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昔の果物の実が近くで見られる!? 行楽シーズンの秋、「果樹古品種園」がある「皇居東御苑」に行ってみよう!

  • 2026.11.1
cocreco皇居東御苑内「果樹古品種園」(2023年6月20日撮影)

実りの秋、店先には大きなリンゴやつやつやしたカキ、ジューシーなミカン、真っ赤なトマトなどが並んでいます。でも、昔はどれも小さくて変な形でした。

長い時をかけて、人々がおいしい品種をたくさん生み出してきたのです。そんな昔と今を比べられる本を見つけました!

食育えほん『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』は、私たちがいつも食べている果物や野菜が、以前はどんなものだったかをわかりやすく説明しています。

「そんなの見たことない」と思う人もいるでしょう。ところがなんと、実際に昔の果物が見られる場所があるのです。

東京駅近くの「皇居東御苑」の中にある「果樹古品種園」には、昔の日本の果物が育てられていて、すぐそばで見ることができます。お出かけシーズンの秋、絵本を片手に行ってみましょう!

せっかくなので、「果樹古品種園」と併せて「皇居東御苑」の魅力もご紹介しちゃいますね!

古くからある果物を育てている「果樹古品種園」

皇居東御苑は、天皇陛下と雅子さまがお住まいになっている皇居の一角(昔の江戸城の本丸、二の丸、三の丸の一部)を、一般の人々に無料で公開している皇居付属庭園です。

昭和43年に完成し、約21万平方メートルの面積がある広々したお庭です。

ここには昭和天皇をはじめ上皇陛下と天皇陛下のお考えを受けて、日本の各地に古くからある樹木や花々が大切に育てられています。

それぞれの樹木には名札が掛けられ、花々の前には名札が立ててあって名前や由来が記されていますから、散策しながら楽しむことができます。

映画やドラマで目にする「大奥」の跡地や、赤穂浪士の討ち入りで知られる「松の大廊下跡」には記念の松の木が植えられているなど、ユニークな場所も! (「松の廊下」は松の木があったのではなく、障壁画に松の絵が描かれていた廊下ですものね)

出入り口付近で配られている園内マップを片手に、江戸城ゆかりの場所を発見するのも面白いでしょう。

cocreco大奥跡の広場と天守台(2023年6月20日撮影)
cocreco大きな松が植えられている松の大廊下跡(2023年6月20日撮影)

上皇陛下のご意思で皇居に古い果物の果樹園が誕生

まずは、お目当ての昔からの果物がみられる果樹園に行ってみましょう。

「食用の植物は、より美味なものやより生産性の高いものが栽培されるようになると、古い品種はすたれてしまい、一般には見ることができなくなってしまう。江戸城の跡である皇居東御苑に江戸時代の品種である果樹を植えれば、訪れる人々にとっても興味深いだろう」

という上皇陛下のお考えを受けて、江戸時代には本丸があったあたりに、果樹の古品種を栽培する果樹園が整備されました。2008年4月、上皇陛下と美智子さまは、古品種の苗をご自身の手で植えられたのです。

食育えほん『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』の監修をしている(国研)農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所に保存されていて、苗が入手可能な品種からいくつかが選ばれて植えられました。

上皇陛下と美智子さまが植えられた古い品種の果樹は、すくすくと育ち、たくさんの実をつけています。これらは一般の人たちもすぐそばに行って見ることができます。

季節によって、それぞれの実がだんだん大きくなっていく様子を見るのは楽しいものです。その一部を見てみましょう。

皇居東御苑の果樹古品種園で見られる果物

皇居東御苑にある果樹古品種園の果樹をご紹介します。

【和リンゴ】

大昔に中国からやってきました。江戸時代には中部以北で果樹として栽培されていましたが、西洋リンゴが入ってきたために、あっという間にすたれてしまいました。

そのためか、今残っている系統で品種名のついているものはなく、由来したとされる地域名を系統の名としているものが多いのです。

cocreco『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』より

●加賀藩在来(カガハンザイライ)

加賀地方で、「加賀リンゴ」という名前で栽培されていました。

cocreco和リンゴ「加賀藩在来」(2023年6月20日撮影)

