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かっこいい大人たち。〈キャプテン サンシャイン〉デザイナー・児島晋輔にとっての「マスターピース」

  • 2026.9.17
〈キャプテン サンシャイン〉デザイナー・児島晋輔さん

ルールを超えて、リアルクローズを更新する

ブランド創業から13年が経ち、昨年には目標に掲げていた旗艦店を東京・南青山にオープンさせた〈キャプテン サンシャイン〉デザイナーの児島晋輔さん。同年10月には韓国にも出店。国内外に多くのファンを抱え、ブランドが大きくなった今も素材開発とメイド・イン・ジャパンのもの作りにこだわり続けている。20代からアメリカンヴィンテージに傾倒し、ユニフォームやワーク、ミリタリーのディテールをデザインに落とし込んできた児島さんだが、近年思わぬ心境の変化があったという。

「実は40代に入ってから古着を着るのが少し恥ずかしく感じていたりしたのですが、50歳を手前に改めて保管していた古着を見直し、再び着るようになりました。世の中で流行っているような記号的な古着ではなく、国も年代も問わず、それらをミックスするのが近年の定番ですね。昔はメンズファッションにおけるルールやスタイルを勉強して意識していたりもしたのですが、今は一周回って気にしなくなりました(笑)」

昨年3月、南青山に開店した〈キャプテン サンシャインアオヤマ〉の店内にて。児島さんが着ているのは1930年代のフランス軍のメカニックジャケット。「古着や柔らかいジャケットをカーディガンのように羽織るのが気分」

かく言う児島さんの服装を見ると、確かにフランスの1930年代のミリタリージャケットに、首元には〈セリーヌ〉のスカーフを巻いて、足元はイタリアの〈エンツォ ボナフェ〉に別注したドレスシューズ。「国境や時代のクロスオーバーみたいなことはあまり気にせずむしろ楽しんでいます」

その感覚は〈キャプテン サンシャイン〉のもの作りにも通じている。特定のアーカイブを再現するのではなく、まず素材を作り、そこからデザインを考える。

「僕らのもの作りは素材あってこそ。そこからアーカイブを紐解いて、どこを参考にするか考える。編集作業に近い感覚です。その着地点を曖昧にする作業を楽しんでいます」

気候の変化にも柔軟に、現代のリアルクローズを生む

そんな児島さんだが、自身のマスターピースと自負するアイテムが近年、ようやく完成したという。それがウール天竺やウォッシャブルシルクを使った濃紺のTシャツだ。原料の段階からプロフェッショナルと密に相談をして開発し、何年もかけて満足いく仕上がりに。

〈キャプテン サンシャイン〉で今季注目の季節感の異なる素材を組み合わせたジャケットとダッフルコート
〈キャプテン サンシャイン〉で今季注目の季節感の異なる素材を組み合わせたジャケットとダッフルコート。コートはリネンのタテ糸に、アルパカやモヘア、ウールなどの獣毛を織り交ぜ豊かな表情に。
児島さん自身も愛用するウール天竺のカットソー
自身も愛用するウール天竺のカットソー。眼鏡ケースは〈アイザックレイナ〉のもの。

「ウールもシルクも機能的な天然素材だから年中着られます。ドレープが美しいので夏には一枚でもさまになるし、温度調整にも優れているから秋冬にはインナーに。〈キャプテン サンシャイン〉のマスターピースになる一品です」

近年は、気候の変化も服作りを考えるうえでの大きなテーマの一つになったという。その中で春夏と秋冬で分かれる従来の素材使いから離れ、カシミヤにリネンを交ぜたり、ヘンプとウールを組み合わせたりと、素材においてもボーダーレスに掛け合わせる。

「秋と言っても暑い時期が長いじゃないですか。僕は“上質なリアルクローズ”を目指してもの作りをしているので、そういった気候の変化に対応するために、新しい素材開発を積極的にしています。今シーズンで言えば、タテ糸にカシミヤ、ヨコ糸にリネンを交織したギャバジンなどは面白いですね。カシミヤらしい優しい膨らみに、リネンのドライな質感が加わり、温もりはあるけど軽やかさも併せ持つハイブリッドなジャケットに仕上げました。“お洒落は我慢”とはもう言えない時代になってきて。でも着たい服はある。そんな思いに応えるために、素材でアプローチを変えているんです」

今季特に作りにこだわったコットンモールスキンジャケット
今季特に作りにこだわったコットンモールスキンジャケット。藍染めと泥染めを繰り返すことで味わい深い仕上がりに。
〈エンツォ ボナフェ〉に別注したブランド初のドレスシューズ
裏地を省いた仕様のジャーマントレーナーと、イタリアの〈エンツォ ボナフェ〉に別注したブランド初のドレスシューズ。

まさにそれは素材に精通するデザイナーならではの目線。国や年代、そして季節の境界をも超えて組み合わせる。50歳を目前に、いろいろなルールから解き放たれた児島さんが今目指すところとは?

「昨年、長年の目標だった自分のお店を持つことができたのですが、店に並ぶ服のラインナップを見たときに、“あれが足りないな”と気づきを得ることが多々ありました。自分が手がけられる範囲を広げたいと言いますか。もっとブランドの世界観を作る、みたいな気持ちが強くなったんです。空間から始まり、それこそアンダーウェアやシューズに至るまで、ここに来たら何でも揃う安心感のある場所にしていきたいと考えています。根底にある“上質なリアルクローズ”の枠組みを広げていくのが今の目標です」

profile

児島晋輔(〈キャプテン サンシャイン〉デザイナー)

こじま・しんすけ/1976年兵庫県生まれ。男性ファッション誌の編集者として働きながら、2002年からデザイナーとしても活動し、13年に〈キャプテン サンシャイン〉をスタート。夏にはサーフィン、冬には趣味のスキーを楽しむ。

特集「WELL-MADE クラフト感ある、秋と冬のマスターピース。」をチェック

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