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石油ストーブのNG5つ 給油とガソリンの事故147件

  • 2026.10.1

2011年1月以降に起きた石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故867件(NITEの製品事故情報)をweboo編集部が原因ごとに分けたところ、使い方が原因とみられる290件のうち147件は、給油のときの灯油こぼれとガソリン・混合油の誤給油でした。火を消さない給油、ガソリンの置き場所、天板や吹き出し口、スプレー缶、換気のNG5つをまとめました。

石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故のうち、使い方が原因とみられる290件の約半分は、給油のときの灯油こぼれと、ガソリンの誤給油でした。NITE(製品評価技術基盤機構)が公開している2011年1月以降の事故の記録867件を、weboo編集部が原因ごとに分けた結果です。
灯油を買い足して今シーズン最初の火を入れる前に、見直しておきたいことがあります。記録の多い場面と、NITE・消費者庁・国民生活センター・消防などの呼びかけから、やりがちなNGを5つ選びました。

使い方の事故290件のうち147件は給油とガソリン

NITEが公開している事故のデータベース「NITE SAFE-Lite」を使い、品名が石油ストーブ・石油ファンヒーター(石油温風暖房機を含む)の記録を集めました。煙突や屋外への給排気が付いた据え置き型(FF式・半密閉式など)は、給油や置き方の前提が違うため外しています。全期間では3,321件と多いため、PSCマークの無い石油ストーブが販売できなくなった2011年に合わせ、2011年1月〜2026年2月に起きた867件に絞りました(石油ストーブ560件、石油ファンヒーター307件)。
NITEの調査結果に書かれた原因の結論をもとに、1件を1つの原因に分けた結果です。
・541件:原因不明、または製品以外の原因とみられる(焼損が激しい・使っていた状況がわからないなどで、原因の特定に至らなかったと書かれたものが大半)
・290件:使い方による事故とみられる
・12件:製品の不具合による事故とみられる
・12件:製品の問題と使い方の両方が関わったとみられる
・9件:長年の使用による劣化
・3件:業者の修理・設置の問題

使い方が原因とみられる290件を中身で分けると、多かったのは給油のときにこぼれた灯油に火がついた事故の88件と、灯油と間違えてガソリンや混合油を入れた事故の59件でした。合わせて147件で、使い方の事故の約半分(50.7%)が給油にまつわる事故です。147件のうち12件は、亡くなった方がいる事故でした。
次いで、布や洗濯物など燃えやすい物が触れた・熱せられた事故が39件、ほこりや物で空気の取り込み口がふさがった事故が19件、スプレー缶やライターなどを近くに置いた事故が15件ありました。

この数字の範囲
・SAFE-Liteで公開されている事故情報を検索して集めた数で、国内で起きた事故の総数とは違います
・どの原因に入れるかはweboo編集部が記録を読んで判断しており、NITEの原因区分をそのまま使った数ではありません。NITEの区分が空欄の記録や「製品に起因しない」とある記録は、結論の文を読んで振り分けました
・使い方が原因とみられる290件のうち144件は2011〜2015年の記録で、近年ほど件数は少なくなっています
NITEが原因区分で誤使用・不注意(E)とした201件だけで数えても、給油のときの灯油こぼれとガソリン・混合油は108件で、約半分でした。NG1〜5は件数の多い順ではなく、記録と公的機関の呼びかけの両方がそろうものを選びました。

NG1|燃えたままタンクを抜く・消してすぐ戻す

灯油が少なくなってきたら、部屋が冷えないうちに急いでタンクを抜く。灯油を入れて、ふたを回したら、すぐ本体に戻す。慣れた作業ほど手早く済ませがちです。
給油のときにこぼれた灯油に火がついた88件のうち、40件は、ストーブやファンヒーターを燃やしたままタンクを抜いたり戻したりしていた記録でした。火が消えた直後の、まだ熱い燃焼部などにこぼれた灯油が触れて火が出た記録も6件あります(自分で消火した記録のほか、給油時の自動消火装置が働いたとみられるものなどを含みます)。こぼれたきっかけは、ふたの締め忘れや締め不足、斜めに締めていた、閉まったと思い込んでいた、タンクを抱えて運ぶ途中につまずいた、などです。88件のうち7件は、亡くなった方がいる事故でした。原因の特定に至らなかったなどで使い方の事故に数えなかった記録にも、火を消さずに給油していたと書かれたものが19件ありました。

見直すなら:火を消してから給油し、ふたの閉まりと漏れを確かめる。
NITEと消費者庁は2023年10月、給油する際は必ず先に消火し、給油口のふたがしっかり閉まっていることを必ず確かめてから本体にセットするよう呼びかけました。NITEはこのとき、消火して間もない高温の燃焼筒に灯油がかかって火がつく様子も写真で示しています。PSCマークの付いた製品には、閉まるときの音や見た目・手ごたえで、ふたが閉まったかを確かめられる機能があるとしています。本体に灯油をこぼしてしまったときについては、「灯油が機器本体にこぼれた際は、機器内部に浸入しているおそれがありますので、使用を中止し、販売事業者や製造事業者に相談してください」としています。
さいたま市消防局も、給油はストーブを消してから行うよう呼びかけ、京都府は給油のときに必ず火を消し、カートリッジタンクのふたが完全に締まっているかを確かめるよう求めています。

