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充電中以外の事故も32件 モバイルバッテリーのNG

  • 2026.10.9

モバイルバッテリーの事故の記録のうち、2024年1月以降に起きた123件をweboo編集部が全件読みました。かばん・車内・保管中など充電中以外の場面が32件。原因の特定に至らない記録が123件中113件あるため、記録の状況とNITE・東京消防庁などの注意がそろう場面だけをNG5つにまとめ、回収告知の後に起きた記録も数えています。

通勤のかばんの中、車の座席、引き出しの中。モバイルバッテリーは、充電している時間より、持ち歩いたり置いておいたりする時間のほうが長い道具です。
NITE(製品評価技術基盤機構)が製品事故の記録を検索できるようにしている「NITE SAFE-Lite」で、2024年1月以降に起きたモバイルバッテリーの記録123件を、weboo編集部が全件読みました。充電中や、ほかの機器に充電している最中の記録が80件ある一方で、かばんの中、車内、保管中、充電を終えた後の記録が合わせて32件ありました。
ただし、123件のうち113件は原因の特定に至っていません。そこで、記録に残っていた状況のうち、NITE・東京消防庁・国民生活センターも注意している場面だけを選び、NGとして5つ並べました。事故の原因と決まった場面ではない点に注意してください。使わなくなったモバイルバッテリーの出し方は、関連記事「モバイルバッテリーの捨て方 燃えないごみに混ぜないで」にまとめています。

123件のうち原因の特定に至らない記録が113件

SAFE-Liteでは、モバイルバッテリーの品名が「モバイルバッテリー(リチウムイオン)」のほか、「リチウム電池内蔵充電器」と書かれています。この2つの品名で拾える記録は全部で541件あり、この記事では全件を読める範囲として、発生が2024年1月から2026年2月までの123件に絞りました(品名は、リチウム電池内蔵充電器88件、モバイルバッテリー35件)。2026年10月7日時点でNITEに届いて公開された記録の数で、国内の事故をすべて数えたものではありません。2025年以降に起きた記録はまだ33件です。
123件を原因の区分で分けると、原因の特定に至らなかった記録が113件で、ほとんどを占めます。うち101件は原因の文に「焼損が著しく」「焼損は著しく」とあり、焼け方が激しくて確かめきれなかった記録です。結論には「製品起因か否かを含め、事故原因の特定には至らなかった」といった文が並びます。NITEが製品に起因するとしながら原因は不明とした記録が8件、製品に起因しない事故と推定された記録が2件(廃棄予定の段ボールに入ったまま圧縮機にかけられたもの、バイクの荷物入れでマフラーの熱を受けたとみられるもの)でした。原因区分の欄が空いている(「--」の)88件は、結論の文を読んで振り分けました。

被害の種類は、重大製品事故の「火災」が88件、周りの物まで焼けた拡大被害が30件、軽傷が4件、製品破損が1件です。火傷などでけがをした人が出た記録は8件、住宅が全焼・半焼した記録は3件ありました。亡くなった方が出た記録はありません。

充電中以外の場面は32件 かばんの中が12件

次に、通知と調査結果に書かれた「どんな場面だったか」で1件ずつ分けました。充電中と、ほかの機器に充電している最中・使っている最中を1つにまとめ、それ以外は書かれている場面で数えています。
充電中などの記録は80件。それ以外では、かばん・リュック・紙袋に入れていた記録が12件、車内に置いていた記録が9件、保管中やロッカーなどに置いていた記録が7件、充電を終えた後の記録が4件でした。場面が書かれていない記録も9件あります。
気づいたきっかけが通知に書かれた記録では、異音・異臭・煙で気づいたものが31件、火災警報器が鳴って気づいたものが7件ありました。

NG1|日中の車内に、助手席やダッシュボードの上に置いたまま

買い物のあいだ、助手席にポンと置いたまま。ソーラーパネル付きのものを、ダッシュボードで充電しておく。そんな場面です。
車内の記録は、充電中や給電中だった5件を含めて14件ありました。晴れた日に屋外の駐車場で約2時間前から助手席に置かれていた記録、炎天下のダッシュボードの上でソーラーパネルで約2時間充電していた記録、前日の昼から屋根のない駐車場の車の助手席に置かれ、当日は11時に外気温が30℃を超えていた記録などです。ダッシュボードの記録は、電池が内圧の上昇による膨張で破裂し、噴き出した可燃性ガスに引火したと推定されていますが、ここでも原因の特定には至っていません。
発生した月を見ると、6〜9月が8件、残りの6件は2〜4月と10月でした。2月には、リュックに入れて助手席に日中置いていた記録もあります。

