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ヴェネツィアの歴史を色と光で再解釈。クリスティーナ・チェレスティーノが手がけた新ホテルの魅力とは?

  • 2026.10.1
Davide Lovatti

2026年夏、ヴェネツィアに新たなブティックホテル「エリザベス・ユニーク・ヴェニス」が開業した。17世紀に建てられたパラッツォに新鮮な空気を吹き込み、現代的な居心地のよい空間へと再生させたのは、イタリアの建築家でデザイナーのクリスティーナ・チェレスティーノだ。

Davide Lovatti

エリザベス・ユニーク・ヴェニスが位置するカンナレージョ地区は、この街のなかでも市民の日常生活が感じられる穏やかなエリア。ホテルは、この地区を流れる運河沿いに立つ。

ヴェネツィア建築大学(IUAV)で建築を学んだチェレスティーノにとって、ヴェネツィアは特別な存在だ。「どのような視点から空間や素材を観察し、いかに建築と時間の関係性を把握するか——こうしたことに対するアプローチは、この街から多くを学びました」と言い、続ける。「だから、仕事でここに戻ってこられたことは、私にとって非常に意味のあるのです」

Davide Lovatti

2019年に完成した「エクペリメンタル・カクテル・クラブ」に続き、チェレスティーノにとってヴェネツィアでは2件目となる本プロジェクトは、歴史的な邸宅を14室のブティックホテルにリノベーションするというもの。

数世紀の時を重ねるなかでさまざまな機能を果たしてきた建物には、増改築の跡がいくつも残されていた。「付け足されたものを取り除き、竣工当初の姿を取り戻すことから始めました」と彼女は振り返る。

Davide Lovatti

エリザベス・ユニーク・ヴェニスでは、街の歴史や伝統に敬意を示しながらも、何か「新しいもの」をつくりたかったとチェレスティーノは話す。「過去と現在の景色を共存させるようなイメージで、レイヤーを重ねていきました。この街を表現する、新たな“言語”を開発したいと思ったのです」

Davide Lovatti

運河のグリーン、深紅、石の色を空間に

チェレスティーノは、ヴェネツィアの景色や光に着想を得た3つのカラーを使い、これを実践。選んだのは、変化し続ける運河の色を反映したグリーン、ヴェネツィアのテキスタイルに見られる深紅、そして石やしっくいを想起させるサンドカラーだ。「壁面やファブリック、床、木を使ったディテール、ホテルのためにデザインした家具に取り入れました」

Davide Lovatti

ヴェネツィア伝統の素材や技術にも注目したい。ガラス工房と照明を共同で製作したほか、街を象徴する素材も多く取り入れた。「セミナート(大理石や石の破片をセメントなどで固めて磨き上げる床仕上げ)、マルモリーノ(消石灰と細かく砕いた大理石を混ぜ合わせたしっくい)、それからムラーノガラスですね。私はこれらを敢えて現代的なデザインのなかで使いました。幾何学的なパターンをつくったり、これをカラーバリエーションとして組み込んだりしています」

Davide Lovatti

素材やカラーを組み合わせる上で大切にしたのは、それぞれの質感や反射性、自然光に対する反応。バランスを見極めながら内装を仕上げ、家具を配置した。「職人技の高さや上質な素材を感じさせつつ、全体としては軽やかな印象に仕上げることができました」とチェレスティーノは満足げに語る。

ヴェネツィアを象徴する運河や光の風景と調和するエリザベス・ユニーク・ヴェニス。チェレスティーノは、自身が携わるプロジェクトにおいて、自然や植物をこれまで以上に取り込んでいきたいと話す。また、日本のものづくりや文化にも深い興味があり、「洗練されたカラーパレットや、自然界のモチーフとグラフィックのコンビネーションに強くひかれています」と明かしてくれた。

過去と現在がゆるやかに交差するホテルに滞在したなら、イタリアが誇る「水の都」の新たな魅力を全身で感じることができそうだ。

Davide Lovatti

Elizabeth Unique Venice
住所/Fondamenta Cannaregio, 1061 - 30121, Venezia, Italy

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