NG2|灯油とガソリン・混合油を同じ物置に置く

草刈り機や除雪機、原付バイクの燃料と、冬の灯油。物置やガレージの同じ棚に、似たような容器で並べていませんか。
集計では、灯油と間違えてガソリンや混合油(エンジン用にガソリンとオイルを混ぜた燃料)を入れた事故が59件ありました。記録には、草刈り機や除雪機、原付バイクのために用意していたガソリンを入れた、納屋に灯油と混合油とガソリンが一緒に置かれていた、といった経緯が書かれています。燃やしているうちにタンクの中の圧力が上がり、押し出されたガソリンがあふれて火がついた、という記録が目立ちました。59件のうち5件は、亡くなった方がいる事故です。
このほか、使い方の事故には数えていませんが、給油所が誤ってガソリン(またはガソリンの混ざった灯油)を販売していた記録が4件、ガソリンが混ざった経緯がわからない記録が6件ありました。

見直すなら:灯油は灯油用の容器、ガソリンは携行缶に入れ、別の場所へ。
NITEは、誤ってガソリンや混合燃料を給油すると少しの混入でも火災に至るおそれがあるとし、灯油は灯油用ポリタンクなどの専用の容器に、ガソリンは消防法に合った金属製の携行缶に入れて、別の場所で保管する、ラベルで区別するといった対策を求めています。2025年10月の呼びかけでも、灯油とガソリンを別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐ対策の徹底を挙げました。
京都府は、灯油と間違えないように、ガソリンをポリタンクで保管しないよう呼びかけています。

NG3|天板や吹き出し口の前を物置き・物干しにする

温風の出るファンヒーターの前に、取り込んだ洗濯物のかごや雑誌を置く。ストーブの天板にポットや乾かしたいタオルをのせる。暖かい場所ほど、物が集まりがちです。
燃えやすい物が触れた・熱せられた事故39件を見ると、温風の吹き出し口の前や中に入った物が13件、上に干していた洗濯物が落ちたものが9件、天板の上に置いた物が7件でした。合わせて29件です。吹き出し口の近くに積んでいた物が崩れて入り込んだ、ファンヒーターに毛布や布団をかぶせて使っていた、天板に樹脂の容器を置いたまま使った、という記録があります。39件のうち5件は、亡くなった方がいる事故でした。

見直すなら:上で洗濯物を干さず、周りに燃えやすい物を置かない。
NITEは、石油ストーブの上部などで洗濯物を干さないこと、カーテンやふとんなど燃えやすいものの近くで使わないことを挙げ、洗濯物の乾燥などで機器の上部や周囲に燃えやすい物を置かないよう呼びかけています。2025年10月には、使っている間の注意として、壁や燃えやすい物との距離が十分にとれているかを確かめる(洗濯物は乾かさない)ことを加えました。どれだけ離すかは製品ごとに取扱説明書に書かれています。
さいたま市消防局も、ストーブの周りに紙類や洗濯物、布団などの燃えやすいものを置かないよう呼びかけています。

NG4|スプレー缶を温風の当たる所に置きっぱなし

寒い脱衣所や玄関で、ヘアスプレーや殺虫剤の缶を暖房のそばに置いたまま。温まったほうが出がよさそう、と思うこともあるかもしれません。
スプレー缶やライター、ガスボンベなどを近くに置いた事故は15件で、件数は多くありません。ただ、スプレー缶が関わる12件のうち11件は石油ファンヒーターでした。ファンヒーターの前に置いた殺虫剤の缶が温風で熱せられて破裂した、スプレー缶の入った買い物袋を吹き出し口の近くに置いていた、という記録です。破裂して出た可燃性のガスに、ファンヒーターの火が燃え移っていました。ほかに、カセットボンベを付けたカセットこんろを石油ストーブの天板に置いたまま火をつけた記録もあります。

見直すなら:暖房器具の近くにスプレー缶を置かない。
NITEは2018年12月、冬は特に石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどの暖房器具の近くにスプレー缶を置かないよう呼びかけました。缶が熱せられると中のガスがふくらんで圧力が上がり、破裂するおそれがあるとしています。NITEの別の資料も、可燃性のスプレー缶を石油ストーブの付近に置いたり、近くで使ったりしないよう求めています。
さいたま市消防局は、ファンヒーターの吹き出し口付近に置かれたスプレー缶が温風で熱せられて破裂し、出火した例を挙げ、ストーブの周りにスプレー缶を置かないよう呼びかけています。

