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過去最大規模の「フリーズ・ロンドン 2026」で注目したい8作品

  • 2026.10.17
Timo Ohler

ロンドンのリージェンツ・パークが今年も、世界の現代アートの「今」に出合える刺激的な場所に。10月14日から18日まで開催されているアートフェア「Frieze(フリーズ)」には、45カ国以上から300を超えるギャラリーが集結。過去最大規模となる今年は、著名アーティストから新進気鋭の才能までが顔をそろえ、思いがけない作品との出合いも。

初めて訪れる人のために説明すると、フリーズは2つのフェアで構成されている。現代アートを中心とする「フリーズ・ロンドン」と、2000年以前に制作された作品を紹介する「フリーズ・マスターズ」だ。

今年のフリーズ・ロンドンでは、ティファニーの支援による「Artist-to-Artist」が再び登場。新進アーティストと、彼らに影響を与えたアーティストを結びつける企画だ。また、若手ギャラリーと所属アーティストにスポットを当てる恒例のセクション「Focus」も展開される。

なかでも早くから話題を集めているのが、2026年に新設された「The Code Universe」。北京のインサイド・アウト美術館館長、キャロル・インホア・ルーがキュレーションを手がけ、大衆文化と社会の変化をテーマにした作品を紹介する。

一方、フリーズ・マスターズでは、歴史的な作品を現代の視点から見つめ直す試みも。「Queering Modernism」では、クィアの歴史や視点からモダニズム美術を捉え直し、「Spotlight」では、これまで十分に評価されてこなかったアーティストや、注目される機会の少なかったアーティストたちに光を当てる。

フリーズの醍醐味は、何といっても新たな発見にある。巨匠の名作をめぐるだけでなく、まだ知らなかったアーティストや作品に出合えることこそ、このフェアの魅力。とはいえ、これだけ多くの作品が並ぶなかどこから見ればいいのだろう? そこで今回は、ぜひチェックしておきたい注目の8作品をご紹介。

Eilen Itzel Do Espírito Santo, Courtesy of Bolanle Contemporary

Bolanle Contemporary(ボランレ・コンテンポラリー)

フリーズ・ロンドンに初出展する「Bolanle Contemporary」は、アフリカ系ドミニカ人のルーツを持つアメリカ人アーティスト、アイレン・イツェル・ド・エスピリト・サントの個展形式の展示を展開。ティファニーが支援する「Artist-to-Artist」セクションで、ドミニカ共和国出身のアーティスト、フィレレイ・バエズによって選出された。

ヨルバ族の宇宙観や、アフリカ系ディアスポラ、ラテンアメリカの歴史から着想を得た彼女の作品。鮮やかな色彩の絵画や彫刻、インスタレーションを通じて、祖先とのつながりやクリエイション、精神的な継承を探求している。「彼女のアートには、今の現代アート界が切実に求めているような新鮮さがある」とバエズは語る。

Aurelien Mole

Berthold Pott(ベルトルト・ポット)

ケルンを拠点とするギャラリー「Berthold Pott」は、ポーランド出身のアーティスト、アガタ・インガルデンによる「Hours of the Dog」シリーズから、光を放つ彫刻作品を紹介。建築的な空想と夢の風景が溶け合うような作品には、牡蠣の殻や雲を思わせるフォルム、虹色に輝くガラスが組み合わされ、内側からネオンの光が。幻想的な美しさに引き込まれる。

Anne Imhof, Courtesy of Sprüth Magers

Sprüth Magers(シュプリュート・マーガース)

国際的に有名なギャラリー「Sprüth Magers」は、世代を超えたアーティストたちの作品を紹介。中国出身のツァオ・フェイとアメリカのカラ・ウォーカーを中心に、権力や歴史、植民地主義による暴力をテーマにした作品が並ぶ。さらに、ドイツのアンネ・イムホフ、韓国のイ・ミレ、アメリカのバーバラ・クルーガーも参加。世代や文化を超えた作品同士の対話が見どころに。

GUI GOMES

Pace Gallery(ペース・ギャラリー)

「Pace Gallery」は、ブラジル出身のアーティスト、マリーナ・ペレス・シマオによる個展形式の展示を展開。風景や海景に移ろう光を表現した新作の絵画を紹介する。抑制された単色の色彩で描かれた作品は見る角度によって表情を変え、ある方向からは青く、別の方向からはピンク色に。色彩と知覚が織りなす、静かで魅惑的な世界が広がる。

Maris Hutchinson

Victoria Miro(ヴィクトリア・ミロ)/ David Zwirner(デイヴィッド・ツィヴィルナー)

アリス・ニールの《John Cheim》(1979)は、ひと目見ただけで心を引きつけられる作品。彼女ならではの率直なまなざしによって、親密な肖像画に生きいきとした存在感が宿る。フリーズ・マスターズでは、ギャラリー「Victoria Miro」と「David Zwirner」が共同で紹介。人物の内面や個性を独自の視点で捉えた、アメリカを代表する肖像画家の魅力に触れられる。

Lang JingShan, Courtesy of Each Modern

Each Modern(イーチ・モダン)

一見すると普通の写真? しかし、郎静山(ラン・ジンシャン、1892〜1995)の手にかかれば、独創的な世界へと一変する。合成写真の先駆者として知られる彼は複数のネガや暗室技法を駆使し、中国の水墨画の表現を写真に取り入れた。フリーズ・マスターズでは、台北を拠点とするギャラリー「Each Modern」が、「Spotlight」セクションで作品を紹介。テート・モダンで2027年2月まで開催されている展覧会「Light and Magic: The Birth of Art Photography」でもラン・ジンシャンの作品が出展中。あらためて注目したいアーティストだ。

Pacita Abad, Courtesy of Alison Jacques

Alison Jacques(アリソン・ジャック)

ロンドンを拠点とするギャラリー「Alison Jacques」は、鮮やかな色彩と社会的なテーマを扱う作品で知られるフィリピン系アメリカ人アーティスト、パシタ・アバドに注目。歴史的に重要でありながら、十分に評価されてこなかったアーティストの紹介にも力を入れる同ギャラリーは、フリーズ・マスターズで、アバドが南アジアを旅するなかで制作した絵画を展示する。《Hindu Temple in Faridpur》《Mosque in Chittagong》《Old Dhaka》に加え、《Angkor Wat》も登場。油彩やバティック、ビーズ、鏡、スパンコールを幾重にも重ねた、色彩豊かでエネルギーに満ちた作品が並ぶ。

Sholto Blissett, Courtesy of Pilar Corrias

Pilar Corrias(ピラー・コリアス)

フリーズ・ロンドンに再び出展するギャラリー「Pilar Corrias」は、イギリス出身のショルト・ブリセットとジョージ・ウィルソン、そして2016年から同ギャラリーと関係を築いてきたアメリカ出身のレイチェル・ローズの作品を紹介。初期近代のイギリス風景画が現代に与える影響に目を向け、自然や場所、知覚をテーマにした新作を展示する。伝統的な風景画の世界に新鮮な視点をもたらす作品が並ぶ。

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