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デイサービスのソファを荷物で独り占めする女性「使わせられないんです」→夫が立ち上がった結果

  • 2026.9.19
SHUFUFU

義父のデイサービスへの送迎に同行するようになって、もう3ヶ月になる。ただ、毎回ロビーに入るたびに、ジワジワと胸が重くなっていた。

「ここは私たちが使いますので」が口癖の女性

待合ロビーには、入り口正面に4人がけのソファがある。窓に近くて明るく、車椅子でも横付けしやすい、ロビーでいちばん使い勝手のいい場所だ。

でも、私たちが着いたとき、そこはいつも「使用中」になっていた。

バッグが2つ、エコバッグが1つ、コートがひとつ分。荷物を広げているのは、60代くらいの女性。お母さんを迎えに来ているらしく、毎回この時間帯に現れる常連さんだった。

「あ、そこは私たちが使いますので」

最初に声をかけられたのは、通い始めて2週目のこと。義父が車椅子をソファへ向けようとした瞬間、さらりと言われた。笑顔だったけれど、有無を言わせない口調だった。

「使わせられないんです」という言葉のトゲ

それ以来、義父はロビーの壁際のパイプ椅子脇のスペースで迎えを待つことになった。

車椅子から移乗するのが難しいため、義父はロビーにいる間もほぼ車椅子のまま。パイプ椅子では横付けしにくく、壁際に止めた車椅子の上で、義父は静かに手をにぎりしめていた。

女性はその間、4人がけのソファにひとりで座り、スマホを見ていた。荷物は隣に堂々と置かれたまま。

一度だけ、私は「少し荷物をずらしていただけますか」と声をかけた。すると彼女はこちらを見もせずに言った。

「ここは私たちの席ですから。使わせられないんです」

——使わせられない。その言葉の意味を、私は理解できなかった。

「席」というのは、自分が決めるものではない。でも、私はそれ以上何も言えなかった。義父の前で場の空気を壊したくなかったし、毎週顔を合わせる相手と揉めるのが怖かった。

夫に話すと「そうなんだ」とうなずいた。怒っているのか、気にしていないのか、よくわからなかった。

夫が静かに立ち上がった

それから5週が過ぎた。

その日は義父の体調がいまひとつで、車椅子に座ったまま少し背中を丸めていた。ロビーに着くと、やっぱりソファには荷物が広がっていた。いつも通りの光景。私はため息をこらえながら、壁際へ義父を誘導しようとした。

夫が、動いた。

ゆっくりとソファの前まで歩いていって、女性に向かって静かに言った。

「義父が体調が優れず、ソファを使わせていただけますか。車椅子を横付けしたいんです」

女性は顔を上げた。「ここは——」と口を開きかけた。

そのとき、ロビーのカウンターから施設のスタッフさんが歩いてきた。ちょうど近くで対応中だったらしく、やりとりを聞いていたようだった。

「○○さん、お荷物をおまとめいただけますか。ソファは皆さんにご利用いただくものですので」

穏やかだけれど、はっきりとした声だった。

女性はしばらく黙っていた。それから無言で荷物をかき集め、自分の膝の上に置いた。

ロビーがシンと静まった。

翌週から、ソファは「みんなの場所」になった

夫が動いたのはあの日、一度きりだった。

でも翌週、ロビーに着くと、ソファには誰もいなかった。女性は来ていたが、荷物は自分の足元にまとめてあった。義父が車椅子を横付けすると、ちらりとこちらを見たが、何も言わなかった。

義父がソファの横にゆっくり車椅子を止めて、窓の外を見た。「明るいな」とひとことだけつぶやいた。

私はその横顔を見て、ようやく3ヶ月分のホッとした息を吐いた気がした。

夫にあとで「あのとき、なんで動いてくれたの」と聞いた。夫は少し考えてから答えた。

「親父がいつも手をにぎりしめてるのが気になってた。我慢してるんだなって」

——ずっと、見ていたんだ。

さいごに

「当然のように」使い続ける場所が、別の誰かをずっとしんどくさせていることがある。夫の静かなひと言が、3ヶ月分の重さをほどいた瞬間でした。言いたくても言えずに黙っていた経験、あなたにもありませんか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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