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透明感を放つ、ガラスの名建築7

  • 2026.8.4
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夏の日差しを受けてきらめくガラス建築は、見ているだけでどこか涼やかな気分にさせてくれる存在。光を透過し、空や木々、水面を映し込みながら、時間とともに表情を変えていく姿は、コンクリートや石造建築とは異なる魅力だ。

近年はガラスの技術革新によって、大空間を透明な壁で包んだ建築や、内と外の境界を曖昧にするような建築も数多く誕生している。この記事では、「モエレ沼公園のガラスピラミッド」や「国立新美術館」をはじめ、世界で活躍する建築家が手掛けたガラスの名建築をご紹介。

提供:国立新美術館

国立新美術館/東京都

2007年に開館した「国立新美術館」は、黒川紀章と日本設計共同体が設計を手がけた、国内最大級の展示スペースを有する美術館。「森の中の美術館」をコンセプトに掲げ、周囲の緑と調和しながら、人々が自由に集い、芸術に親しめる開かれた空間を目指して計画された。

建物を象徴するのが、風になびくカーテンのように大きく波打つガラスカーテンウォールだ。約3,000枚のガラスルーバーが描く有機的な曲面は、空や木々を映し込み、時間や天候によってさまざまな表情を見せる。

提供:国立新美術館

ファサードを構成するガラスルーバーは、建物の曲線に合わせて一枚ずつ形状が異なる。それらはすべて清掃員の手作業によって磨かれており、全面の清掃を終えるまでに約1年を要するという。こうした丁寧なメンテナンスによって、透明感あふれる美しい外観が保たれている。

提供:国立新美術館

高さ約22mのアトリウムでは、ガラス面に組み込まれたマリオン(鉄骨)が屋根を支える構造とすることで、大きな柱のない開放的な空間を実現。館内にはやわらかな自然光が降り注ぎ、ガラス越しに四季折々の風景を楽しめるのも魅力だ。

国立新美術館
住所/東京都港区六本木7-22-2

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横須賀美術館/神奈川県

観音崎公園の豊かな緑に囲まれ、目の前に東京湾を望む「横須賀美術館」は横須賀市の市制100周年を記念して2007年に開館した美術館。山本理顕設計工場が設計を手がけ、建築と周囲の自然が一体となる空間を目指した。館内では、多彩な企画展をはじめ、日本の近現代美術を中心とした所蔵品や谷内六郎の作品などを鑑賞できる。

現在は施設改修工事のため長期休館中で、2026年9月5日に再オープンを予定している。

<写真>提供:横須賀美術館

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建物は、透明なガラスの外皮と鉄板の内皮によるダブルスキン(入れ子)構造を採用。外側のガラスが海辺の厳しい環境から建物を守り、内側の鉄板が光や熱をコントロールすることで、美術館に求められる展示環境と開放感を両立している。

<写真>提供:横須賀美術館

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館内では、高さ約12mの吹抜けの回廊が伸び、その壁や天井には大小さまざまな丸い開口部が設けられている。開口部は方角によって大きさや数が異なり、自然光を巧みに取り込みながら、海や森、空の景色を絵画のように切り取る仕掛けとなっている。

展示室の合間や屋上広場でも東京湾の眺望を楽しめるため、アートだけでなく、風景そのものを鑑賞するような体験ができる美術館だ。

<写真>提供:横須賀美術館

横須賀美術館
住所/神奈川県横須賀市鴨居4-1

写真提供:モエレ沼公園

モエレ沼公園 ガラスのピラミッド「HIDAMARI」/北海道

札幌市北東部に広がる「モエレ沼公園」は、世界的彫刻家イサム・ノグチが「公園全体をひとつの彫刻作品」として構想したランドスケープアート。約189haの広大な敷地には、「海の噴水」やモエレ山などの造形が点在し、自然とアートが一体となった景観を生み出している。

写真提供:モエレ沼公園

公園のシンボルとなるのが、文化施設の拠点でもあるガラスのピラミッド「HIDAMARI(ヒダマリ)」。一般的なピラミッドとは異なり、三角面と四角錐、立方体を組み合わせた複雑なフォルムが特徴で、見る角度によって印象を大きく変える。

写真提供:モエレ沼公園

館内にはレストランやギャラリー、ショップを備え、吹き抜けのアトリウムでは展覧会や音楽イベントなども開催。また、冬に貯蔵した雪を夏の冷房に活用する「雪冷房」を導入するなど、環境負荷を抑えた先進的な設備も備えており、建築と自然環境が調和するノグチの思想を現代へと受け継いでいる。

モエレ沼公園
住所/北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1

提供:九州国立博物館

九州国立博物館/福岡県

2005年に開館した「九州国立博物館」は、東京・奈良・京都に続く4番目の国立博物館。太宰府天満宮に隣接する丘陵地に建ち、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」をテーマに、日本とアジアの交流の歴史を紹介している。

