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日本版声優・榎木淳弥が語る、スパイダーマンと歩んだ10年間。最新作は「“静かな熱さ”、という感じ」

  • 2026.7.31

実写のスパイダーマンが約5年ぶりにスクリーンに戻ってくる!『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(公開中)はマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)の最新作にして、トム・ホランド主演版シリーズの4作目。スパイダーマンことピーター・パーカーについての記憶が、人々から消された世界を舞台に、新たな物語へと踏みだすピーターを描く新章だ。大都会ニューヨークで孤独な日々をおくる彼が、どんな敵に立ち向かうのか、大いに気になるところだ。

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ホランド演じるピーターが復帰するとなれば、日本語吹替版で同役を演じている人気声優、榎木淳弥ももちろん帰ってくる。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)でピーターの声を初めて担当して以来、10年にわたってスパイダーマンに命を吹き込み、またトム・ホランドの日本語の“声”としても活躍。そんな彼に、最新作の魅力やピーターを演じることの喜びについて語ってくれた。

「肉体が変化してからのピーターの声ははっきりと変わっています」

日本語吹替版でピーター・パーカーを演じ続けて10年、本作に込めた想いは? 撮影/杉映貴子
日本語吹替版でピーター・パーカーを演じ続けて10年、本作に込めた想いは? 撮影/杉映貴子

前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)までは高校生だったピーターだが、4年を経た本作では立派な大人に。前作までは青春ドラマの要素が強かったが、ここからは大人のドラマともいえる。榎木も今回のピーターについて、「自分の現状をある程度受け入れている部分は大人になったと思います。かといって、年上の人と話す時は少年らしさみたいなものも見せるし、変化した部分と変化していない部分の両方があると思います」と、変化を分析。さらにドラマ面では、「世界から忘れられた存在になっている、というピーターの境遇の変化は大きいですね」と、これまでとの違いを語る。恋人だったMJ(ゼンデイヤ/真壁かずみ)や親友のネッド(ジェイコブ・バタロン/吉田ウーロン太)、かつてアベンジャーズの一員として共に戦ったハルクことブルース・バナー(マーク・ラファロ/宮内敦士)でさえ、ピーターの存在は記憶のなかに残されていないのだ。

ピーターとMJとの関係はいったいどうなる? [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL
ピーターとMJとの関係はいったいどうなる? [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL

MJやネッドと偶然の再会のほかにも、ピーターの肉体にはこれまでにはなかった異変が生じる。クモの遺伝子の主張が大きくなり、能力をコントロールできず、高層ビルの間を飛び回るスパイダースイングさえうまくできない事態になるのだ。ひたすら慌てるピーターの声の演技も、榎木はとても新鮮だったという。「アクション時は原語のセリフを聞き取るのが大変でしたが、基本的に肉体が変化してからのピーターの声ははっきりと変わっています。微妙に変化するより、わかりやすく変化したほうがこちらも切り替えやすいんです。なので、いままでのスパイダーマン役ではなかった声を出してみたりして、新鮮な楽しさを味わいました」。

パニッシャー/フランク・キャッスルが映画版スパイダーマンと初共演! [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL
パニッシャー/フランク・キャッスルが映画版スパイダーマンと初共演! [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL

そもそもピーターは『シビル・ウォー』で初登場したころから、おしゃべりなキャラクターで、激しい戦闘の最中にもジョークを言ったりグチを吐いたりしていた。アクションの最中のセリフを演じるうえで苦労はないかと尋ねると、榎木は「それはありません」とキッパリ。ただ、アクションシーンではそれ以上に大変なことがあると続けて教えてくれた。「ピーターは殴ったり殴られたりと肉体的な場面が多いのですが、その際の息を吸ったり吐いたりする順番を把握するのは大変です。呼吸を動きに合わせないといけないので。だから演じていて呼吸が激しくなって、クラクラしてくることもあるんですよ(笑)」。

「悲しいシーンもあります。でも、前向きな気持ちになれる作品」

“親愛なる隣人”としても知られるスパイダーマン/ピーター・パーカーは、マーベルの数多くのヒーローのなかでも、最も人気のあるキャラクターの一人であろう。とりわけ日本では、スパイダーマンを主人公にした21世紀以降の作品のいずれも、飛びぬけたヒットを記録していることがそれを証明している。そんな人気の理由を、演じる側としてどう受け止めているか尋ねると、「完璧じゃないところ」だと榎木は真っすぐな眼で答える。「ピーターは間違えたり、負けたりするし、戦うことへの悩みも抱えている。そういう部分が、いまこの世界で生きている僕らと重なると思うんです。スーパーヒーローではあるけれど、遠くない存在と思わせてくれますから」。“親愛なる隣人”とは、まさにそんなキャラクターを差す言葉なのだ。

世界中で愛され続けるスパイダーマン [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL
世界中で愛され続けるスパイダーマン [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL

共感を抱けるキャラに演者がなり切る以上、ピーターと感情がシンクロする場面もあるに違いない。そこで、これまでもっともピーターに感情が重なった場面について問うと、MCU単独シリーズ1作目の『スパイダーマン:ホームカミング』(17)を挙げた。「クライマックス後、スパイダーマンとしては未熟なピーターが瓦礫の中から立ち上がる場面です。諦めてしまいそうなところから、自分を励まして立ちあがる。演じていても胸が熱くなるシーンでした」。

過去のピーターの感情を振り返る榎木 撮影/杉映貴子
過去のピーターの感情を振り返る榎木 撮影/杉映貴子

ならば最新作『ブランド・ニュー・デイ』では、そんな場面はあったのだろうか?「あのころに比べるとピーターも大人になっていますから、“静かな熱さ”、という感じです。成長したぶん、自分だけではなく周りにも目がいく。人を助けたり、人を励ましたりする時の優しさというか、そういう部分が熱くなるところでした」と、榎木は振り返る。いつまでも子どものままではいられない。大いなる力には大いなる責任が伴う――本作はそれを自覚したピーターの物語でもあるのだ。

大人になったピーターの“静かな熱さ”とは [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL
大人になったピーターの“静かな熱さ”とは [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL

「『ブランド・ニュー・デイ』の脚本を読んで最初に思ったのは、すごくいい脚本だということでした。人間ドラマが、とてもよくできていたんです」と、榎木は語る。最後にそれを踏まえて、映画を楽しみにしている観客へのメッセージをお願いした。「前作の結末を観て、“この先どうなるんだろう?”と思われた方も多いと思います。『ブランド・ニュー・デイ』では、その先が丁寧に描かれています。悲しいシーンもあります。でも、前向きな気持ちになれる作品なので、ぜひ劇場で観てほしいですね」。

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は公開中! [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は公開中! [c]2026 CPII. All Rights Reserved. [c]& TM 2026 MARVEL

言うまでもなく、「スパイダーマン」シリーズである以上、スピーディで躍動的なアクションのすごみも存分に含まれているはず。愛すべきピーターのその後を、ハラハラしながら見守ってほしい。

取材・文/相馬学

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