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「残り149,000円」夢を追って上京した妹から10年間届き続けた手紙。だが、並べて読んだ私が吹き出した理由

  • 2026.10.18

夢を追って上京する妹に貸した15万円

妹が大学を卒業するときのことです。

妹は就職せず、夢を追って遠くの大きな街へ出ると決めました。

両親は離れた土地に住んでいたため、部屋探しには姉の私が付き添いました。

何軒か見て回って決めたのは、日当たりのいい古いアパート。

何もない部屋を見回す妹は、これからの生活が楽しみで仕方ない様子でした。

「本当に大丈夫?お金、足りそう?」

「大丈夫だよ。アルバイトでちゃんとためてきたから!」

ところが、契約に必要な初期費用を確認すると、妹の貯金だけでは足りないことが分かりました。

さっきまで笑顔だった妹は、すっかり困った顔になってしまいました。

「……どうしよう。足りないね」

私も決して余裕のある暮らしではありません。それでも、せっかく夢に向かって一歩を踏み出そうとしている妹を、放っておけませんでした。

「足りない分は、私が貸すよ」

「えっ、本当に?ありがとう、お姉ちゃん。絶対返すから!」

こうして私は、妹に15万円を貸しました。

契約を終え、段ボール箱ひとつを抱えて新しい部屋に入った妹は、窓から差し込む日差しの中でうれしそうに笑いました。

「ここから始まるんだね、お姉ちゃん」

その笑顔を見て、私も妹の新生活を応援したいと思いました。

10年分の手紙を並べて気づいたこと

しばらくして、妹から封筒が届きました。

中には千円札が1枚と、短い手紙が入っていました。

「15万は今後返すので」

そして、その下には小さな文字で「残り149,000円」と書かれていたのです。

「あはは、ちゃんと残りまで書いてる」

思わず笑ってしまいましたが、少しずつ返してくれるなら、それでいいと思っていました。

ところが、翌年も、その次の年も、妹から届くのは手紙だけでした。

「今年もがんばっています」

そんな近況報告の最後には、決まって同じ言葉と「残り149,000円」の文字。最初の千円札以来、お金は一度も入っていません。

「また手紙だけか……」

封筒を開けるたび、私はため息をつくようになりました。

私だって生活に余裕があるわけではありません。返すと言っていたのに、いったいいつになったら返してくれるんだろう。

そのうち、もう返すつもりはないのかもしれないと、半分あきらめていました。

妹が上京して10年がたったある夜のことです。

私はしまっておいた手紙を取り出し、居間のテーブルに並べてみました。

「そういえば、毎年ちゃんと送ってきてたんだよね……」

順番に読み返していくと、どの手紙にも、同じ残額が書かれています。

「残り149,000円」

「残り149,000円」

「残り149,000円」

最初の千円を返して以来、残りの金額はずっと変わっていません。

それなのに、毎年欠かさず金額を書いて送ってくるのです。

「ちょっと……律儀すぎるでしょ!」

私はとうとう吹き出してしまいました。

読み返せば、短い近況報告には、新しくできた仲間のことや、夢に向けて挑戦したことが書かれています。

返済は進んでいないのに、妹はあの15万円の約束だけは忘れていなかったのです。

呆れる気持ちもありましたが、どこか妹らしくて、ひとりで笑いが止まらなくなりました。

それから数日後、妹から11通目の手紙が届きました。

封筒を開けると、久しぶりに千円札が1枚入っています。

そして、手紙にはこう書かれていました。

「ようやく少し仕事が入るようになりました。残り148,000円」

「やっと減った!」

私はまた吹き出してしまいました。

完済まではまだ先が長そうです。それでも、ようやく動いた残額がなんだかうれしくて。

私はその手紙を、10年分の手紙の横にそっと並べました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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