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ワンランク上のお土産にも! パリで話題のショコラティエ、最前線を総ざらい。

  • 2026.7.27

パリのショコラティエがいま熱い。新勢力から老舗の新たな試みまで、その変遷を追いかけて。


パリには世界に名を馳せるショコラティエが数多く存在する。こうした名店で腕を磨いた若手職人が独立し、アルティザン(職人)ショコラティエとして新たなブランドを確立していく。2023年に開業したウィリアム・アルティーグもそのひとりだ。

一方で10年代よりカカオ豆から成型まで一貫して行うビーントゥーバーが台頭。なかでも15年に登場したプラックは、ピュアな味を追求し、カカオ豆と無精製のキビ糖だけでビターチョコレートを作る。製菓用クーベルチュールにも熱視線が集まる。

2区に誕生以来、パリのビーントゥーバーの代表格に。©Plaq https://plaqchocolat.com/

またパティシエは、味の組み合わせや斬新なデザインで差別化を図る。人気パティシエのセドリック・グロレ、星付きレストランのシェフパティシエを経て独立した女性シェフのニナ・メタイエ、ヘーゼルナッツ加工工房兼チョコレート店を昨年開き、ルイ・ヴィトンのチョコレートも手がけるマキシム・フレデリックらが代表格だ。

さらに料理人もチョコレートに参画。素材の本質を見極め、徹底してその風味を生かそうとするのが彼らの視点だ。ボンボンショコラを「一粒で完結する鮨のよう」とたとえるのは、昨年から本格的にチョコレート作りに取り組む1ツ星レストラン、パージュの手島竜司オーナーシェフ。パートナーでパティシエールの大石直子とともに、室温管理からナッツやキャラメルの加熱加減、0.1ミリ単位で計算する材料の大きさまで、妥協を許さずレシピを練り上げる。抹茶はシェフ自ら探し出し、ハーブは使うパーツによって仕入れ先を変え、一粒に哲学を反映させる。3ツ星レストランを率いるヤニック・アレノは、長年研究してきた素材の抽出技術をチョコレートにも採用。砂糖の代わりに、GI値が10分の1という白樺樹皮の抽出物を使い、素材の味を鮮明に。最近ではディオールとコラボレーションしたチョコレートエッグも話題だ。

抹茶やトンカ豆など、素材の風味が際だつボンボン。©Atelier Pages @atelierpages.paris

新たなアプローチが盛んになる一方で、再スタートを切った老舗店もある。1872年からパリ北部のアミアンで続くジャン・トロニューは昨年パリに初進出。カカオ豆の焙煎から手がけて作るボンボンショコラや、瓦の形をしたアミアンの伝統的なチョコレートのチュイルなどを提供する。1800年に薬剤師が創業したドゥボーヴ・エ・ガレは、4年前に経営陣が刷新。歴史に基づき、身体に効能がある素材を新作にも使う。現代にも通じる価値観とチョコレート文化を支えてきた伝統の重みをあらためて強調しながら、老舗も進化し続けている。

6代続くチョコレートとマカロンの名店。©Jean Trogneux https://www.trogneux.fr/

Index

  • – 01. La Chocolaterie William Artigue|ラ・ショコラトリー・ウィリアム・アルティーグ[ サンマルタン ]
  • – 02. Les Chocolats de Yannick Alléno|レ・ショコラ・ドゥ・ヤニック・アレノ[ グロ・カイユー ]
  • – 03. Cédric et la Chocolaterie|セドリック・エ・ラ・ショコラトリー[ オペラ ]
  • – 04. Destination par Nina Métayer|デスティナシヨン・パール・ニナ・メタイエ[ シャトレー ]
  • – 05. Debauve & Gallais|ドゥボーヴ・エ・ガレ[ マレ ]

01. La Chocolaterie William Artigue|ラ・ショコラトリー・ウィリアム・アルティーグ[ サンマルタン ]

左上:製菓学校時代にチョコレートの世界に魅せられたアルティーグ。 右上:栗のハチミツのガナッシュ&レモンのマジパン、ピスタチオや蕎麦の実のプラリネなど、定番と冬のフレーバーをアソートに。30個入り45ユーロ 下:パッケージと内装は太陽をイメージした黄と白で統一。