【カンキツ】

日本人は昔からカンキツの見た目や香りを楽しんでいました。約400年前の鹿児島で、ぐうぜん種なしのミカンが発見されました。それが温州ミカンの誕生です。

●紀州ミカン(キシュウミカン)

1574年(天正2年)に中国から紀州に伝えられた種類で、温州ミカンが普及する前には、小蜜柑、本蜜柑などとして普通に栽培されていました。12月に40グラムほどの大きさに成熟する種なしミカンです。

cocrecoカンキツ「紀州ミカン(無核紀州)」(2023年10月21日撮影)

●江上ブンタン(エガミブンタン)

4代将軍徳川家綱の時代に、長崎県で陶業を営む中国からの帰化人が「外国産の文旦である」として人々に分けた実がはじまりで、のちに江上村の浦文七が接ぎ木して繁殖したと伝えられています。

cocrecoカンキツ「江上ブンタン」(2023年10月21日撮影)

【ナシ】

山に生えている「ヤマナシ」は、和ナシの祖先といわれています。昔の人は煮て食べたそうですよ。

●今村秋(イマムラアキ)

江戸時代から栽培されたといわれる高知県原産のナシです。収穫期は10月下旬ごろです。

cocrecoナシ「今村秋」(2023年6月20日撮影)

●六月梨(ロクガツナシ)

江戸時代後期からあるといわれる群馬県原産のナシ。明治初期から中期にかけて関東地方や新潟県で栽培されました。「六月」という名前が示すように、収穫時期が早く、8月上旬には熟します。

cocrecoナシ「六月梨」(2023年6月20日撮影)

【カキ】

日本にはもともと渋柿しかなく、甘柿は後からできたことがわかっています。

カキの渋みのもとはタンニンという成分で、甘柿では水に溶けない成分に変わるため、渋みを感じないのです。

種なしや、一口サイズで皮ごと食べられるものなどいろいろな品種があります。

●堂上蜂屋(ドウジョウハチヤ)

岐阜県加茂郡蜂屋村が原産地で、かなり古くから栽培されていたとされる渋柿です。

cocrecoカキ「堂上蜂屋」(2023年10月21日撮影)
cocrecoカキ「堂上蜂屋」(2023年10月21日撮影)

●四溝(ヨツミゾ)

静岡県東部が原産地の渋柿。実の縦断面が円すい形で4つの縦溝があり、横断面が方形になっています。

cocrecoカキ「四溝」(2023年10月21日撮影)

【モモ】

野生のモモは梅のよう。約2000年前の弥生時代には、日本に伝わっていたといいます。不老不死や厄除けのパワーがあると信じられてきました。8月ごろに収穫時期を迎えます。

cocreco『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』より

昔からのものを美しく復元して公開

果樹古品種園のほかにも、皇居東御苑には日本の面影を復元して大切に育てている場所があります。

●紅葉が見頃になる「二の丸雑木林」と「新雑木林」

「二の丸雑木林」は、「都市近郊で失われていく雑木林を復元しよう」という昭和天皇のお考えを受けて造成されました。

東京近郊の開発予定地の表土を運び、コナラとクヌギをメインに、ニシキギ、紅葉、ハゼノキなどや、実のなるムラサキシキブやガマズミ、ウメモドキ、エゴノキなどがたくさん植えられました。

cocreco二の丸雑木林(2024年6月5日撮影)

12月にはロウバイが淡い黄色の花を咲かせます。自然に近い環境が復元され、武蔵野の雑木林の面影がよみがえっています。

さらに、上皇陛下のお考えを受けて隣接する場所に拡張して作られたのが「新雑木林」です。ここには小さな流れが作られ、涼しげなせせらぎが目を楽しませてくれます。

「二の丸雑木林」「新雑木林」は、秋には木々の葉が赤や黄に色づいて紅葉の見頃になります。

cocreco新雑木林を流れる小川(2024年6月5日撮影)

●3代将軍家光の庭園を復元した「二の丸庭園」

cocreco二の丸庭園と菖蒲田(2023年6月20日撮影)