こうする:暑い日の車内など高温の場所に放置しない。
NITEは「直射日光の当たる場所や暑い日の自動車内などの高温下には放置しないでください。」とし、NITEに通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故のうち、自動車内での事故はモバイルバッテリーが最も多いとしています。記録には2月や10月の日中に車内に置いていたものもあります。

NG2|かばんの中に入れたまま、スマホを充電する

ケーブルでつないだまま、モバイルバッテリーとスマホをまとめてバッグへ。移動中に充電を済ませたい日にやりがちです。
かばんやリュックの記録14件のうち、かばんの中で充電していた記録は2件でした。バッグの中でスマホを1時間ほど充電していたら煙が上がって火が出た記録と、娯楽施設で鞄に入れたままスマホを充電していた記録です。
充電していなくても、かばんの記録は12件あります。充電を終えて約5時間たち、何もつないでいない状態で鞄に入れていた記録、日中に炎天下に置かれていたリュックが電車内で燃え、2名がけがをした記録、自転車のハンドルに掛けたかばんのポケットに入れていて、電池に外から力が加わった可能性が考えられるとされた記録などです。

こうする:熱のこもりやすいかばんの中での使用を控える。
東京消防庁は火災を防ぐポイントに「熱のこもりやすい鞄の中などでの使用を控える。」を挙げ、令和6年の発表では、充電中でないときの火災として、熱がこもりやすい鞄などに入れていたモバイルバッテリーからの出火を挙げています。NITEも、かばんに入れるときは「上や近傍に硬いものや重いものを配置しない」よう呼びかけています。

NG3|落としてケースが開いたのに、テープで巻いて使う

床に落としても、ちゃんと充電できるから大丈夫。そう思って使い続ける場面です。
記録の調査結果に、落としたことがあると書かれたものは5件でした。過去に落としてケースが開くようになったため、粘着テープで巻いて使い続け、列車の中で充電中に燃えた記録。「10回以上落下させたことがある」と申し出があった記録が2件。何度か落として正常に充電できないことがあり、しばらく使わずにいたが、使い始めて約10日後に火が出た記録もあります。この記録では、同等品1個を調べたところ、電池の中の電極体に巻きずれも見つかっています。いずれも原因の特定には至っていませんが、5件のうち2件は、次のNG4の「異常のサイン」も書かれていた記録です。

こうする:落下などの強い衝撃を与えない・変形や破損があれば中止。
NITEは「落下等の強い衝撃や圧力を加えない」とし、使用を中止するサインの1つに「落とす、ぶつけるなどで強い衝撃を与え、一部が変形や破損をしている」を挙げています。国民生活センターも「落下などで電池に衝撃が加わると、発煙・発火を伴う事故につながる可能性も考えられます。」としています。

NG4|膨らんだ・充電できないのに、使い続けたり手で押したり

少し膨らんできたけれど、まだ充電できる。充電できなくなったから、別のアダプターでつないでみる。そんな場面です。
膨らみや「充電できない」などに、事故の前から気づいていたと書かれた記録は5件でした。ワイヤレス充電の面が約1週間前から膨らみ、カバーが外れそうだったが、熱くならず充電できていたのでそのまま使っていた記録。朝から膨らんでいて、スマホを充電できなかったため、本体を別のアダプターで充電していたら火が出た記録。膨らんで満充電にならず、その日に家電販売店で回収してもらう予定だったものを、車の助手席に置いていた記録もあります。
膨らんでいることに気づき、両手で本体に圧力を掛けたところ、白い煙が噴き出したという記録も1件ありました。

こうする:充電・使用をやめ、販売店やメーカーに相談。
NITEは、充電できない、膨らんで変形している、などの異常を見つけたら「充電・使用を中止して、お買い求めの販売店やメーカーに相談してください。」としています。あわせて「膨張を元に戻そうとして強い力が加わったことで異常発熱して出火した事故も発生しています。」とも書いています。東京消防庁の注意も、膨らみや充電できないといった異常のあるものは使わず、製造事業者か販売店へ相談するという内容です。膨らんだものを手放すまでの置き方は、関連記事「モバイルバッテリーの捨て方」で扱っています。

NG5|寝る前に枕元で充電を始める

朝までに満タンにしておきたくて、ベッドの枕元で充電を始める。毎晩の習慣になりやすい場面です。
枕元に置いて充電し、寝ていたところ火が出て、1名が火傷を負った記録が1件ありました(原因の特定には至っていません)。また、通知に「火災警報器が鳴動したため確認すると」と書かれた記録が、場面を問わず7件ありました。

