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「その話は、今日はやめてください」一周忌の席で相続の話を蒸し返した叔父。だが、私たちが静かに止めた瞬間

  • 2026.8.11

祖父を偲ぶ一周忌の席で

祖父が亡くなって一年。

親戚が集まり、一周忌の法要を行ったときのことです。

自宅での読経を終えたあと、私たちは遺影を前にして食卓を囲みました。

祖父が好きだった料理の話や、昔の旅行の思い出など、久しぶりに集まった親戚同士で穏やかに話していました。

「おじいちゃん、旅行に行くと必ずお土産を買いすぎてたよね」

そんな話に祖母も笑い、少しだけ懐かしそうな表情を見せていました。

祖父が亡くなったあと、相続に必要な手続きについては親世代を中心に進めていました。ただ、祖父名義だった実家を今後どうするかについては、祖母の暮らしもあるため、急いで結論を出さずに改めて相談することになっていました。

ところが食事が進んだころ、それまで黙って飲んでいた叔父が、突然その話を持ち出したのです。

「そういえば、あの家のことは結局どうするんだ?」

一瞬、食卓の空気が止まりました。

叔父はそのまま続けます。

「このままずっと決めないわけにもいかないだろ。誰がどうするのか、そろそろ決めたほうがいいんじゃないか」

話している内容そのものは、いつか家族で向き合わなければならないことです。しかし、祖父の一周忌で、それも祖母の目の前で話すことではないように思えました。

別の親戚が「その話はまた今度でいいだろう」とやんわり止めましたが、叔父は少しお酒が入っていたこともあり、なかなか引きません。

「今度、今度って言ってたら、いつまでたっても決まらないだろ」

祖母は何も言わず、目の前の湯呑みに視線を落としていました。

私はその様子を見ているうちに、黙っていることができなくなりました。

「今日は祖父を偲ぶ日にしませんか」

私は叔父のほうを向き、なるべく落ち着いた声で言いました。

「叔父さん、その話は今日はやめてください」

叔父がこちらを見ます。

「家のことを話さなきゃいけないのは分かっています。でも今日は祖父の一周忌ですし、その話は別の日に、関係する人たちで落ち着いて話しませんか」

少しの沈黙のあと、父も「そうだな。今日はそのために集まった日じゃないから」と続けました。

ほかの親戚からも、「その話はまた日を決めよう」「おばあちゃんもいるんだから今日はやめよう」と声が上がります。

叔父はしばらく黙っていましたが、周囲の様子を見て、ようやく引き下がりました。

「……分かった。今日はやめておくよ」

それ以上、相続の話が続くことはありませんでした。

しばらくすると、誰かが祖父の若いころの写真を持ち出し、食卓には再び昔話が戻ってきました。

帰り際、祖母が私のそばに来て、小さな声で言いました。

「さっきはありがとうね」

私は「ううん」とだけ答えました。

家やお金のことは、家族でいつかきちんと話さなければなりません。ただ、そのための時間と場所は別に設ければいい。一周忌のあの日だけは、祖父の思い出を話しながら、祖母にも穏やかに過ごしてほしいと思った出来事でした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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