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【ゾッとする怖い話】「それはまるで誰かが……」田舎の小さな駅で起きた恐怖体験【ホラー小説】

  • 2026.9.3
駅の向かい側のホームに並ぶ乗客たち。足元にはバッグが置かれ、ホームの端には点字ブロックが続いている。
出典:stock.adobe.com

田舎の小さな駅、毎朝決まった時間に現れる一人の男子高校生。 彼はホームにある柱の陰に立ち、目の前に電車が来ても、周りの人々が乗り込んでも、まるで何かに取り憑かれたように動こうとしませんでした。

向かいのホーム

毎朝、同じ時間の電車で通勤しています。
田舎の小さな駅なので、みんなそう。同じ時間にホームに並ぶ人もだいたい決まっています。

反対のホームにも、いつも同じ顔ぶれが立っていて、「今日もいるな」くらいには覚えていました。

その高校生も、毎朝向かいのホームに立っている1人だったんです。

学生ってみんな同じような制服ですし、荷物も似たような感じじゃないですか。
変わったストラップつけてるとか、あとはよっぽどかわいくて目立ってる子じゃなきゃ、なかなか覚えようと思っても覚えられないもんです。

だから、その子も最初は他の子と見分けがついていませんでした。
制服を着て黒いバッグを足元に置いて、ホームにある柱のとこに立って電車を待っていました。

誰かと一緒にいることはなくて、いつも一人で。
それ自体は別に珍しくないですよね。集団でいてもみんな自分のスマホいじってたりしますし。

ある朝、その子が電車に乗り遅れたんですよ。
ホームに電車が来て、みんなが乗車していくのにその子はイヤホンつけてるからか、それに気づかなかったみたいで。一人だけホームに取り残されちゃったんです。

電車が行ってしまってもそのまま、慌てる様子もなくて。
お節介なんですけど、向かい側から「うわ、早く気づいてー」って念じたりしました。

結局その子、僕が電車で駅を離れるまで気づかず立ってたんです。
さすがにかわいそうで、その日一日気になってました。

乗れないまま

翌朝も、その男子高校生はいました。
同じ制服で、同じ黒いバッグを足元に置き、昨日と同じ場所に立っています。

で、また電車が来ても気づかなかったんです。
「懲りてないの?」って、また反対のホームから念を送ったんですけど、ダメでした。

「もしかしたら、誰かと待ち合わせしてるのかな?」とも思いました。
でも、それが何日も続くんです。見かけると、毎回電車を逃してるんですよ。

不思議なのは、周囲の人が誰も気にしていないことでした。
彼の前に並んでいる人も、同じ制服の高校生も後ろを振り返りません。駅員も声をかけません。

カラーコーン

ある日から、向かいのホームにその子の姿をぱったりと見なくなりました。

それだけなら、さすがに遅刻しないように気をつけるようになったのかなって思うじゃないですか。

代わりに、いつも彼が立っていた場所にカラーコーンが置かれていたんです。
それはまるで誰かがそこに立つのを封じているように見えました。

床が壊れた様子も、工事の案内も見当たりません。
ホームに入ってきた電車で向かい側が見えなくなる直前、駅員がカラーコーンの位置を確かめていました。

カラーコーンは、今でも毎朝同じ場所に置かれています。

※この物語はフィクションです。
※この記事に使用している画像はイメージです。

◆味醂 子どもの頃から怖い話が好きで、ホラー小説やネット怪談など、文章作品を中心に親しんできました。 映像作品の痛そうな表現や急に驚かせる演出は少し苦手ですが、想像がふくらむ怖さや、日常の違和感が少しずつ不穏さを増していくような話に惹かれます。 読んだあとふとした瞬間に思い出してしまうような“あとから効いてくる怖さ”を大切にしています。 【SNS】 X:@a_mirin0223

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