こうする:就寝時・外出時の充電を避け、目の届く場所で。
NITEは「充電中に異常が発生した際、すぐに対処できるように、外出時・就寝時などの充電を避け、周りに可燃物のない安全な場所で充電を行いましょう。」としています。目の届く時間に充電を済ませ、充電しているあいだは周りに燃えやすい物を置かないようにします。

措置の欄に回収とある記録のうち7件は告知の後

123件の措置の欄を読むと、事業者が回収や返金などを行っていると書かれた記録が13件ありました。そのうち7件は、回収などの告知がホームページに出た日より後に起きた記録です。告知から事故まで、7年あまりたっていた記録もあります。告知より前に起きた記録は5件、対象が一部のロットに限られ、事故品が対象かどうか書かれていない記録が1件でした。このほか、措置の欄には書かれていないものの、回収の告知が出ていた型式と同じとみられる(型式が推定の)記録が、告知の後にもう1件起きています。
一方で、この期間に記録が最も多い型式(7件。型式欄が「A1263016」の1件を含めると8件)は、2025年10月21日に経済産業省が発表したリコール(回収及び交換)の対象の型番です(2022年12月25日〜2025年10月21日に販売されたもので、製品に記載された型番・シリアルナンバーで確かめるよう案内されています)。それでも、措置の欄に回収と書かれているのはそのうち2件だけで、残りの5件は「引き続き同様の事故発生について注視していく」という記載でした。措置の欄に書かれていなくても、後から回収の対象になった型式があります。

NITEは、リコール対象製品を持っている場合は「不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、お買い求めの販売店や製造・輸入事業者に確認や相談をしてください。」としています。手持ちのモバイルバッテリーの型式は本体の表示で確かめ、消費者庁のリコール情報サイトなどで調べられます。

煙や火花が出たら 近寄らず、収まってから水か消火器

記録では、異音・異臭・煙で異常に気づいたものが31件ありました。気づいたあとの動きは、公的機関の資料に書かれた手順で確認しておきます。
NITEは、煙や炎が噴き出している時は「絶対に近寄らないでください。」としたうえで、モバイルバッテリーのようにポケットに入る小型のものなら「火花が収まったら、消火器や大量の水を掛けることで消火することができます。」と説明しています。消火したあとも熱を帯びているため、「消火後は可能な限り水没させた状態で、消防機関へ通報してください。」とし、対処が難しいときは「身の安全の確保を第一に 119 番通報してください。」としています。
東京消防庁も「電池から煙や火花の飛び散っているときには近寄らず、火花が収まってから消火器や大量の水で消火するとともに119番通報してください。」と呼びかけています。

ネット通販で買った記録と、ぬれた記録

事業者が不明などで「措置はとれなかった」31件

措置の欄に「措置はとれなかった」とある記録が31件ありました。理由は、製造・輸入事業者が不明が26件、海外の事業者から個人輸入したもので輸入事業者がいないが4件、輸入事業者と連絡が付かないが1件です。うち23件は、通知に「ネット通販で購入した」と書かれています(ネット通販とある記録は全部で25件)。NITEは、購入前に「販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報を確認する」ことを挙げています。表示のマークの確かめ方は関連記事「モバイルバッテリーの捨て方」の後半で扱っています。

水筒のお茶でぬれた2週間後の1件

リュックの中で水筒のお茶がこぼれてぬれ、約2週間後に焼けた記録が1件ありました。ただ、この記事で確かめたNITE・東京消防庁・国民生活センターの資料には、ぬれたモバイルバッテリーの使い方についての注意が無かったため、NGには入れていません。

まとめ 置き場所の熱と、落とした・膨らんだ後の使い方

出典 www.nite.go.jp

2024年1月以降のモバイルバッテリーの記録123件は、113件が原因の特定に至らない記録でした。場面で見ると充電中などが80件と多い一方、かばん・車内・保管中・充電を終えた後といった充電中以外の場面も32件ありました。
車の中に置きっぱなしにしない。かばんの中で充電しない。落として傷んだもの、膨らんだもの、充電できないものは使わない。寝ている間に充電しない。そして、手持ちの型式が回収の対象になっていないか、ときどき確かめておきましょう。

※件数は、NITE SAFE-Liteの事故情報(2026年10月7日取得)のうち、品名に「モバイルバッテリー」「リチウム電池内蔵充電器」を含み、発生が2024年1月〜2026年2月の記録について、weboo編集部が全件に目を通して分けた数です。場面の分け方は編集部の判断で、NITEの区分ではありません。充電の方法や使える機器は、製品ごとの説明書に従ってください。

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