旧江戸城の二の丸跡地には、かつて3代将軍家光の命で小堀遠州が造ったと伝えられる庭園があったといいます。

東御苑の開園にあたって、9代将軍家重時代の庭の絵図面をもとに、池の周りを散策できる庭園に復元されました。

池には、インドネシアのヒレナガゴイと日本のニシキゴイを交配して生まれた美しいヒレナガニシキゴイが、長いヒレを舞うようにして優雅に泳ぐ姿が見られます。

cocreco二の丸庭園の池を泳ぐヒレナガニシキゴイ(2023年6月20日撮影)

二の丸休憩所前の一角には秋の七草を集めたコーナーがあり、かわいらしい風情を見せてくれます。

解説版には山上憶良の和歌が紹介されています。

6月には、池のほとりの花菖蒲が、それは見事な花を咲かせます。

明治神宮の菖蒲園から株分けされた84品種の大きな花々を見ようと、たくさんの人たちが訪れます。毎年5月下旬から6月上旬が見頃です。

cocreco二の丸庭園の花菖蒲(2023年6月20日撮影)

11月3日、皇室ゆかりの作品を所蔵する「皇居三の丸尚蔵館」がグランドオープン!

11月3日(火)、7年間にわたり施設拡大工事を行っていた「皇居三の丸尚蔵館」が全面開館します。

皇室に代々受け継がれた国宝を含む美術品など、およそ2万点を収蔵しています。

「皇居三の丸尚蔵館」は「皇居東御苑」の大手門を入ってすぐの右側にあり、開館記念の特別展が2027年5月までに3回に分けて開催されます。

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●第1回特別展/2026年11月3日(火・祝)~2027年1月24日(日)

「皇室の至宝―─美いづるところ」

奈良・正倉院の宝物が、初めて皇居内で公開されます。

●第2回特別展/2027年2月4日(木)~3月14日(日)

「国宝 動植綵絵 いろどりの世界」

今注目の伊藤若冲「動植綵絵」全30幅が、およそ10年ぶりに一斉展示されます。

●第3回特別展/2027年3月25日(木)~5月16日(日)

「日本の書の美1300年」

奈良時代に中国よりもたらされた書聖・王義之の書をはじめとする名品が公開されます。

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*チケットは事前予約制で、当日券販売はありません(小学生以下は予約不要)。

「皇居三の丸尚蔵館」の公式ホームページ「チケット申し込みサイト」より予約します。

秋の紅葉を堪能できる催し「皇居乾(いぬい)通り一般公開」

cocreco紅葉が美しい秋の乾通り一般公開(2023年12月3日撮影)

「皇居乾通り一般公開」は、平成26年に上皇陛下の傘寿(80歳)を記念して、春の桜と秋の紅葉が見頃の時期に行われるようになりました。

皇居東御苑の濠を挟んだ皇居側の乾通りを、坂下門から入って乾門に抜けるルートです。都心とは思えない美しい道沿いの風景が堪能できます。

例年、秋は11月末から12月頭に、春は3月末に行われます。日程が近づくとテレビなどのニュースで日程が公開されます。

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大手町のオフィス街のすぐ隣とは思えないほど、緑豊かな「皇居東御苑」。

食育えほん『こんなにかわった! やさいくだもの むかし・いま』を片手に、「果樹古品種園」でたわわに実る果物を眺めるもよし、広い庭園を散策するもよし、「三の丸尚蔵館」で文化にふれるのもよし。

親子で秋晴れの一日をゆっくり楽しんでみましょう。

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〈皇居東御苑情報〉

◼️ 公開時間

9:00~16:00(11~2月)、~16:30(10月)、~17:00(3~4月14日、9月)、~18:00(4月15日~8月)

すべて入園は閉園の30分前まで。

◼️ 休園日

月・金、12/28~1/3、行事等があるとき

◼️ 出入門

大手門(最寄:大手町駅、二重橋前駅、東京駅)、平川門(最寄:竹橋駅)、北桔橋門(きたはねばしもん 最寄:竹橋駅)

◼️ 入園料

無料

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*臨時休園もあるため、宮内庁公式ホームページの皇居東御苑休園日カレンダーを確認のうえでお出かけください。

写真/高木香織

参考文献/宮内庁公式ホームページ

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