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【松村北斗×今田美桜インタビュー】東野圭吾・原作の映画『白鳥とコウモリ』。松村「初共演の今田さんのこと、最初はちょっと緊張していました」

  • 2026.9.4

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ミステリー界の巨匠・東野圭吾による『白鳥とコウモリ』が映画化。同氏の代表作である『白夜行』や『手紙』の流れを受け継ぐ本作は、とある殺人事件の背景に隠されたミステリーを軸に、「罪」と「罰」の意味を問うヒューマンドラマとなっている。演じるのは松村北斗と今田美桜。近年の出演作がどれも大きな話題を呼ぶ二人が、W主演で容疑者の息子と被害者の娘を好演。本作の出演に懸けた、その想いをうかがった。

今田「和真との出会いは、美令にとって大きな救いでした」

──映画『白鳥とコウモリ』をひと足早く拝見し、ミステリーのドキドキとした要素がありながら、お二人が演じる役柄の関係性や家族を想う気持ちに胸が苦しくなりました。お二人は、最初にこの原作に触れたとき、どのような印象を持たれましたか?

松村北斗さん(以下、松村):東野圭吾さんの小説って、本当にいろんな作風がありますよね。たとえば、人間模様を色濃く描いているものであったり、そうかと思えばエンタメ要素の強いものであったり。そうした、さまざまなジャンルがある中で、この作品はまた少し雰囲気が異なる内容だなと感じました。だからこそ、強い好奇心を抱きましたし、演者としてこの世界に携われることが嬉しかったのを覚えています。

今田美桜さん(以下、今田):私も、これまでの東野さんのミステリー小説と比べて、新しいタイプのバディ作品だなと感じました。私が演じる白石美令は父親を殺された被害者の娘であり、事件の裏側や真相が明らかになっていくにつれて、彼女が想像していた真実や世界がどんどん覆っていく。そうした感情の流れを大事にしながら、美令としてこの作品に入っていくのがとても楽しみでした。

──松村さん演じる倉木和真は容疑者の息子という役でした。二人は立場が真逆ながら、“自分が知る本来の父親の姿”を信じるという共通点がありますが、家族との向き合い方で大事にされたのはどのようなことでしょう?

松村:和真としては、やはり父親との関係性と距離感ですね。和真が一人暮らしを始めて父親と少し疎遠になったあと、どのような距離感で接していたのか……。その一つひとつにきちんと整理をつけ、自分の中で、“だからこういう関係性になっているのか”と明確にしながら演じていきました。

──その後、事件の裏側を調べていくうちに、父親の見え方がどんどん変わっていったように思います。

松村:そうですね。父とは会っていない時間がたくさんありますから、初めて知る部分もいっぱいあって。だからといって、和真の中で何かが変わったということはないと思うんです。どちらかというと、初めて知る父の過去を自分の中に埋めていくような感覚だった気がします。

今田:私は、ほんの一瞬だけ父親役の中村芝翫さんと現場でお会いする機会があったのですが、劇中では共演シーンがなかったんです。それもあって、家族との向き合い方という意味では、吉田羊さん演じる母親との関係性を大事にしました。父を亡くし、母はひどく落ち込みますが、美令は哀しみを抱きながらも、すごく冷静な部分がある。行動力もあり、和真と出会ってからは、彼と一緒に事件の真相を突き止めようと積極的に動き出しますし。そうした母との違いは強く意識したところですね。

──今のお話にあったように、本来であれば容疑者家族の和真と被害者家族である美令は接触することを禁じられている間柄です。だからこその二人の出会いは、お互いにどのような影響を与えたと思いますか?

松村:確かに、ある意味で敵対する相手との出会いなんですよね。でも、この物語の中では、和真にとって美令は唯一の理解者のようでもあって。そのことで二人は徐々に信頼しあい、バディにもなっていくわけですが、その関係性はとても特殊で、戦友のようなところもあったのかなと感じます。

今田:ほんと、そうですよね。美令にしてみれば、“なぜ父が殺されなければならなかったのか?”という理由をずっと知りたがっているんです。その想いを母親や弁護士さんに訴えるシーンがあるのですが、理解してもらえなくてすごく悔しい思いをする。そのことで、柄本佑さん演じる五代刑事にも、「なぜ遺族が真実を教えてもらえないんですか?」と食ってかかったりもしますし。もちろんそこには、「まだ捜査中だから言えないこともある」という正当な理由があるのですが、そうした、ままならないことが積み重なっていった結果、美令は孤独を感じるようになったのかなと思うんです。そんなときに和真と出会い、お互いが抱える悩みや想いを共有できた。それって、彼女にとってきっと大きな救いだったんだろうなって思います。

松村「初共演の今田さんのことを、最初はちょっと緊張していました(笑)」

──殺人事件の真相や和真と美令の関係性など見どころの多い作品ですが、特に印象に残っているシーンはありますか?