季節を物語るフレーバーが魅力の実力派。

パトリック・ロジェ、ジャック・ジュナン、シュヴァル・ブランなどで10年にわたりチョコレートの技術を磨いたウィリアム・アルティーグ。2023年、サンマルタン運河の近くに自身の名を冠したチョコレート専門店を開いた。カカオ産地を見極めて作るガナッシュやフランス産ヘーゼルナッツのプラリネといった定番はもちろん、春はハーブ、夏は木イチゴやバルサミコ、秋はクルミや栗、冬は柑橘やシナモンと、季節を感じさせるフレーバーが評判。

02. Les Chocolats de Yannick Alléno|レ・ショコラ・ドゥ・ヤニック・アレノ[ グロ・カイユー ]

スターシェフの技が結集した革新的な一粒。

2店の3ツ星レストランをはじめ、17の星を持つ料理人ヤニック・アレノ。料理のソースを軽やかにするために活用した独自の抽出や発酵、濃縮の技術をチョコレートに応用。ガナッシュやクリームに新たな味や食感を生みだした。バニラビーンズを模った「グース・ドゥ・ヴァニーユ」、ワインとのペアリングを考えたタブレットと、記憶に刻まれる美食の味わいが編み出される。

03. Cédric et la Chocolaterie|セドリック・エ・ラ・ショコラトリー[ オペラ ]

左上:レモンやココナッツ、アーモンドなどのプラリネとチョコレートを重ねた「Biscuit」(5個入り28ユーロ)は花のデザインで。 右上:子どもの目線で作ったというカカオの世界。 下:フルールドセルの塩味を利かせたプラリネのボンボンショコラ「Bonbon」5個入り18ユーロ

スターパティシエが描く、“チョコレート工場”の世界。

名パティシエ、セドリック・グロレが2025年10月、チョコレート専門店をオープン。店名は映画『チャーリーとチョコレート工場』(05年)へのオマージュだ。天井から巨大なカカオが吊るされ、カウンターも板チョコ型と、まさに物語の世界。調和のとれたチョコレート作りが信条で、ナッツプラリネのボンボンショコラ、レモンやココナッツのタブレット、チョコレートとプラリネを重ねたビスキュイなど。ナッツや花を模ったデザインも目を引く。

04. Destination par Nina Métayer|デスティナシヨン・パール・ニナ・メタイエ[ シャトレー ]

左上:チョコレートがけしたアーモンド&レモン、ギモーヴ、キャラメル「Coffret 3 Barres Gourmandes」3個入り16.50ユーロ 右上:奥から、プラリネとサブレ入り「Rose Trémière」、ポップコーンとキャラメル味「Marguerite」各15ユーロ 下:店はサマリテーヌの1階に。

素材使いに定評あり。女性シェフの新たな一手。

「世界のベストレストラン50」の最優秀パティシエにも選ばれたニナ・メタイエ。パティスリーのデリカティスリーに加え、昨年9月にチョコレートのブランドもスタートさせた。工房は出身地のフランス西部ラ・ロシェルに構え、幼い頃の思い出の味であるポップコーンを使ったチョコレート、アオサや梅風味のゴマといった塩味も融合したタブレットなどを発表。百貨店ラ・サマリテーヌにある店舗は豪華列車の一等車をイメージしており、ショコラの旅へと誘う。

05. Debauve & Gallais|ドゥボーヴ・エ・ガレ[ マレ ]

左:バニラやコーヒーなど9フレーバーあるピストル「Écrin de Pistoles de Marie-Antoinette」24個入り38ユーロ 右:新店は歴史あるヴォージュ広場の回廊に2025年10月にオープン。

創業者の価値観を再認識し、進化する老舗。

1800年、ルイ16世の薬剤師だったシュルピス・ドゥボーヴが創業。王妃マリー・アントワネットのために、苦い頭痛薬にカカオとアーモンドミルクを混ぜ、チョコレートに改良。この時に生まれた「ピストル」は現在も看板商品だ。2022年に経営が新体制になり、資料を掘り起こして歴史を再考証。アントワネットの18世紀の肖像画に着想を得た淡いブルーにパッケージを変更し、タイムとハチミツのガナッシュなど身体に優しい素材を使った新作も発表する。

*「フィガロジャポン」2026年5月号より抜粋

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