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元宝塚男役・七海ひろきさん「宝塚では男役として演じていたけれど、今は…」【特別インタビュー】

  • 2024.7.6

新たなステージで輝き続ける宝塚OGの美しさの秘密を“素化粧”から紐解きます。今回は元星組男役スター・七海ひろきさん。退団後、新境地を拓きファンを増やし続ける七海さんの美しさの源は“自分らしさ”の追求にありました。

宝塚では男役として演じていたけれど今は「役」を生きている

お話を伺ったのは……七海ひろきさん

《Profile》
茨城県水戸市出身。小学校のときに天海祐希さんの『風と共に去りぬ』をテレビで見て宝塚に開眼。東京の受験スクールに通い2度目の受験で合格。2003年、89期生として入団。宙組に配属後、2015年に星組へ組替えし男役スターとして活躍。2019年に退団後は、俳優、声優、アーティストとして多方面で活躍。ドラマ「合コンに行ったら女がいなかった話」をはじめ、多数の舞台で主演を務める。主な舞台出演作は、「舞台『刀剣乱舞』禺伝矛盾源氏物語」歌仙兼定役、舞台「サイボーグ009」009/島村ジョー役など。9月には手塚治虫の名作「七色いんこ」をミュージカル化した、ミュージカル「七色いんこ」で、主人公七色いんこ役として出演が決定。

―こだわりの素肌の透明感を保つためにどんなケアを?

七海:宝塚時代はすごく汗をかいて代謝がよかったのでスキンケアも簡単に済ませていましたが、今は朝晩のパック、化粧水、乳液を基本に、肌の調子に合わせて美容液を選んでいます。家に帰ったら面倒になる前にすぐメークオフします。顔がむくみやすいので、温冷タオルのパックと朝風呂、頭皮マッサージで体全体の循環を高めるようにしています。

―七海さんといえばスタイリッシュの代名詞。常に旬を意識してアップデートしていますか?

七海:流行のメークを研究したりはしてないですね。それより自分の顔とめちゃめちゃ向き合ってます。他人の研究より自己研究。微妙な肌の変化を見て、じゃあこの化粧品を試してみようとか。そうやって自分に一番必要なものを選んでいます。

―退団後、ジェンダーを超えた独自のスタイルを確立されるプロセスには難しさもありましたか?

七海:最初はありのままの自分で生きていきたいという気持ちをどうやって伝えたらいいか、すごく考えました。無印の七海ひろきとしてただ自分のやりたいことをがむしゃらにやっていたら、それが独自のスタイルと言われるようになった感覚です。自分をこう見せたいと計算する器用さは持ち合わせてないので、一つ一つチャレンジするのみ。俳優として、性別も年齢も人種も超えて演じられるのが芝居の素晴らしいところだと思っています。

―『サイボーグ009』(舞台「サイボーグ009」は公演期間終了)では、主人公の009/島村ジョー(男性)を演じられます。他のサイボーグの役は紅一点の003以外、男性陣が揃う中での大抜擢ですね。

七海:イメージに合っていると島村ジョーのオファーをいただきました。幅広い世代の方が見てきた不朽の名作なのでプレッシャーもありますが、新たな一面をお見せできたらと思っています。

―声優としても活躍されていますが、舞台での表現にも役立つところはありましたか?

七海:声だけで表現することはとても勉強になります。例えば舞台で大きい声を出さなくても、マイクに声を乗せるという感覚で話すことで伝わるものがあったり。表現のニュアンスの幅が広がりました。宝塚では男役として演じていたけれど、今は「役」を生きている。その役が自分の中に落とし込まれると、カチッと回路が繋がる音がするんです。その瞬間周りが見えて視野が広がる感覚があります。

―最後に七海さんにとって「美しく生きる」とは?

七海:美しくありたいという気持ちは自分を大切にしていないと生まれてこない気がするんです。でもそれだけでは限界があって、助言をもらうことも必要。だから周りの人も大切にしたいと思ってます。宝塚に入って10年目まではあまり外見にこだわりがなかったんです。きちんと芸事をお届けできればそれでいいんじゃないかって。でもある時、見た目の美しさも重要で、それは内側からにじみ出るものでもあると気付いたんです。だから、美しくありたいという気持ちを忘れずにいたいですね。

一番自分を知っているのは自分だからその感性を大切にしたい

「今日の撮影のようにヘアメークさん、スタイリストさんのアドバイスで違う自分を発見するのもすごく楽しい。でも人生で一番自分の顔を見ているのは自分自身。だから鏡の中の自分と対話する時間を大切にしたいです」

《衣装クレジット》
ジャケット¥217,800 パンツ¥145,200(ともにヤコブ コーエン/ヤコブ コーエン 東京ミッドタウン店)シャツ¥60,500(バレナ/三喜商事)ブレスレット¥10,500(アビステ)シューズ/スタイリスト私物

2024年『美ST』7月号掲載
撮影/八木 淳(SIGNO)〈人物・静物〉 ヘア・メーク/木部明美(PEACE MONKEY) スタイリスト/大沼こずえ(eleven.) 取材/稲益智恵子 再構成/Bravoworks,Inc.

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