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「4が4つも並んで、嫌な数字ね」レジの金額を見て表情が曇った客。だが、店員の一言が客の気持ちを変えた

  • 2026.8.1

画面にそろった数字

スーパーのレジに立っていた頃の話です。

夕方の時間帯は、かごが山盛りのお客様が続きます。

手を止めずに商品を通していると、頭の中は数字でいっぱいになりました。

レジ打ちの仕事は、指と目でリズムを作ります。バーコードの向きをそろえて、卵とパンは最後に回す。

それだけのことでも、体に入るまでには何年もかかりました。

その日も、常連の女性からかごを預かりました。

牛乳、卵、鶏肉、青菜。今夜の食卓が見えるようなかごです。最後の一点を通したところで、画面に合計が出ました。

4444円。

(わあ、すごい。ゾロ目だ)

十年以上レジを打ってきましたが、こんなにきれいにそろったのは数えるほどでした。

曇ったお客様の顔

ところが、画面をのぞき込んだお客様の眉が、すっと寄ったのです。

「4が4つも並んで、嫌な数字ね」

声は小さくて、私にだけ聞こえるくらいでした。

4を気にされる方は少なくありません。

番号を飛ばす建物があるくらいですから、良い気はしないのだと思います。

お財布を出す手も、少しゆっくりになりました。

「今日はいいことがなかったのに、最後までこれなんですもの」

いつも同じ時間に来られて、かごの端にお惣菜をひとつ置いていく方でした。挨拶を交わすくらいの間柄です。

笑ってはいましたが、目のあたりだけが硬いままでした。

言葉が出るまでに、間はありませんでした。

「シアワセのシですよ」

自分でも、どこから出てきたのか分かりません。気づいたときには、そう言っていたのです。

列まで届いた小さな笑い

お客様が、はっと顔を上げました。

「あ、そうですね」

目のあたりが、ふわりとゆるみます。

「シアワセですね。ありがとうございます」

後ろに並んでいた男性のお客様が、小さく笑うのが聞こえました。

「それ、いいですね。次は僕も狙います」

「なかなか出ませんよ」

そう返したら、列の前のほうでも笑い声がいくつか重なりました。さっきまで、みんな黙って順番を待っていた列です。

金額はひとつも変わっていません。画面には4444円が出たままです。

動いたのは、それを見るお客様の顔のほうでした。

お客様はレシートを財布にしまって、袋詰めの台へ歩いていきました。背中が、来たときより少し軽く見えたのです。

そのあとも私はレジを打ち続けました。混んでいましたから、余韻にひたる暇などありません。

それでも、あの一言だけは何年も残りました。マニュアルにも研修にも、どこにも書いていない言葉です。

「シアワセのレジの人でしょ」

後日そう言われて、私は思わず吹き出してしまいました。あのときのほどけた顔は、今も忘れられません。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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