設計を手がけたのは、建築家の菊竹清訓。建物を特徴づけるのは、ゆるやかに弧を描く大屋根と、全面に採用されたダブルスキンガラスのファサードだ。世界最大級の面積を誇る発色チタン製の屋根は、軽量で耐久性に優れたチタンを用い、深みのあるブルーが印象的。ガラスには太宰府の森や空が映り込み、幅約160m、奥行約80mという巨大な建築でありながら、風景へ自然に溶け込んでいる。

提供:九州国立博物館

館内へ足を踏み入れると、高さ約36mの吹き抜け空間が広がり、ガラス越しの緑とやわらかな自然光が来館者を迎える。巨大なドームの内部に展示室を独立して配置する「ビルディング・イン・ドーム」という構造を採用することで、開放的なパブリックスペースと、光や温湿度を厳密に管理する展示空間を明確に分離。壮大なスケールと繊細な展示環境を兼ね備えた、ガラス建築ならではの開放感を体感できる一棟だ。

九州国立博物館
住所/福岡県太宰府市石坂4-7-2

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ルーヴル・ピラミッド/フランス

世界最大級の美術館として知られる「ルーヴル美術館」は、12世紀に城塞として築かれ、その後は王宮として増改築を重ね、1793年に美術館として一般公開された。中庭に立つガラスのピラミッドは、1989年の「大ルーヴル計画」の一環として、建築家I.M.ペイの設計により誕生した。

高さ約21mのピラミッドは、603枚の菱形ガラスと70枚の三角形ガラスで構成され、透明感のある軽やかな佇まいが重厚な宮殿建築と鮮やかなコントラストを描く。一方で、周囲の空や歴史的建築を映し込むことで、不思議なほど風景に溶け込んでいるのも魅力だ。

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ガラスのピラミッドは単なるモニュメントではなく、美術館のメインエントランスとして機能している。来館者はガラス越しに自然光が降り注ぐ地下ロビーへと導かれ、そこから各展示エリアへと向かう動線となっている。

膨大な来館者に対応するための新たな玄関口として計画され、機能性とデザイン性を兼ね備えたこの建築は、歴史的建築と現代建築をつなぐ象徴として、今ではルーヴル美術館を語るうえで欠かせない存在となっている。

ルーヴル美術館
住所/Musée du Louvre, 75001 Paris, France

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Apple Fifth Avenue/アメリカ

世界各地に500店舗以上を展開するApple Storeは、製品だけでなく建築デザインでも高い評価を受けている。なかでもニューヨーク・マンハッタンに位置する「Apple Fifth Avenue」は、ブランドを象徴する店舗として知られる存在だ。2006年にボーリン・サイウィンスキー・ジャクソンの設計で誕生し、2019年にはジョナサン・アイブ率いるAppleのデザインチームと、フォスター+パートナーズによる大規模なリニューアルが行われた。

地上に姿を現すのは、一辺約10mのシンプルなガラスキューブのみ。そのミニマルなフォルムは街のランドマークとなり、昼は空や周囲の高層ビルを映し込み、夜には内側から光を放つオブジェのような佇まいを見せる。ガラスを構造材として生かしたキューブは構造体としての役割も担い、余計な装飾を削ぎ落としたデザインが、Appleらしい美学を体現している。

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店内は広場の地下に広がり、ガラスキューブから鏡面仕上げのらせん階段や円筒形のガラスエレベーターでアプローチする。

地下空間でありながら、80カ所の天窓から自然光が降り注ぎ、リング状の照明は外光の色温度に合わせて明るさや色味を調整。地上と地下をシームレスにつなぐ透明感あふれる空間は、買い物の場であると同時に、建築そのものを体験する場としても世界中の人々を魅了している。

Apple Fifth Avenue
住所/767 Fifth Avenue New York, NY 10153

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ハルパ・コンサートホール/アイスランド

アイスランドの首都・レイキャヴィクの港湾エリアに建つ「ハルパ・コンサートホール」は、2011年に開業したコンサートホール兼コンベンションセンター。アイスランド交響楽団の本拠地として親しまれるほか、コンサートや国際会議など多彩なイベントの舞台となっている。

設計を手がけたのは、“光の巨匠”とも称されるデンマークの建築家ヘニング・ラーセン。ガラスファサードはアーティストのオラファー・エリアソンとの協働によって実現した。

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建物を特徴づけるのは、アイスランド各地で見られる柱状玄武岩から着想を得た立体的なガラスのファサードだ。1,000を超えるユニークなガラスと鉄骨のモジュールが組み合わさり、港の海や空、移ろう光を映し込みながら刻々と表情を変える。ところどころに配された色ガラスはオーロラを思わせる彩りを添え、夜にはガラス内部に組み込まれたLEDが建物全体を幻想的に照らし出す。

館内へ足を踏み入れると、高い吹き抜けのアトリウムに自然光が降り注ぐ。自然が生み出す光と人工照明を巧みに融合させた建築は、アイスランドの雄大な風景そのものを体感できるランドマークとなっている。

ハルパ・コンサートホール
住所/Austurbakki 2, 101 Reykjavík, アイスランド

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