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「そんなに警戒しなくても大丈夫だって」初対面なのに距離が近い夜行バスの男性。帰宅後も震え続けた携帯

  • 2026.9.16
「そんなに警戒しなくても大丈夫だって」初対面なのに距離が近い夜行バスの男性。帰宅後も震え続けた携帯

消灯する前から、隣の人によく話しかけられた

学生のころ、都会から実家へ帰省するときは、よく夜行バスを使っていた。実家の最寄り駅前まで行く便で、その日もほぼ満席だった。

発車の少し前に席へ座っていると、若い男性がボストンバッグを抱えて乗り込んできた。私の隣の席を確認し、荷物を棚へ押し上げると、こちらを見て軽く笑った。

「すみません、ここですよね」

「はい、どうぞ」

それだけで終わると思っていた。

ところがバスが走り出すと、男性はすぐに話しかけてきた。

「どこまで行くんですか?」

「終点までです」

「あ、一緒だ。俺も終点です。けっこう長いですよね」

「そうですね」

私はイヤホンを出したが、男性は気づいていないのか、そのまま話を続けた。

やがて消灯のアナウンスが流れ、車内の明かりが落ちた。

前の席では毛布をかぶる人もいて、車内は急に静かになった。

それでも、小さな声が隣から聞こえてくる。

「駅には誰か迎えに来るんですか?」

「親が来ると思います」

「そっか。彼氏じゃないんだ」

何と返していいか分からず、私は窓のほうを向いた。

少しすると、また声がした。

「電話番号教えてよ。家に着いたら、着いたって教えてよ。もう遅いし、ちょっと心配だから」

「あ…大丈夫です」

「いや、でも何かあったら嫌じゃん」

会ってまだ一時間ほどしか経っていない。それなのに、前から私を知っているような口ぶりに、だんだん居心地が悪くなってきた。

「メールくらいいいでしょ」と言われ、断れなかった

深夜のサービスエリアで休憩になり、私は少し外の空気を吸いたくてバスを降りた。

自動販売機へ向かうと、少し遅れて男性もやってきた。

「やっぱり眠れない?」

「ちょっと外に出たくて」

「俺も。何か飲みます?」

「いや、自分で買います」

「いいって、これくらい」

男性は先に缶飲料を二本買い、そのうち一本を差し出してきた。

「ほんと、大丈夫ですから」

「そんなに警戒しなくても大丈夫だって」

笑いながら言われて、私はますますどう返せばいいのか分からなくなった。

そのあと男性はポケットから携帯を出した。

「せっかくだし、アドレス交換しません?」

「いや、私は…」

「メールくらいいいでしょ。嫌だったら返さなくてもいいし」

そこまで言われると、今度は断り続ける自分のほうが感じ悪く思われる気がしてしまった。

周りには休憩中の乗客もいたが、みんなそれぞれ離れた場所で過ごしている。私は結局、自分のメールアドレスを入力して携帯を返した。

「ありがとう。じゃあ、あとで送るね」

私は小さくうなずくことしかできなかった。

メールが何通も届いた

明け方、駅前のバスターミナルに着いてバスを降りると、男性も少し後ろを歩いていた。

駅の入口が近づいたところで、男性が声をかけてきた。

「じゃあ、またメールするね」

私は曖昧に頭を下げ、そのまま迎えに来ていた母の車へ向かった。

実家へ着き、台所で荷物を下ろしていると、机に置いた携帯がまた震えた。

少しして、もう一度。

母が携帯を見て、眉を寄せた。

「さっきからずっと鳴ってない?」

私はそこで、バスであったことを話した。

「今日、隣だった人にずっと話しかけられてて…」

「知り合いだったの?」

「ううん。今日初めて会った人」

「じゃあ、このメールもその人?」

「うん。断れなくてアドレス教えちゃった。なんか途中から、もう彼氏みたいな話し方になってきて…」

母は少し驚いた顔をした。

「返信はしてないよね?」

「してない」

「じゃあ、返さなくていいよ。まだ来るなら受信拒否しよう」

「……うん」

その言葉を聞いて、私はようやく少し肩の力が抜けた。

机の上では、携帯がまた短く震えていた。

あのときは、断ることのほうが失礼な気がしていた。でも、嫌だと感じた時点で、無理に相手に合わせなくてもよかったのだと思う。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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