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「ごめん。ちゃんと話したい」彼女から初めて届いた一言に、俺は電話口で「送ってくれて、ありがとう」

  • 2026.10.9
ハウコレ

入力欄に打ち込んだ「ごめん」を、送らずに後ろから消しました。付き合って3年、喧嘩のあとにこの一言を先に送るのは、いつも俺の方でした。けれどその日だけは、画面を伏せ、買い物袋の横に置いたままにしました。

材料を前に打ち返した、短い言い合い

その日は、彼女が仕事帰りに俺の部屋へ来る約束。スーパーで鍋の材料をそろえて帰ったところで、彼女からメッセージが届きました。

疲れたから今日は行けないかも、という彼女に、材料はもう買ってあると返すと、やりとりは一気に尖っていきました。

「疲れてるって言ってるじゃん」

「前も同じ理由でなしになったよね」

「じゃあもういいよ」

疲れている相手に、前のことまで持ち出したのは俺です。ただ、直前で予定を消されて、袋いっぱいの材料を前に黙っていられなかったのも本当でした。

俺が送り続けてきた「ごめん」の意味

喧嘩のたびに先に送ってきた「ごめん」は、自分だけが悪いと認める言葉ではありませんでした。まだ話したい、という合図のつもりでした。

学生の頃、喧嘩のあとにお互い連絡しないまま、それきりになった恋がありました。どちらかが最初に扉を開けないと、関係はそのまま終わってしまう。だから彼女と付き合ってからは、どんな言い合いのあとも、半日以内には必ず送ってきました。

ただ、3年続けるうちに、別の考えも溜まっていきました。もし俺が送らなかったら、この人は追いかけてきてくれるのだろうか。

既読のまま止まったチャット

消した「ごめん」は、打ち直さずにおきました。終わらせたかったわけではありませんでした。一度だけ、彼女の方から戻ってきてほしかったのです。

彼女を試すような真似だと、自分でも分かっていたのに。材料を冷蔵庫にしまったあとも、布団の中でも、既読のまま止まったチャットを開いては閉じていました。翌日も仕事の合間に確かめ、何も届いていないたびに、連絡が途切れたまま終わったあの恋を思い出しました。

先に送らなければ終わる。そう信じてきたのに、扉を閉めかけているのは俺の方でした。

そして...

彼女からのメッセージが届いたのは、部屋に帰り着いたところでした。

「ごめん。ちゃんと話したい」

開いてすぐ、通話ボタンを押しました。電話がつながってからも、口を開くたびに鼻をすするばかり。ようやく出た言葉も、途中で途切れました。

「送ってくれて、ありがとう」

彼女は「うん」とだけ答えました。

関係をつなぎ止めているのは自分だけだと、3年間どこかで思っていました。この日届いた「ごめん」は、そうではなかったという返事でした。

(20代男性・システムエンジニア)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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