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2026年秋、東京で見るべき展覧会10選。マリメッコ、ターナー、森万里子など注目のアートを厳選

  • 2026.10.18
Photo: Dag Fosse / Kode / Hearst Owned

ターナーやオルセー美術館の名品を堪能する大型展はもちろん、24年ぶりとなる森万里子の国内大規模個展、萩尾望都・山岸凉子・大和和紀という少女漫画界を代表する3作家の展覧会、そしてマリメッコや竹久夢二の仕事を通して日常とデザインの関係を見つめ直す機会も。

この秋、東京で見逃したくない10の展覧会を、3つのテーマから紹介する。

【暮らしを彩り、時代をつくる。デザインと視覚文化をめぐる3展】

「マリメッコ展 模様のちから」(東京都庭園美術館)

Fun in Finland(1964) Photo: Tony Vaccaro / Tony Vaccaro Archives

大胆な色彩とグラフィカルなパターンで、世界中の暮らしを彩ってきたフィンランドのデザインハウス、マリメッコ。その世界に迫る「マリメッコ展 模様のちから」が東京都庭園美術館で開催中。

1951年の創業以来、マリメッコはファッションやインテリアにとどまらず、日々の生活そのものに新しい美意識を持ち込んできた。本展では、その核となるプリントデザインにフォーカス。「かわいい北欧デザイン」として見るのではなく、模様がいかに人の気分や暮らし、さらには生き方まで変えてきたのかを考える機会になりそうだ。

アール・デコ建築として知られる東京都庭園美術館の空間と、マリメッコの鮮やかなデザインとの出合いにも注目したい。


~12/20、東京都庭園美術館

「竹久夢二 時代を創る表現者」(東京国立近代美術館)

【通期展示】竹久夢二《秋のいこい》(1920) 夢二郷土美術館 Hearst Owned

憂いを帯びた女性像「夢二式美人」で知られる竹久夢二。しかし、その仕事を「美人画の画家」だけで語ることはできない。

絵画はもちろん、本の装丁や雑誌、広告、商品デザインなど幅広い領域で活動し、明治から大正、昭和初期の視覚文化を形づくった夢二。現代でいえば、画家であると同時に、イラストレーター、グラフィックデザイナー、アートディレクターでもあった存在だ。

東京国立近代美術館で開催される本展では、そんな夢二を「時代を創る表現者」として捉え直す。100年以上を経てもなお古びないそのグラフィック感覚に触れれば、私たちがいま目にする雑誌や広告、ファッションヴィジュアルとの意外な近さも見えてくるかもしれない。


10/23~2027/1/11、東京国立近代美術館

「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」(国立新美術館)

Hearst Owned

萩尾望都、山岸凉子、大和和紀。1960年代後半にデビューし、少女漫画というジャンルの可能性を大きく押し広げてきた3人の画業を一堂に振り返る。

『ポーの一族』『日出処の天子』『はいからさんが通る』『あさきゆめみし』など、時代を超えて読まれてきた作品を生み出した3人。本展では、デビュー初期から現在まで約60年にわたる軌跡をたどり、モノクロ・カラーを合わせて800点以上の原画を展示予定だ。国立の美術館で開催される初の大規模な少女漫画展となる。

内面の揺らぎ、ジェンダーや性、歴史、身体、異世界への想像力。そしてページを横断する大胆なコマ割りや繊細な線。いまあらためて原画を目の前にすれば、少女漫画が物語だけでなく、革新的な「視覚表現」でもあったことに気づかされるはず。会期は10月28日から2027年2月8日まで。


10/28~2027/2/8、国立新美術館

【世界をどう見る? 現代の感覚を揺さぶる4展】

「種と根っこ─ 都市の耕し方」(東京オペラシティ アートギャラリー)

浅野友理子 《綯い交ぜの庭》(2021) 撮影:嵯峨倫寛 / Hearst Owned

コンクリートやアスファルトに囲まれた都市にも、植物は根を張り、生き物たちは新たな環境に適応しながら生きている。では、自然と人工を分ける境界は、本当にそれほど明確なのだろうか?

「種と根っこ─ 都市の耕し方」がテーマにするのは、人間と自然、そして都市との関係だ。路傍や空き地に生える植物、外来種、人工物と共存する生態系などに目を向けながら、「都市に生きる私たちは、いかに自然とのつながりを取り戻すことができるか」を問いかける。

自然を遠くの森や山に求めるのではなく、足元にある都市そのものを見直す。その視点は、毎日の風景を少し違って見せてくれそうだ。


~12/20、東京オペラシティ アートギャラリー

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 WHOSE LIGHT? —だれのひかりか」(アーティゾン美術館)

藤井光《神学者と、その声》(2026)、作家蔵 Hearst Owned

美術館に展示されている作品を、私たちは何の疑いもなく「見る」ことができていると思いがちだ。しかし、誰が何を見せ、何を見えなくしているのか。

アーティゾン美術館が石橋財団コレクションと現代作家との共演として毎年開催する「ジャム・セッション」。第7回に迎えるのは、歴史や社会をリサーチし、映像インスタレーションなどを通じて問い直してきた藤井光だ。

