1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 日本男性は尻派より胸派が多い―海外の好みとは逆の傾向

日本男性は尻派より胸派が多い―海外の好みとは逆の傾向

  • 2026.8.15
Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部

体のどのパーツに魅力を感じる?

そんな話題で盛り上がることがありますが、その中でもよく話題の中心になるのが「胸か、お尻か」というテーマです。

もちろん、人の魅力は体の一部分だけで決まるものではありませんが、「女性の体型のどの特徴が魅力の評価に強く影響するのか」は、心理学でも長く研究されているテーマです。

そしてこれまでの研究結果としては、ヒップに対してウエストが細い体型が魅力的と評価されやすいと言われています。

つまり心理学研究によると、お尻に目が行く人が多いということになるようです。

ただこうした研究は主に西洋での調査が中心で、調査に使われる体型も西洋人をベースに作った画像で好みが測定されています。

そこで日本の和洋女子大学(Wayo Women’s University)の鈴木智大(Tomohiro Suzuki)氏らは、ワコール人間科学研究開発センター(Wacoal Human Science Research & Development Center)などと共同で、日本人女性の実際の身体計測データをもとに体型を再現し、日本の成人男性が、女性の体型のどの特徴に魅力を感じているか調査しました。

その結果、日本の成人男性では、ウエストとヒップの比率による違いは魅力評価にほとんど影響しなかった一方、ウエストとバストの比率によって評価は大きく変化することが示されたという。

この研究の詳細は、2026年7月7日付けで日本心理学会の学術誌『Japanese Psychological Research』に掲載されています。

目次

  • 日本人視点での「魅力的な体型」とは?
  • なぜ日本では「尻」より「胸」のバランスが強く影響したのか?

日本人視点での「魅力的な体型」とは?

女性の体型と魅力の関係を調べる研究では、これまで特にウエストとヒップのバランスに目を向ける人が多いと報告されて来ました。

代表的な指標が、ウエスト・ヒップ比(waist-to-hip ratio:WHR)です。

WHRは「ウエストの周囲径÷ヒップの周囲径」で求める数値で、小さいほどヒップに対してウエストが細い体型になります。

1990年代以降の研究では、WHRが0.7前後の女性体型が魅力的に評価されやすいという報告が多く、この傾向を人間に広く共通する好みとして説明する研究もありました。

しかし、研究チームは従来の実験方法にいくつかの問題があると考えました。

過去の研究では、線画や写真、3Dモデルの一部分を加工して体型を変える方法がよく使われています。

ところが、画像上でウエストやヒップの「横幅」を変えても、実際の人体の「周囲径」の比率が正確に再現されるとは限りません。

さらに一部分を細くすると、WHRだけでなく、体全体が痩せて見えるなど別の特徴まで変化する可能性があります。

もう一つの問題が、体型の民族差です。

日本人を対象とした研究でも、海外で開発されたソフトウェアを使って体型画像を作った例がありました。

骨格や体の各部位のバランスには集団による違いがあるため、日本人女性の魅力を調べるのであれば、日本人女性の実際の体型を反映した画像を使う必要があります。

そこで研究チームは、ワコールが保有していた20代日本人女性の身体計測データを使い、実際の体型をもとにしたシミュレーションモデルを作成しました。

研究ではWHRに加えて、ウエスト・バスト比(waist-to-bust ratio:WBR)も調べています。

WBRは「ウエストの周囲径÷バストの周囲径」で求める値で、小さいほどウエストに対してバストが相対的に大きくなります。

研究チームはWHRとWBRをそれぞれ0.6、0.7、0.8、0.9の4段階に設定し、組み合わせの異なる16種類の女性シルエットを作りました。

さらに、体全体の太さが評価に影響しにくいよう、今回はBMIが20以上22未満の体型に統一しています。

この16種類のシルエットを、日本在住の20~59歳の男性398人に提示しました。

参加者はそれぞれの体型について、「見た目としてどれほど魅力的か」と「性的にどれほど魅力的か」を6段階で評価しました。

シルエットを見せる順番もランダムに設定されています。

すると、WHRを変化させたときには統計的な差こそ確認されたものの、その差は非常に小さく、研究チームは実質的な影響はほとんどないと判断しました。

つまり今回の条件では、ウエストとヒップのバランスを変えても、日本男性が感じる魅力はほとんど変わらなかったのです。

一方、WBRでは明確な違いが現れました。

WBRが0.6~0.7の体型は高く評価され、0.8、0.9と数値が上がるにつれて、見た目の魅力も性的な魅力も低下しました。

つまり、日本人女性の実測データに基づいた体型を日本の成人男性が評価した今回の実験では、ウエストとヒップのバランスより、ウエストとバストのバランスの方が魅力評価を大きく左右していたのです。

なぜ日本では「尻」より「胸」のバランスが強く影響したのか?

