る備えは欠かせません。

また、最近では急な自宅療養や在宅ワークの増加などにより、日常の食料ストックに助けられるシーンも増えています。

そこで、『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊)の著者で、備え・防災アドバイザーの高荷智也(たかに ともや)さんに、非常時でも日常でも役立つ、失敗しない食料ストック法について教えていただきました。

教えてくれたのは…

高荷智也(たかに ともや)さん

備え・防災アドバイザー、BCP策定アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。テレビや雑誌などのメディア出演のほか、防災系Youtuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。HP:「備える.JP」

YouTube「そなえるTV」、voicy「死なない防災! そなえるらじお」、Instagram @t_takani

そもそも「非常用の食料ストック」って必要?どのくらい準備すればよい?

パスタなどの乾麺やツナ缶、レトルトカレーなど、賞味期限が長くて子どもも好きな食料を普段から多めに買うようにしているという家庭は多いかもしれません。わざわざ災害に備えた非常食をストックしておく必要はあるのでしょうか。

「日本は災害が多い国なので、備えはマスト。とりわけ赤ちゃんや妊婦さん、ペットや高齢者がいるようなご家庭は、ないと困るものもあるので準備は欠かせません。さらに近年は世界的な感染症が起きたり、燃料高騰で物価の値上げが続いていたり、非常用はもちろん日常用ストックの重要性も高まっています」(高荷さん)

一般的に非常用の備えは最低3日分、できれば1週間分用意しておくのがよいとされています。というのも、災害が起きてから最初の3日間は、自衛隊などの公助は人命救助が最優先されるため、基本的には自助(自分たちだけでなんとかする)で乗り切らなくてはなりません。

さらに最近は、首都直下型地震や南海トラフ地震のような広範囲の災害が起きたときは、4日目以降も支援が届かない可能性があるといわれているので、できれば1週間分の家族の食料をストックしておくことが推奨されています。

「ただし、これはあくまでも全世帯に向けた目安で、具体的にどんな食料をどのくらいストックしておけばいいかというのは、自宅がある環境によって変わってきます。まずはハザードマップを見て、我が家の場合はどうなのかを考えることが大切です」(高荷さん)

1)まずはハザードマップで自宅をチェック「メインとなる非常用対策」を決める

ハザードマップは、災害が起きたときに被害が想定されるエリアや避難場所が書かれているもの。住んでいる地域の自治体から配布されることが多いですが、なければ役所に聞いたり、国土交通省が運営するWEBサイト「重ねるハザードマップ」からも確認ができます。

「たとえば津波がくる可能性がある場所に住んでいる方は、大地震の後すぐに避難しなくてはなりません。

非常用のリュックに火や電気を使わずそのまま食べられる「行動食」(羊羹や栄養補助食品、ゼリー飲料など)を入れたものをメインとして用意しておきましょう。なるべくかさばらず、効率よくカロリーが摂れて子どもも食べやすいものを選ぶのがおすすめ。重すぎると動きにくくなってしまうため、背負って走れる分だけ入れるようにしてください。

▼「行動食」について

一方で津波の心配もなく、火災や浸水も起こりにくい場所に住んでいる方は、災害後しばらくは自宅にとどまる可能性が高くなります。

調理不要でできれば食器を使わず常温で食べられる「避難食」(パンの缶詰やレトルト食品、栄養補助食品や菓子類など)をメインに用意しておくと、ゆくゆく避難所に移動しなければならなくなったときも活用できて便利です」(高荷さん)

▼「避難食」について

この“メインに”というのは、ハザードマップの危険度によってどちらに重点をおいて準備するのかということ。危険度が低いからといって非常用リュックを用意しなくていいということではありません。

いつ何が起きるか予測できない時代に突入しているいまこそ、とくに非常用リュックは全世帯で必ず準備しておきましょう。

2)3日分以上の「非常用ストック」はどうする?

ここまでの「行動食」と「避難食」は、最低3日分は用意しておいた方がいい非常用としてのストックです。

それ以上のストックは、日常のストック=「日常備蓄」を非常用の長期ストックと兼ねることで無理なく対策ができる、というのが高荷さんの考えです。

日常備蓄とは、普段から食べているものを多めに買っておくこと。最近ではローリングストックとほぼ同じ意味で使われることも増えています。

ローリングストックは、日常備蓄を消費したらその分をまた買い足し、ストックを切らさないようにしておくことですが、日常のストックが非常時にも役立てられるという無駄のない防災対策で、東日本大震災以降広まっていきました。

最低3日分、できれば1週間分といわれていますが、世界的な異常気象や戦争による物価の高騰などここ数年の状況から、長期的なローリングストックも必要とされています。

▼1週間分「短期備蓄」について

▼「長期備蓄」について

「ただ、ローリングストックは食べ物の種類が増えると賞味期限や在庫管理が難しくなり、失敗した経験があるというのもよく聞きます。

種類別にわけて賞味期限がパッと見でわかるように整理収納して…というのがこまめにできる方はいいのですが、小さなお子さんがいたりして忙しいと続けられないですよね。そんな方におすすめなのが、コンテナストックという方法です」

手軽にできる「コンテナストック」とは?

コンテナストックは、基本的にはローリングストックと考え方は同じ。管理の単位が食品ごとの消費期限や在庫ではなく、箱単位になる点が異なります。

「じつはローリングストックには“向いている食べもの”と“向いていない食べもの”があるんです。ローリングストックに向いているのは、お米やシリアル、水など主食として毎日食べたり飲んだりするようなもの。

この数種類の食べものだけはローリングストックで管理し、それ以外の缶詰や乾麺、レトルト食品やお菓子などは、種類や賞味期限関係なく箱にざっと詰めます。

それを10箱ほど作り毎月1箱ずつ消費し、消費したらまた日常的に食べている食品を空いた箱に入れるというのがコンテナストックのやり方です。

こうすることで賞味期限や在庫を細かく管理する必要がなくなります」(高荷さん)

コンテナストックのメリットは、手間をかけずに多品種の食品を大量にストックすることができること。これなら忙しい方でも整理整頓が苦手な方でも気軽にスタートできます。

なぜ10箱なの? 1つの箱の大きさはどのくらい? なかに入れる食料はどんなものがおすすめ? など、コンテナストックの具体的な方法については、後編記事「賞味期限の管理が苦手でも大丈夫! いざというとき食料に困らない『コンテナストック』って?」でご紹介します。

取材・文:佐々木彩子

取材協力:合同会社ソナエルワークス

(佐々木彩子)

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