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「薬も飲んでいるのに…」“血圧”が下がらない50代男性Aさん→ある日、手足の痺れで病院に行くと…医師に告げられた“意外な病名”

  • 2026.10.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「減塩もしているし薬も飲んでいるのに、血圧が下がらない。体質だから仕方ないか」―ご家族から「一度詳しく検査してもらったら?」と勧められても、忙しさからしばらく様子を見ていたAさん(50代男性)。

しかしある日、急に手足のしびれを感じ、体に力が入らなくなって受診したところ、「原発性アルドステロン症」と判明しました。「ただの体質だと油断しなければよかった」といまでも後悔していると語っています。

今回は、高血圧の裏に潜む「原発性アルドステロン症」が全身にダメージを与えるメカニズムについて解説します。

ホルモンによる「塩分溜め込みエラー」の恐怖

どれだけ塩分を控えても血圧が下がらない場合、原因は「原発性アルドステロン症」かもしれません。まれな病気と思われがちですが、実は高血圧患者さんの約10人に1人に潜む身近な病気です。

腎臓の上にある副腎という臓器から、血圧を上げるホルモン(アルドステロン)が過剰に出続けてしまうのが、この病気の怖さです。この病気では、次のような流れで全身に影響が生じます。

【血圧が上がり血管にダメージが及ぶ悪循環フロー】

  • ホルモンの過剰分泌:副腎の腫瘍などから、アルドステロンが必要以上に分泌され続ける。
  • 体内に塩分を強制蓄積:腎臓に対し「塩分と水分を体内に溜め込め」と強い指示が出続ける。
  • 血管への深刻なダメージ:血液量が増えて血管に極限の負荷がかかり、脳出血や心不全のリスクが大きく上昇するおそれも。

「普通の高血圧」と「危険なホルモン性高血圧」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「しっかり通院して薬も飲んでいるのだから大丈夫」と自分を納得させたくなるお気持ちは、とてもよく分かります。ご自身の体を後回しにして毎日頑張っておられるあなたを、責めるつもりは全くありません。

しかし、一般的な高血圧とこの病気には決定的な違いがあります。原発性アルドステロン症は「ホルモンが強制的に塩分を抱え込ませるエラー」であるため、一般的な降圧薬を2種類、3種類と重ねても血圧が下がりにくいのが特徴です。 さらに恐ろしいのは、このホルモン自体が心臓や血管に直接ダメージを与えることです。そのため、同じ血圧レベルの一般的な高血圧と比べて、脳卒中や心不全のリスクが2〜3倍以上も高くなってしまいます。また、ホルモンの影響で体内のカリウムが尿から排出され、手足のしびれや力が入らない「低カリウム血症」を引き起こすこともあります。

しかし、原因さえ特定できれば、原因となる腫瘍を腹腔鏡手術で摘出して完治を目指したり、画像で腫瘍がはっきりしないタイプであっても専用の治療薬(MR拮抗薬)で良好にコントロールしたりすることが可能なのです。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

人生を一変させる重大な事態を防ぐために、今すぐご自身でチェックできる3つのサインをご紹介します。

1. 3種類以上の降圧薬を飲んでも血圧が下がりにくい

複数の薬を使っても目標値まで下がりきらない「治療抵抗性高血圧」は、典型的なサインです。 

2. 手足のしびれや、急に体に力が入らなくなる感覚がある 

ホルモン異常により体内のカリウムが減少することで、筋肉や神経に不調が現れる可能性があります。※なお、カリウム値が低下せず、しびれ等の自覚症状が全くないまま血圧だけが高いタイプの方も多いため、しびれがないからといって否定はできません

3. 40歳未満で高血圧と診断された、または上が150以上ある

若くして発症した場合や著しい高血圧がある場合は、ホルモン異常が潜んでいる可能性が高くなります。

血圧が下がらないと気がついたら

「血圧が高いのは体質や年齢のせい」と思い込んでしまうのは決して特別なことではありません。 しかし、そうしている間にも病気が進行しているかもしれません。ぜひ今日からできる一番簡単な一歩として、以下の3つの対処法から実践してみてください。

  • 「薬を飲んでも血圧が下がらない」「手足のしびれが気になる」場合は、放置せず内分泌内科や高血圧専門外来、循環器内科を受診する
  • 血圧手帳をつけて日々の血圧の変化を記録しておく
  • ホルモンを調べる血液検査は、自己判断で血圧の薬をやめずにそのまま受診し、必ずお薬手帳を持参して医師に服薬内容を伝える(急に薬を中断すると危険な血圧上昇を招く恐れがあります)

なお、突然片側の手足に力が入らなくなったり、ろれつが回らなくなったりした場合は、低カリウム血症ではなく脳卒中(脳梗塞・脳出血)の可能性が極めて高いため、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。 「ただの高血圧」が後悔するような事態につながることのないよう、ぜひ日頃から体のSOSに気をつけていきましょう。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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