今回の結果で特に興味深いのは、長く注目されてきたWHRの影響がほとんど見られなかったことです。

過去には、日本人を対象とした研究でもWHR 0.7の体型が魅力的だと評価された例があります。

しかし、その研究では海外製のソフトウェアで作った体型が使われていました。

研究チームは、こうした刺激が日本人女性の実際の体型を十分に反映していなかった可能性を指摘しています。

つまり、これまで「WHR 0.7が好まれる」と考えられてきた結果の一部には、評価する人の好みだけでなく、実験で使った体型画像の作り方も影響していた可能性があります。

また著者らは、魅力的と感じる体型が文化によって異なる可能性についても考察しています。

論文ではその一例として、臀部を大きくする美容整形が、米国やブラジルと比べて日本では少ないことを挙げています。

こうした違いが直接今回の結果を生んだと確認されたわけではありませんが、ヒップに対する価値観そのものが文化によって異なる可能性はあります。

一方で、WBRについても単純な説明はできません。

今回、高い評価を受けたWBR 0.6は、ウエストが65cmならバストが約108cmになる比率です。

著者らによると、このような体型の女性は日本では珍しいといいます。

つまり、男性たちは「身近でよく見る体型」をそのまま魅力的と評価していたわけではありません。

そこで著者らは、テレビや広告、フィクションなど、日常的に目にするメディア上の体型が魅力の基準に影響している可能性にも触れています。

海外の掲示板Redditでも、日本独自の傾向が示されたこの報告について「アニメの影響では?」「『ONE PIECE』の功績だ」という声が上がっています。

ただし今回の研究では、参加者が普段どのようなメディアを見ているかまでは調査していません

そのため、メディアがWBRへの好みを生み出したとまでは言えず、今後検証する必要のある仮説です。

また日本の傾向が海外と比較して独特であることは、ほぼ同時期に報告されたノルウェーの研究からも見て取れます。

この研究では、ノルウェー人男性395人を対象に、「パートナーを評価するとき、胸と尻をどの程度重要視するか」を5段階で尋ねており、調査結果は平均評価が胸3.37だったのに対し、尻は3.91で、尻の方が重要視されていたと報告しています

さらに潜在プロファイル分析では、53%が胸と尻の両方を強く重視し、18%には明確な「尻重視」のグループが見つかった一方、独立した「胸重視」のグループは見つからなかったという。

そのため、このノルウェーの研究者は、尻重視は分析方法を変えても繰り返し現れており、比較的安定した傾向だと評価しています。

こうした調査をバカバカしいと感じる人もいるかもしれません。しかし同時期に似た調査報告がされていることからもわかるように、これは心理学では長く研究されている問題です。

その理由は、こうした調査が「人間の好みがどこまで生物学的背景によるもので、どこからが文化的背景によるものなのか」という心理学の基本問題を扱えるためです。

今回の結果は、女性の体型に対する男性の好みが、生物学的な基準だけで一律に説明することの難しさを示していると言えます。

今回の研究チームも、民族ごとの体型の違いや文化的な価値観なども、魅力の判断に関わっている可能性があると考えています。

ただし、この研究で使われたのはBMI 20以上22未満に限定した若い日本人女性のシルエットです。

評価者も20~59歳の男性に限られており、女性が同じ体型をどう評価するかは今回の結果からは分かりません。

また、異なるBMIの体型でも同じ傾向が現れるかは、今後の検証が必要です。

人が女性の体型を「魅力的」と感じるとき、どこを見ているのか。

今回の研究は、その答えが単純な生物学的背景から生じるものではなく、その民族の体型や文化的背景によって変わる可能性を示す一例となっています。

元論文

Influence of Waist-to-Hip Ratio and Waist-to-Bust Ratio on Attractiveness of the Female Body Among Japanese: Using Figural Stimuli Based on Objective Measurements
https://doi.org/10.1111/jpr.70045
Buttocks or Breasts? Identifying Latent Subgroups in Male Preferences for Female Bodily Features
https://doi.org/10.1177/14747049261452897

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