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香りと空間のプロに聞く、秋の香りのマスターピースと楽しみ方

  • 2026.9.18

香りの楽しみ方はどんどん広がっている。香水はもちろん、気持ちを切り替えるためにミストを噴いたり、心が整うインセンスやキャンドルを焚(た)いたり。秋に楽しみたい特別な香りとその方法を、香りと空間のプロに聞いた。

本記事は、BRUTUS「WELL-MADE クラフト感ある、秋と冬のマスターピース。」(2026年9月15日発売)から特別公開中。

photo: Shu Yamamoto, Kazuharu Igarashi / text: Tsuyoshi Ode

イソップのオイルバーナーとサンタ・マリア・ノヴェッラのポプリ
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服と同じく、気分やシーンで香水を選ぶ

上妻善弘(〈アナイスカンパニー〉代表)

秋になると惹かれるのは、単純に“温かい香り”ではなく、光と影の両方を持っている香りです。ファッションもウールやレザー、カシミヤのように、素材そのものの質感や重なりを楽しむ季節。

香りも同じで、単一のノートが明快に立つものより、甘さの中にある苦味や、花の奥にある煙、果実の後ろにレザーやウッドが感じられる、立体感のある香りを気分やシーンで使い分けます。気温が下がるほど空気も乾いてくるので、トップの華やかさだけではなく、ミドルからラストにかけて深度や違和感が出てくるものがおすすめ。

シン ピュルテのチェリースモーキング
マスターピースはチェリーの甘さと影  〈シン ピュルテ〉の新作の香り《チェリースモーキング》。赤い果実の甘さを軸に、リキュールやコーヒーの苦味が現れる。秋冬には“甘さと影”の両方があることが大切です。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーのオー・トリプル アル・カシール
オフの家の中では、優しくなれる香り  〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉の《オー・トリプル アル・カシール》。ノンアルコールなので、肌に柔らかくとどまります。風呂上がりにボディミルク感覚で使うのが◎。
クルーン キーン アトリエのバタイユ ド フルール
秋に散歩する時は影や違和感を+  以前にロンドンで購入した、〈クルーン キーン アトリエ〉の《バタイユ ド フルール》。廃番ですが、甘すぎず、つけ始めには透明感がありながら、奥に丸みと湿度を含む色気のある香り。
ラルチザン パフューマーのシャッセ オ パピオン
憂鬱な雨の日には晴れた花畑の香り  〈ラルチザン パフューマー〉の《シャッセ オ パピオン》は、晴れた花畑の香りなのに、なぜか雨の日につけたい。街の匂いや音が雨に沈む中、花々が柔らかな光に浮かぶイメージです。

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上妻善弘(〈アナイスカンパニー〉代表)

こうづま・よしひろ/福岡県生まれ。2012年に〈アナイスカンパニー〉を設立し、国内外企業のブランド戦略、マーケティングなどを担当。化粧品の商品開発も手がけ、21年より〈シン ピュルテ〉を展開。

季節や自然の風と一緒に、かすかな香りを楽しむ

パク・ソヒ(〈hinok〉ファウンダー)

私が秋で一番好きなのは、秋風に乗って漂ってくる森の香り。中でも済州(チェジュ)島・西帰浦(ソギポ)の「癒やしの森」を歩く時に出会うヒノキの香りが大好きで、そこから着想を得て《カーム&バランス》という香りを作りました。

そして秋風の香りと同じくらい好きなのが、雨上がりの森から立ち上る匂い。その感覚を想起させてくれる〈パフューマー・エイチ〉の《レインウッド》は、まさに秋のマスターピース。どちらの香りも強く残るのではなく、風のように一瞬通り過ぎながら、気分を少し軽くしてくれるもの。秋にはそんな香りを選び、風と一緒に楽しむのです。

パフューマー・エイチのハンドソープ
秋雨の森を想起させるハンドソープ  〈パフューマー・エイチ〉の《レインウッド》を嗅ぐと、雨上がりの森を散歩している気持ちに。濡れた土と木、ひんやりと澄んだ空気まで感じられ、秋にぴったりの香りです。
引き出しに入れた《カーム&バランス ヒャンナン(香り袋)》
引き出しのサシェで気持ちのリセットを  仕事中に気持ちが張り詰めてしまった時には、空気の切り替えとして、机の引き出しに入れた《カーム&バランス ヒャンナン(香り袋)》をそっとひと嗅ぎします。一瞬のリラックスに最適。
ヒノックのカーム&バランス スプレー
ルームスプレーは窓を開けてから  ルームスプレーを噴く前には窓を開けて空気を入れ替える。その後〈ヒノック〉の《カーム&バランス スプレー》をひと噴き。空間を満たすのではなく、新しい空気に少し香りを足すイメージで。

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パク・ソヒ(〈hinok〉ファウンダー)

韓国発のライフエチケットブランド〈ヒノック〉のファウンダー兼ディレクター。20年以上、コスメ業界で研鑽を積み、2021年に同ブランドを設立。済州島産の天然原料を使ったルームスプレーなどが人気。

空間にも馴染み、残らない香りを楽しむ

川合将人(インテリアスタイリスト)

職業柄、フレグランスアイテムも部屋に馴染むデザインを意識しています。本棚や照明の横、植物と一緒になど、空間作りに重宝するアイテムでもあるので、パッケージも含め過度な装飾がなく、〈フラマ〉の家具のように匿名性のあるものを選んでいますね。〈イソップ〉のオイルバーナーはまさにオブジェとしても楽しめる一品。それでいて香りは、強く残らないものが好み。複雑なものではなく、自然由来の素材の香りがシンプルに漂うものがほとんどです。

一方で、人の往来が多いリビングには、華やかな〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉のポプリをドライフラワーでスタイリングして置いたり、空間ごとに使い分けるのも僕なりの楽しみ方なんです。

フラマのハンドソープ
秋に一番好きな香りで手を洗う  部屋の中に数ある香りの中でも、特にお気に入りなのがみずみずしい〈フラマ〉の《Herbarium》。僕は香水はつけないので、ハンドソープで香りを纏(まと)うようにしています。
玄関に置かれたインセンス
玄関のインセンスは大理石のホルダーで  秋は素材の香りを楽しめる〈vadle〉のインセンス《ホワイトセージ》を、オランダ〈STONED〉のホルダーで。大理石を切り出したシンプルなデザインで落ち着いた空間を演出できます。
ブルーノ・ムナーリの60年代のトレー《モルディブ》に載せた〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉のポプリ
ドライフラワーでポプリを飾る  空間の広いリビングは〈サンタ・マリア・ノヴェッラ〉のポプリで少し華やかに。ブルーノ・ムナーリの60年代のトレー《モルディブ》にドライフラワー等を添えれば、置物としても◎。
イソップのオイルバーナー
本棚には火元も安心なオイルバーナーを  〈イソップ〉のオイルバーナーは火元が中に格納されているので、本棚にも安心して置けます。僕は秋には、温もりのある《ベアトリス オイルバーナーブレンド》を愛用しています。
浴室で焚かれているアロマキャンドル
明かりの代わりにキャンドルをお風呂で  浴室ではアロマキャンドルを照明代わりに使っています。気に入った香りを長く使うのですが、ここはいろいろな香りを試す場所。今のお気に入りは英国〈LO〉の《TO THE SEA》(右)。

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川合将人(インテリアスタイリスト)

かわい・まさと/1978年東京都生まれ。モデルルームや店舗、個人宅の内装デザインなど、多岐にわたり活躍。建築家・進来廉(すずきれん)が70年代に建てた住宅を再生し、2022年に〈BUNDLE GALLERY〉をオープン。

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