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「邪魔なんだよ!」混雑した電車で荷物を足で押した乗客。だが、近くにいた別の乗客に救われた瞬間

  • 2026.9.20
「邪魔なんだよ!」混雑した電車で荷物を足で押した乗客。だが、近くにいた別の乗客に救われた瞬間

置き場所のない荷物が、通路にはみ出していた

去年の秋の夕方でした。仕事を終えて乗った電車は、駅に着くたびに混み方を増していきました。

私はドアの近くで手すりにつかまり、鞄を胸の前に抱えて立っていました。

途中の駅で、大きなキャリーケースを引いた人が乗ってきました。かなり重そうで、棚に上げられるような大きさではありません。

車内も混んでいたため、持ち主は通路をできるだけふさがないよう、キャリーケースを自分のそばに寄せて立っていました。

それでも電車が揺れると、ケースが少しずつ動きます。すぐ近くに立っていた若い男性は、そのたびに足を引いていました。

何度目かの揺れのあと、男性が顔をしかめました。

「邪魔なんだよ!」

持ち主は慌てて取っ手を引き寄せます。

「すみません」

ところが次の揺れで、キャリーケースがまた少し男性のほうへ動きました。

すると男性は、今度はさっきより強い口調で言いました。

「だから、邪魔なんだよ」

そう言いながら、つま先でケースの下のほうを押しました。

持ち主は一瞬驚いたように男性を見ましたが、何も言い返さず、取っ手を握り直していました。

周りにいた人たちも気づいていたと思います。それでも混んだ車内で口を挟むのはためらわれたのでしょう。

私も、どう声をかければいいのか分からないまま見ていました。

「こっちに寄せたらどうですか」

そのとき、キャリーケースの反対側に立っていた年上の乗客が、持ち主に声をかけました。

「あの、こっちに寄せたらどうですか」

「え?」

持ち主が顔を上げると、その人は座席端の仕切りの前を指しました。

「私、ずれますから。ここなら入ると思いますよ」

そう言って、自分が立っていた場所を少し空けました。

そこへキャリーケースを寄せると、先ほどまで通路にはみ出していた部分がかなり少なくなりました。

「あ……ありがとうございます。すみません」

持ち主はほっとしたように頭を下げました。

「いえいえ。混んでると置くところないですからね」

年上の乗客は、それだけ言って手すりにつかまりました。

若い男性も一度キャリーケースのほうを見ましたが、それ以上は何も言いませんでした。

しばらくすると、車内もまたいつもの静けさに戻りました。

家に帰ってから妻に話したこと

その晩、家に帰ってから妻にこの出来事を話しました。

「『邪魔なんだよ』って2回も言って、最後は荷物を足で押したんだよ」

妻は思わず眉をひそめました。

「足で?それはちょっと嫌だね」

「うん。でも近くにいた人が、怒るんじゃなくて場所を空けてくれてさ」

「ああ、それで置けたんだ」

「そう。『こっちに寄せたらどうですか』って。それだけ」

妻は少し考えてから言いました。

「困ってるなら、そうやって言ってもらえるほうが助かるよね」

私も同じことを感じていました。

荷物が邪魔だったこと自体は事実です。それでも、強い言葉をぶつける以外にも、その場を収める方法はある。

ほんの少し場所を空けて声をかけた乗客の姿が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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