NG5|窓を閉めきったまま長時間燃やし続ける

せっかく暖まった部屋の空気を逃したくなくて、窓は閉めきったまま。石油ストーブや石油ファンヒーターは、部屋の空気を使って灯油を燃やしています。
換気が足りなかった・つけたまま寝ていたことによる事故は4件と少数ですが、閉めきった部屋で長い時間換気をしないまま使って一酸化炭素中毒になった、においに気づきながら火をつけたまま寝てしまい一酸化炭素中毒になった、という記録があります。集計した867件のうち、被害に一酸化炭素中毒が含まれる記録は8件でした。

見直すなら:定期的に窓を開けるなどして換気する。
NITEは、酸素が不足すると不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生し、中毒をおこすおそれがあるとして、換気を必ず行うよう呼びかけています。2011年3月の震災直後に出した注意喚起でも、閉めきった場所で換気をせずに長時間使うと一酸化炭素中毒になるとして、定期的に換気するよう求めていました。
東京消防庁は、火を使う器具を使うときは換気扇を使ったり定期的に窓を開けたりして十分に換気するよう呼びかけ、石油ファンヒーターの近くで2時間近く作業していて頭痛を起こした事例を紹介しています。一酸化炭素を感知する警報器を付けることも早期発見に有効としています。

そのほかの使い方の事故 ほこり・燃焼筒・マッチ

NG1〜5のほかに、使い方の事故290件には次のようなものがありました。
・置台のほこりや物で空気の取り込み口がふさがり、炎が下から吹き出した:19件
・燃焼筒がずれていた・逆さまに載せていたなどで炎が高く上がった:13件
・点火に使ったマッチや点火棒の火・燃えかすが置台のほこりなどに燃え移った:12件
・こぼれた灯油の拭き残しや、漏れに気づきながら使い続けた:11件
・灯油を入れたまま車で運ぶ・傾ける・倒すなどで灯油がこぼれた:9件
・変質した灯油や水の混ざった灯油で、消火しても芯が下がりきらなかったなど:6件
NITEは、燃焼筒をセットしたときや点火したあとに、燃焼筒のつまみを2〜3回ほど動かして正しくセットされているか確かめるよう呼びかけています。しまっていたストーブを出す日のほこり取りや、去年の灯油の扱いは、関連記事の「暖房器具を出す日のNG5つ」で紹介しています。

よくある質問

PSCマークの無い古い石油ストーブは、どこが違う?

NITEによると、石油ストーブなどの石油燃焼機器は2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、2011年からはPSCマークの無い製品は販売できなくなりました。国民生活センターは、長く使っている石油ファンヒーターについての助言の中で、PSCマークが付いている石油ファンヒーターはカートリッジタンクのふたが改善され、給油時消火装置や不完全燃焼防止装置の設置が義務付けられるなど安全性が強化されているとし、安全のために買い替えも検討するよう呼びかけています。
集計した記録の中にも、タンクのふたが閉まったと思い込みやすい構造だったと書かれた事故が9件ありました(「製品の問題と使い方の両方」に分類)。手元のストーブが古い場合は、本体のPSCマークと、リコールの対象になっていないかを確かめておきましょう。

石油ストーブと石油ファンヒーターで、事故の中身は違う?

867件の内訳は石油ストーブ560件・石油ファンヒーター307件ですが、それぞれ何台使われているかの統計がないので、どちらが事故を起こしやすいかは比べられません。中身では、スプレー缶が関わる事故12件のうち11件、吹き出し口の前や中に入った物の事故13件のうち12件が石油ファンヒーターで、温風が届く範囲に物を置いたことが関わっていました。給油やガソリンの事故は、どちらにもありました。

まとめ 給油の手順と置き場所から見直す

出典 www.nite.go.jp

石油ストーブ・石油ファンヒーターでやりがちなNGと、見直すポイントです。
・燃えたままタンクを抜く・消してすぐ戻す → 火を消してから給油し、ふたの閉まりと漏れを確かめる
・灯油とガソリン・混合油を同じ物置に置く → 灯油は灯油用の容器、ガソリンは携行缶に入れ、別の場所へ
・天板や吹き出し口の前を物置き・物干しにする → 上で洗濯物を干さず、周りに燃えやすい物を置かない
・スプレー缶を温風の当たる所に置きっぱなし → 暖房器具の近くにスプレー缶を置かない
・窓を閉めきったまま長時間燃やし続ける → 定期的に窓を開けるなどして換気する
使い方による事故とみられる290件の約半分は、給油のときの灯油こぼれとガソリンの誤給油でした(2011年1月以降の867件をweboo編集部が分類)。タンクを抜く前に火を消す、ふたの閉まりを確かめる、灯油とガソリンを別の場所に置く。まずは給油のたびの手順から整えてみてください。

件数と分類の出どころ:NITE SAFE-Lite(製品評価技術基盤機構)から2026年10月1日に取得した2011年1月以降の記録を、weboo編集部が原因の記述をもとに分類しました(2026年10月1日時点)。給油の手順や周りに空ける距離、換気、お手入れの方法は機種ごとに違うため、実際に使うときは手元の取扱説明書を確認してください。

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