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シングルでも幸福度が高い人の心理特徴とは

  • 2026.8.14
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

恋人や配偶者がいないと、「寂しくないの?」「早くいい人を見つけたほうがいい」と言われることがあります。

私たちはどこかで「パートナーがいることが幸福な状態」「シングルでいることはそこへ至るまでの待ち時間」のように考えがちです。

しかし、同じシングルでも、その生活に高い満足感を感じている人もいます。

では、両者を分けているのは何なのでしょうか。

新たな研究は、その違いの1つとして「シングルであることを、自分を成長させる機会だと考えられるか」という心理的特徴に注目しています。

カナダ・サイモンフレーザー大学(SFU)の研究では、シングル生活に自己成長の可能性を感じている人ほど、シングルでいることへの恐怖が少なく、シングル生活や人生全体への満足度も高い傾向が示されました。

研究の詳細は、2026年8月6日付で学術誌『Personality and Social Psychology Bulletin』に掲載されています。

目次

  • 幸せなシングルは「恋人がいない状態」を欠乏だと考えにくい
  • シングルで生活満足度が低くなる人とは?

幸せなシングルは「恋人がいない状態」を欠乏だと考えにくい

今回の研究の背景にあるのが「自己拡張理論(self-expansion theory)」です。

この理論では、人には新しい知識や経験、視点を取り込み、自分自身の世界を広げていこうとする欲求があると考えます。

たとえば、新しい恋人ができると、それまで知らなかった趣味を知ったり、異なる価値観に触れたり、行ったことのない場所へ出かけたりする機会が増えます。

恋愛によって「自分の世界が広がった」と感じるのは、こうした自己拡張が起きるためです。

これまで、この自己拡張は主に恋愛関係の中で研究されてきました。

しかし研究チームは、ここで1つの疑問を持ちました。

「自分を成長させるために、本当に恋人は必要なのでしょうか」

友人や家族との交流、新しい趣味、旅行、仕事、あるいは一人で過ごす時間からでも、同じように自分の世界を広げることはできるはずです。

そこで研究者たちは、シングルの人々に「シングルでいることには、自分を人間として成長させる可能性がある」といった考えにどの程度同意するかを尋ね、その後の日常行動を調べました。

すると、シングル生活を「成長の機会」だと考えている人ほど、新しいスキルを学ぶ、チームスポーツに参加する、友人と食事に出かけるといった、新しく自己拡張的な活動を多く行っていました。

さらに、こうした人々はシングルでいることへの恐怖が少なく、現在のシングル生活への満足度が高いだけでなく、人生全体の満足度や幸福感も高い傾向にありました。

また、自分で人生を選んでいるという「自主性」、何かをうまくできるという「有能感」、他者との「つながり」も強く感じていました。

つまり、幸福なシングルに見られた特徴は「恋人なんて必要ない」と考えていることではありません。

むしろ重要なのは、「恋人がいない今でも、自分の人生には新しい経験や成長の機会がある」と捉えられていることだったのです。

シングルで生活満足度が低くなる人とは?

「シングルを楽しむ」と聞くと、一人で自由気ままに過ごす生活を想像するかもしれません。

ところが今回の研究では、興味深い結果が得られています。

参加者が経験した自己拡張的な出来事のうち、82%は誰かと一緒にいるときに起きていました。

その相手は恋人ではなく、主に友人や家族です。

友達とスポーツをする、コンサートへ行く、食事をする、旅行へ出かけるといった経験が、自分の世界を広げていたのです。

一方、残る18%は一人で行われた活動でした。

つまり、シングルであることのメリットは「誰にも縛られず孤独に生きられる」ことではありません。

恋愛関係に限定されず、友人や家族との関係、さらには一人で行う活動まで、さまざまな経路から成長を得られることにあると考えられます。

ただし、誰もがシングル生活を同じように感じるわけではありません。

・本人の意思に反してシングルでいる人

・強く恋愛関係を望んでいる人

・「人はパートナーがいなければ完全ではない」と考えている人

ほど、シングルでいることに成長の可能性を感じにくい傾向がありました。

また、自尊心が低い人や愛着不安が強い人でも、同じ傾向が確認されています。

チームは別の実験で、参加者に新しく刺激的な未来の活動を想像させ、シングルに対する考え方そのものを変えられるかも検討しました。

その結果、短い課題だけでは「シングルには成長の可能性がある」という根本的な信念までは変化しませんでした。

ただし、その場で感じる気分や成長感は高まりました。

この点からも、「前向きに考えればすぐ幸せになれる」という単純な話ではないことがわかります。

さらに今回の研究だけでは、「シングルを成長機会だと考えるから幸福になる」のか、それとも「もともと幸福で楽観的な人だからシングル生活にも可能性を見いだしやすい」のかを完全には区別できません。

研究者たちも今後、この因果関係を詳しく調べる必要があるとしています。

今回の研究は、「恋愛するよりシングルのほうが幸せだ」と示したものではありません。

むしろ重要なのは、シングルでいる期間を「本当の人生が始まるまでの待ち時間」と考える必要はないという点です。

恋人が欲しい人であっても、今の時間に新しい趣味を始めたり、友人と出かけたり、一人で未知のことに挑戦したりすることはできます。

シングルでも幸福度が高い人の特徴とは、孤独に強いことでも、恋愛を必要としないことでもありません。

「今の自分にも世界を広げる機会がある」と考え、実際にその機会を使っていることなのかもしれません。

参考文献

The Perks of Being Single When Everyone Else Can’t Wait
https://www.psychologytoday.com/us/blog/modern-minds/202608/the-perks-of-being-single-when-everyone-else-cant-wait

New research finds that singlehood can be a valuable opportunity for personal growth
https://www.eurekalert.org/news-releases/1138406

元論文

Riding Solo: The Associations Between Singlehood Self-Expansion Potential, Self-Expansion Experiences, and Singlehood Outcomes
https://doi.org/10.1177/01461672261462978

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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