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「優しかった父が激変…」介護で心折れないために知るべき“せん妄”のリアル

  • 2026.10.28
せん妄状態でもムカつくものはムカつく!病院では耐えていたやり場のない感情が帰宅後に溢れ出す。 作=キクチ
せん妄状態でもムカつくものはムカつく!病院では耐えていたやり場のない感情が帰宅後に溢れ出す。 作=キクチ

自身の体験談をリアルかつコミカルに描く漫画家・キクチさん(@kkc_ayn)。親の介護と看取りをテーマにしたコミックエッセイ『20代、親を看取る。』で多くの共感を集めた彼女が、現在連載中の『父が全裸で倒れてた。』では、病に倒れた父との壮絶な日々を綴っている。

第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
 第1話2-1 作=キクチ
第1話2-1 作=キクチ

※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

「父が死ぬ可能性」突きつけられた手術説明と向き合う覚悟

描かれるのは、父の腫瘍検査のための手術を目前に控えたエピソードだ。治療ではなく原因を調べるための手術であったが、医師の説明を受けるうちに、状態の深刻さを思い知らされる。

「『この状態じゃなければ本来リスクはほとんどない手術なんですけど…』と言われるたびに、父の状態の悪さを実感しました」とキクチさんは振り返る。通常の手術法が使えず、死なないための代替手段ばかりが提示される状況に、「延命措置の確認をしたとき以上に、父が死ぬ可能性をリアルに感じた」と明かしてくれた。

せん妄で“意地悪な別人”になった父に心が削られる日々

手術前、父のもとを訪れたキクチさん。しかし父は「せん妄」状態が続いており、会話は支離滅裂であった。看護師には感謝を示す一方、キクチさんには不満げな態度をとったという。

「私なりに必死に頑張っているのに、看護師さんだけ褒められたのが本当に傷つきました。『短パン』という言葉を、わざと聞き取りにくく発音して試している感じもして、正直めちゃくちゃムカつきました(笑)」と苦笑交じりに語る。

完全に対話が不可能な状態であれば諦めもつくが、せん妄によって“意地悪な別人”となった状態は、中途半端に意思疎通が取れるぶん余計につらい。「まともに張り合うと、心の消耗が激しくなります」と回想する。病院では冷静を保っていたものの、帰宅後は1人で泣き崩れた。「“せん妄だから仕方ない”という理屈と、“どうして苦労をわかってくれないの?”という感情の間で揺れていました」と胸の内を明かす。

1人で背負い込む過酷さの中で見出した「介護のリアル」

病院では「年下の看護師さんの前で泣くのが恥ずかしくて耐えた」というキクチさん。「今思えば、せん妄状態の父に無理して会わなくてもよかったのかもしれない」と感じつつも、「最期になる可能性もあったので、会ったこと自体は間違っていなかった」と振り返る。

何より過酷だったのは、帰宅後に孤独を感じたことだ。「もし夫がそばにいて『お義父さんムカつくなぁ!』と一緒に怒ってくれたら、悲しみも半分くらいになっていたと思います」と語る。

介護の現場はきれいごとだけでは語れない。怒りや悲しみ、罪悪感が交錯するなかで、葛藤しながらも前を向く姿が胸を打つ。

取材協力:キクチ(@kkc_ayn)

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