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「未経験でも全国大会を目指せるよ」→部屋を間違えた高校1年生の『まさかの競技人生』とは

  • 2026.8.26

これは、私の友人から聞いた話です。高校の部活動見学で入る部屋を間違えたAさんが、アーチェリーと出会い、競技人生を歩み始めたエピソード。

隣の部室で始まった説明会

今から20年ほど前、高校へ入学したAさんは、中学から続けていたバドミントンを高校でも続けるつもりでした。

部活動見学の日、校内は新入生で大混雑。Aさんも入部届を受け取るため体育館へ向かいましたが、人の流れに押されるようにして、目当てとは違う部屋へ入ってしまいます。

そこは、バドミントン部の隣にあったアーチェリー部の部室でした。

間違いに気付いたときには、先輩がすでに競技で使う弓を手に説明を始めていました。すぐに退室するのも気まずく、Aさんは「最後まで聞いてから謝ろう」と、とりあえず説明を聞いたそうです。

先輩が語ったのは、呼吸を整え、わずかな動きのずれと向き合いながら的の中心を狙う面白さでした。部員のほとんどが高校から競技を始めていることや、県内でアーチェリー部のある高校は数校しかないことも教えてくれました。

「未経験でも、全国大会を目指せるよ」

その一言に、Aさんの気持ちは大きく揺れます。説明が終わる頃には、部屋を間違えたことを謝るどころか、アーチェリー部の入部届を手にしていました。

勘違いの先に待っていた全国大会

友人や家族は驚きました。ずっと続けてきたバドミントンをやめ、触ったこともない競技を選んだからです。それでもAさんの決意は変わりませんでした。

最初は矢が狙った場所へ飛ばず、同じ姿勢を保つことにも苦戦します。そこで、先輩の動きをまねては記録をつけ、放った一本ごとに立ち方や指先の感覚を確かめました。

地道な練習を重ねた結果、高校3年生になるとインターハイへの出場を果たします。卒業後も社会人クラブで競技を続けました。

数年後の同窓会で入部の経緯を打ち明けると、友人たちは「そんな理由だったの?」と大笑い。しかしAさんにとって、隣の部室へ入った数分間は、人生の進路を決めた大切な時間でした。
現在は母校でコーチを務め、初めて弓に触れる高校生を指導しています。「間違えて入ってきた子がいたら、最後まで説明を聞いてもらうよ」そう笑うAさんは、かつての自分と同じような新入生との出会いを楽しみにしているそうです。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:タニグチ

小学1年から水泳、小学4年からは野球に打ち込み、大学卒業までの実に十数年をグラウンドで過ごしてきた30代。高校では主将としてチームをまとめ、大学では神宮の舞台にも立った。引退後は中学硬式(シニア)で指導者としてもキャリアを重ね、「する側」「観る側」「教える側」のすべての視点からスポーツと向き合ってきた。

プレイヤー・キャプテン・指導者という異なる立場を経験する中で、勝ち負けの記録には残らない人間関係や、試合の裏側で起こる思わぬドラマに強く惹かれるように。チームメイトや教え子、友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、感動や驚き、時にはちょっとした仕返し劇まで、スポーツの現場で生まれる人間ドラマをコラムとして執筆している。

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