今回、藤井が着目するのは、プラトン『国家』の「洞窟の比喩」に登場する「光=真理」というテーマ。美術館のコレクションに現代の視点を介入させることで、誰の視点が「真実」とされてきたのかを問い直す。美しいものを見るだけでは終わらない、今年の秋を代表する批評的な展覧会のひとつ。


10/24~2027/1/31、アーティゾン美術館(東京)

「ヨシロットン展 彼方との交信/BEYOND EARTH」(TOKYO NODE)

「ヨシロットン展 彼方との交信/BEYOND-EARTH」展示プラン・シミュレーション画像。 Hearst Owned

音楽、ファッション、グラフィックデザイン、アート。その境界を自在に行き来してきたYOSHIROTTENの、過去最大規模となる個展。

会場となる地上約200メートルのTOKYO NODE GALLERYは、ひとつの「宇宙船」に見立てられる。そこで展開されるのは、自然や宇宙、光、色彩をめぐり、YOSHIROTTENが長年探究してきた「見えないものの可視化」だ。代表シリーズ「RGB」「FUTURE NATURE」「SUN」などを軸に、大型インスタレーションへとスケールを拡張する。

さらにJAXAの協力による宇宙データの可視化にも挑戦。データやテクノロジーを、理屈ではなく身体と感覚で受け取る体験になるだろう。


10/30~2027/1/11、TOKYO NODE GALLERY

「森万里子:燦燦」(森美術館)

森万里子《ピース・クリスタル》(2016~2024)、パラッツォ・コルネル・デッラ・カ・グランダ(イタリア、ヴェネチア、2024)の展示風景。 PHOTO: MARTA BUSO, COURTESY OF FAOU FOUNDATION, NEW YORK

1990年代から現在まで、テクノロジー、ポップカルチャー、精神性、宇宙といったテーマを横断してきた森万里子。その30年以上におよぶ活動を振り返る大規模個展が森美術館で開催される。

日本での大規模個展は、東京都現代美術館で開催された「森万里子 ピュアランド」以来24年ぶり。本展では、パフォーマンス、CGを駆使した写真や映像、ドローイング、彫刻、大型インタラクティブ・インスタレーションまで約40点を紹介する。

1990年代には未来的に見えた森の作品世界も、AIや仮想空間が日常へ入り込んだ現在から見ると、まったく異なる輪郭を帯びてくる。テクノロジーによって人間はどこへ向かうのか。そしてその先に、精神性や自然との新しい関係はあり得るのか。森が30年前から投げかけてきた問いを、2026年の現在地から見直したい。


10/31~2027/3/28、森美術館

【時代を超えて心を動かす。名画と出会い直す3展】

「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」(国立西洋美術館)

J.M.W. ターナー《荒海とイルカ》(1835-40年頃)、テート美術館 Photo: Tate

荒れ狂う海、立ち込める霧、燃えるような夕日。19世紀イギリスを代表する画家、J.M.W.ターナーは、風景そのものを描きながら、そこにある光や空気、自然の圧倒的な力までを絵画に封じ込めようとした。

国立西洋美術館で開催される「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」は、そのタイトルどおり、ターナーを過去の巨匠としてだけでなく、現代につながる存在として見つめる展覧会だ。

輪郭が溶けるような色彩や、抽象絵画を先取りしたかのような画面。200年近く前の作品でありながら、現代美術の目で見ることで新たなターナー像を見ることができる。


10/24~2027/2/21、国立西洋美術館

「ニコライ・アストルップ 創造する庭」(東京ステーションギャラリー)

《ジギタリス》(1920年頃)、DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館 Photo: Dag Fosse / Kode / Hearst Owned

北欧絵画といえばムンクを思い浮かべる人も多いはず。その陰で近年、国際的な評価を高めているのが、ノルウェーの画家ニコライ・アストルップだ。

1880年に生まれたアストルップは、ノルウェー南西部のヨルステル湖畔で生涯の大半を過ごし、身近な自然と季節の移ろいを繰り返し描いた。本展は日本初の大回顧展。油彩に加え、彼が独自の表現を切り開いた木版画など約130点によって、その仕事を紹介する。

アストルップにとって庭は、人間が自然に手を入れながらともに生きる「創造の場」でもあった。華やかな大型展が並ぶこの秋にあって、まだ日本では十分知られていない画家と静かに出会える一展として覚えておきたい。


11/21~2027/1/31、東京ステーションギャラリー

「東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」(東京都美術館)

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ローヌ川の星月夜》(1888)、オルセー美術館 © GrandPalaisRmn (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF / Hearst Owned

最後は、この秋もっとも華やかな大型展のひとつ。東京都美術館の開館100周年を記念し、印象派の殿堂としても知られるパリ・オルセー美術館のコレクションから、絵画、彫刻、工芸、写真など約110点が来日する。

テーマは「いまを生きる歓び」。19世紀、産業化と都市化によって社会が大きく変わるなか、芸術家たちは神話や歴史ではなく、自分たちが生きる時代の日常へと目を向けるようになった。

ゴッホ、ルノワール、ミレーらの作品をとおして見えてくるのは、名画の向こう側にあった「普通の人生」だ。印象派を中心とした19世紀美術を私たち自身の暮らしへ引き寄せて眺めてみたい。


11/14~2027/3/28、東京都美術館

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