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夜逃げなのに昼間、しかも夫の職場。イメージを覆す『夜逃げ屋日記』の超リアルな引っ越し【書評】

  • 2026.9.27

【漫画】本編を読む

宮野シンイチさんの『夜逃げ屋日記』(KADOKAWA)。誰かから逃げるために引っ越しをしようとする人の依頼を受け、引っ越し方法の考案、夜逃げ先の手配などあらゆる面で依頼者をサポートする“夜逃げ屋”で、著者自身が働いた経験をマンガにした作品だ。

宮野さんと夜逃げ屋の出会いはテレビだった。テレビで観た夜逃げ屋の女社長をマンガに描くため、宮野さんはなんとか取材を取り付ける。極度の緊張の中待ち合わせ場所に到着すると、現れた社長は「予定変更! 取材は後!」と一言。「人手欲しかったし」と突然夜逃げの現場に連れていかれてしまうのだった。

そうして連れていかれた現場はDV夫から逃れるため、妻が引っ越しをするというもの。「夫が入浴する時に風呂の温度が41度以下だったら掃除からやり直し」「2コール以内に電話に出なければ家を追い出される」など傍若無人なルールに長年従わされていた妻はストレスから味覚障害を発症。ついに夫から逃げる決意をしたという。

決行は昼間、しかも夫の職場が自宅のため、夫がいる中引っ越しは行われると話す社長。それまでのイメージと違う現場に宮野さんは驚く。

現場に着くと、夫の横には警察官が。何もできずソファに座る夫を目にした宮野さんは安心して引っ越しを進めるが、何を思ったか警察官は途中で帰ってしまい……。

「“夜逃げ”という言葉がわかりやすいから使っているだけで、夜以外も引っ越しはする」という社長の言葉に私も「それもそうか」と頷いてしまった。忘れ物を取りには戻れないため、引っ越しは必ず本人同席のもとで行われるというところにも宮野さん同様驚いた。

作中で描かれる引っ越しはまさに十人十色。引っ越しを依頼する人の背景など、知らなかった世界を見せてくれる作品だ。

文=原智香

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