1. トップ
  2. スポーツ
  3. 「声を出すのが苦手」なバドミントンクラブの小5→土壇場で初めて叫んだ【合言葉】の正体とは

「声を出すのが苦手」なバドミントンクラブの小5→土壇場で初めて叫んだ【合言葉】の正体とは

  • 2026.9.14

声を出すのが苦手だった小学5年生が、バドミントンのダブルス決勝で初めて相棒へ意思を伝えたエピソードです。

シャトルを譲れなかった2人

これは、職場の同僚の小学5年生の息子さんの話です。

A君は地域のバドミントンクラブで、同学年の友人とダブルスを組んでいました。強い球を打つのは得意でしたが、声を出して味方へ伝えることが苦手です。

コート中央へシャトルが飛ぶと、2人とも相手が取ると思って見送ったり、逆に同時にラケットを振ってぶつかったりしました。

コーチから「技術より先に、どちらが打つかを伝えよう」と言われても、A君の声は相棒まで届きませんでした。

練習で言えなかった「任せた」

2人は中央の球だけを使い、片方が「取る」、もう片方が「任せた」と声を出す練習を始めました。相棒はすぐ大声を出せましたが、A君は口が動くだけで音になりません。

そこで相棒はシャトルを打つ前にA君の顔を見て、声が出るまで待ってくれました。何度目かに小さな「任せた」が聞こえると、「今ので分かった」と笑います。

A君は声の大きさより、相手が迷わない時に伝えることが大切だと気付きました。

決勝で中央へ落ちてきた一球

地区大会の決勝は最終ゲームまでもつれ、終盤も互いに1点を争う展開でした。相手が高く返したシャトルが、2人の中央へ落ちてきます。

A君は一歩踏み出しましたが、相棒の方が良い体勢で入っていることに気付きました。

練習のように視線が合った瞬間、A君は「任せた!」と叫んで体を引きます。相棒は迷わず前へ出て、空いたコースへスマッシュを決めました。

体育館に響いた声は、その日のどの打球音より大きく感じられたそうです。

たった3文字でつながったペア

2人は続くラリーも取り、初めての優勝を決めました。相棒が最初に褒めたのはスマッシュではなく、「決勝で一番良かったのは、あの『任せた』だよ」というA君の声でした。

A君は今も人前で話すのが得意なわけではありません。それでも練習では、中央の球が来る前に必ず相棒の名前を呼んでいます。

私の同僚もその変化を見守っています。大きな声で目立つためではなく、相手を迷わせないために伝える。ダブルスで覚えた3文字が、2人の動きを一つにつないでいます。

【体験者:40代・男性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:タニグチ
小学1年から水泳、小学4年からは野球に打ち込み、大学卒業までの実に十数年をグラウンドで過ごしてきた30代。高校では主将としてチームをまとめ、大学では神宮の舞台にも立った。引退後は中学硬式(シニア)で指導者としてもキャリアを重ね、「する側」「観る側」「教える側」のすべての視点からスポーツと向き合ってきた。

プレイヤー・キャプテン・指導者という異なる立場を経験する中で、勝ち負けの記録には残らない人間関係や、試合の裏側で起こる思わぬドラマに強く惹かれるように。チームメイトや教え子、友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、感動や驚き、時にはちょっとした仕返し劇まで、スポーツの現場で生まれる人間ドラマをコラムとして執筆している。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