松村:お互いの父親のことを二人で語り合うシーンがあるんですけど、僕はそこがすごく好きですね。他人から聞く自分の知らない人の話って、結構“賭け”に似たところがあると思うんです。まるで興味が湧かないか(笑)、あるいは、本人に会う以上にその人のことを知れる場合もある。今回のこの作品では、まさに後者だったんですね。美令の口から聞く彼女のお父さんの話は和真としてすごく心が動いた瞬間でしたし、完成した映画を観ても印象に残るシーンになっているなと思いました。

今田:私も同じで、カフェで話すシーンは演じていてもすごく心に残りました。事件に関係する会話ばかりをしていた二人が、あの瞬間は等身大の和真と美令になれていたようにも感じて。それともう一つ印象深かったのは、母親に「もう(和真に)会うのをやめなさい」と言われ、咄嗟に自分の心からの思いを伝える場面ですね。それまでの美令は母のためにも自分の気持ちを押し殺していたところがありましたけど、そこは監督とも「思いっきり感情をぶつけてみましょう」と話し合ったのをよく覚えています。

──また、お二人は今作が初共演だそうですね。一緒に現場で過ごしてみていかがでしたか?

松村:お会いする前は、つねにシャキッとした感じの方なのかなと思っていたんです。でも、いざ会ってみると、とても雰囲気が柔らかい方で。今田さんがいると、その場に穏やかな時間が流れるような存在でもありましたので、最初にちょっと緊張して損したなと思いました(笑)。

今田:なんだかすみません…(苦笑)。

松村:いや、なんとなく仕事人みたいなイメージがあったんです。普段から、とてもお忙しそうですし。

今田:仕事人(笑)。それでいうと、私の印象も少し似ているかもしれないです。松村さんにはきっといろんな面がおありなんだろうなと思いつつ、こうした重みのある作品だと、あえて現場ではまわりとお話しされないようにしているのかなと勝手に思っていたんですね。でも、全然そんなことなかったです。よくみんなで他愛もない話をしていましたし、たくさん笑顔も見られて、ホッとしました(笑)。

──(笑)。なお、本作では登場人物たちがそれぞれ人生を変える決断をしていきます。お二人には、これまでの人生で今の自分につながるような大きな選択をした経験はありますか?

松村:僕はやはり、この仕事を始めるまでのことになりますね。事務所のオーディションを受けるために、小学生のときに自分で履歴書を書いて送っていたんです。そこで選ばれれば、実際に東京に呼ばれるという流れだったのですが、一度で諦めることなく、3回送りました。子どもながらの体感として、「あ〜、今回はダメだったんだな」とわかったら、しばらくしてまた履歴書を送るというのを繰り返して(笑)。その頑張りや粘りがあったから今があるわけですが、それっておそらく、子どもだったからできたことで。もしある程度の年齢の大人になっていたら、そんなに何回も挑戦できなかった気がします。

──諦めなかった要因は何だったのでしょう?

松村:単純に無邪気だったんでしょうね。自分が芸能界に入って何かをするということを信じて疑わなかったというか。だから連絡が来なくても、「おかしいな、おかしいな」と思っていて。「これは多分、何かのエラーだな」ぐらいに思い込んでいたような気がします(笑)。

今田:私もちょっと近くて、大きな決断といえば、高校卒業後の進路選択で、今のこのお仕事をするかどうかで迷っていたときのことを思い出します。それまでの私は、進路のことに限らず、両親に自分の思いを伝え続けた経験があまりなかったんです。でもそこで、“まあ、いいか…”と折れることなく、自分の気持ちを信じ続けて本当によかったなと思います。

──当時は別の選択肢もあったということですか?

今田:夢を諦めないということは自分の中で既に決まっていたので、決断するかどうかで揺れることはなかったです。ですから、どのように両親にわかってもらえるかということを、当時の高校の先生によく相談していましたね。今でもその先生とは仲良くさせていただいていますし、本当に感謝しています。

取材・文=倉田モトキ

映画『白鳥とコウモリ』

2026年9月4日(金)全国公開

配給:松竹

【STORY】

善良な弁護士が、刺殺された。

「私がやりました。“すべての事件”の犯人は私です」

容疑者として浮上した一人の男、その自供により事件は解決したはずだった―。

だが、容疑者の息子・倉木和真(松村北斗)と、被害者の娘・白石美令(今田美桜)は、互いの父の言動に違和感を抱く。

「なぜ父は、殺人を犯したのか―?」「なぜ父は、殺されないといけなかったのか―?」

出会ってはいけない、容疑者の息子と被害者の娘が手を取り合ったとき、“真実”が揺れ動く。

原作:東野圭吾 『白鳥とコウモリ』(幻冬舎文庫)

製作幹事:松竹 日本テレビ

監督:岸善幸

脚本:向井康介

出演:松村北斗 今田美桜

柄本佑 / 前原滉 井之脇海 宇野祥平

松岡依都美 松尾諭 丸山智己 三浦誠己 斉藤陽一郎

原田琥之佑 のせりん 漆山拓実 五頭岳夫

中村芝翫(特別出演) 井川遥 吉田羊 風吹ジュン

三浦友和

主題歌:大森元貴「灰色」(ユニバーサル ミュージック / EMI Records)

制作会社:テレビマンユニオン

©2026「白鳥とコウモリ」製作委員会

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