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『パンズ・ラビリンス』撮影中、主演の少女が食べた「ブドウの数」

  • 2026.10.9

ギレルモ・デル・トロ監督のダークファンタジー映画『パンズ・ラビリンス』が、公開から20周年を迎えた。米国では20周年を記念した3D版の再上映も行われるなか、11歳で主人公オフェリアを演じたイバナ・バケロが、米BuzzFeedのインタビューで撮影当時の思い出を語った。(フロントロウ編集部)

オーディションでは「10分で覚えて」

少女オフェリアが迷宮で牧神パンと出会い、現実と幻想の狭間で試練に立ち向かう物語。上映時間は1時間58分。希望と恐怖が入り混じる独特の世界観は、公開から20年がたった現在も高く評価されている。

イバナはすでに子役として活動していたが、オフェリア役を射止めた最終オーディションは波乱含みだった。デル・トロ監督との面談の場で、事前に渡されていた台本の抜粋が、実際に演じる場面とは異なっていたことが判明。「この部分を10分で覚えて、またギレルモの部屋に戻ってこられる?」と聞かれたという。それでも見事に役を演じきり、監督はオーディションの直後に出演をオファーした。

デル・トロ監督はリハーサルを重視しており、撮影前からオフェリアの家族や生い立ちを掘り下げる準備が続いた。イバナはその経験を、現在も俳優としての仕事に生かしているという。

ペイルマンのシーンで「ブドウ80粒」

作品のなかでも、多くの観客の記憶に焼き付いているのが、青白い怪物ペイルマンのシーンだ。演じたのは、パン役も務めたダグ・ジョーンズ。イバナはダグの怪物姿を目にするたびに圧倒されたが、本人が話し始めると、すぐに撮影現場の現実に引き戻されたという。そこで、初めて目にした瞬間の衝撃を意識的に覚えておき、オフェリアとして怪物と向き合う際に思い出すようにしていた。

ペイルマンの広間で、オフェリアがごちそうのブドウをつまんでしまう有名なシーンには、こんな裏話がある。

「すごくおいしかったんです。たぶん80粒くらい食べたので、その日はお腹がいっぱいでお昼ご飯を食べられませんでした」

オフェリアがブドウに手を伸ばすのを止めようとする妖精はCGで描かれていたため、うまく合成できるかモニターで何度も確認しながら撮影が進められ、そのたびにブドウを口にすることになったという。

さらに、オフェリアが走って逃げる「果てしない廊下」も、実際にはごく短いセットだった。角を曲がるたびにスタート地点へ戻って撮影していたそうで、完成した映画を見て「ああ、こういう仕掛けだったのか」と納得したと振り返っている。

人生で一番寒かった日

巨大なカエルがすむ木のシーンは、屋内セットとマドリード郊外の山中で撮影された。泥まみれになって木から出てくるシーンでは、凍えるほど寒かったにもかかわらず、泥の付き方をカット間でそろえる必要があり、毛布をかけることも難しかったという。そこで撮影現場には、撮影が終わったらすぐに温かいシャワーを浴びられるよう、移動式のシャワー設備が用意された。イバナは「人生で一番寒かった日」として、今も覚えているという。

撮影の合間には、メルセデス役のマリベル・ベルドゥに英語を教えていたという、ほほえましいエピソードも。現在も、泥で汚れる前の緑色のドレスや、ラストシーンに登場するオフェリアの赤い靴を記念に保管しているそうだ。

そして、見る人によって解釈が分かれる結末についても語った。撮影当時は「オフェリアは本当に別の世界へ行った」と信じていたが、成長するにつれて「現実から逃れるための手段だったのではないか」と考えるようになったという。しかし、大人になった現在は、精神的な意味であったとしても、オフェリアは本当にあの世界へ行ったのだと思うようになったそうだ。

「見るたびに新しい発見があって、見方が変わるんです」

公開から20年がたっても色あせない作品の魅力は、主人公を演じたイバナ自身のその言葉に表れているのかもしれない。

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