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「親の金なんだから、俺にももらう権利がある」母の介護に一度も来なかった弟。だが、遺産の話し合いで叔母が見せた母の記録とは

  • 2026.11.8

母が亡くなってから来た弟

5年ほど前、母が病気で亡くなりました。

父は早くに亡くなっており、母の介護は、近くに住む僕が仕事の合間に続けていました。

弟は普段から実家にほとんど顔を出さず、手伝ってほしいと連絡しても、返事は決まっていました。

「仕事が忙しいから、無理」

ところが母が亡くなると、それまで来なかった弟が、急に実家へ顔を出すようになったのです。

ある日の昼、居間で母の荷物を片づけていると、弟が話しかけてきました。

「ねえ、通帳ってどこにあるの?」

「まだ整理しているところだよ」

すると弟は、少し強い口調で言いました。

「親の金なんだから、俺にももらう権利がある」

「それはわかってるよ。でも、介護のときは何度頼んでも来なかっただろ」

「仕事があったんだから仕方ないだろ。相続とは別の話じゃないか」

弟にも相続する権利があることはわかっています。

それでも、母の世話をしてきた時間を、何も関係ないことのように言われるのはつらいものでした。

言い合いになりかけましたが、母が暮らした家でこれ以上争いたくありません。

僕はその場で話を終わらせ、遺産については日を改めて話し合うことにしました。

叔母が開いた母の手帳

話し合いの日、叔母も実家に来てくれました。

居間のテーブルを挟んで僕と叔母の向かいに座った弟は、早速、遺産の話を始めました。

「俺だって子どもなんだから、同じだけもらえるんだよな」

「まだ何も決まってないよ。ちゃんと話し合おう」

そう答えると、弟は不満そうな顔をしました。

「介護は兄貴がやったことだろ。俺には関係ないじゃん」

僕が言い返そうとしたとき、叔母が静かに口を開きました。

「ちょっと、これを見てくれる?」

叔母がテーブルに置いたのは、母が入院中も手放さなかった手帳でした。

「お母さんね、入院中、来てくれた人の名前を毎日ここに書いて、感謝の言葉を書いていたの」

叔母は手帳を開き、弟の前に置きました。

「お兄さんの名前は何度もあるけど、あなたの名前は一度もないのよ」

弟は黙って手帳を見つめていました。

「それに、病院の費用も全部お兄さんが払っていたの。相続の権利があるのはわかるけど、そういうことも知っておいてほしいわ」

弟は何も答えず、手帳を手に取ってページをめくり始めました。

しばらくして手帳を閉じると、弟はうつむいたまま、先ほどのように強く言い返すことはありませんでした。

もちろん、介護に来なかったからといって、弟の相続する権利がなくなるわけではありません。

その後も僕らは遺産の分け方について話し合い、最終的に弟は500万円を受け取ることで合意しました。

弟はその金額を受け取り、それ以上言い争うことなく帰っていきました。

玄関の戸が閉まると、叔母が僕に手帳を差し出しました。

「お母さんね、あなたが来た日は字が大きいのよ」

ページをめくると、本当にそうでした。僕が訪れた日の文字は、ほかの日よりも大きく書かれていたのです。

母がどんな思いで書いていたのかはわかりません。それでも、その文字を見ていると胸がいっぱいになりました。

母の手帳を大切に持っていてくれた叔母に、僕は心から感謝し、深く頭を下げました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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