1. トップ
  2. ヴィンテージ指輪の輝きに重なる、年齢を重ねる美しさ。心にしみる、3人のマダムの会話【書評】

ヴィンテージ指輪の輝きに重なる、年齢を重ねる美しさ。心にしみる、3人のマダムの会話【書評】

  • 2026.7.25

【漫画】本編を読む

年齢を重ねることは少し怖い。だって、若い頃のような勢いはなくなり、見た目も、体力も、少しずつ変わっていってしまうからだ。けれど、時間が経ったからこそ出てくる美しさもあるのではないか。

そんなことを、さりげなく、でも力強く教えてくれるのが、『マダムたちのルームシェア』(seko koseko/KADOKAWA)。それぞれ異なる人生を歩んできたマダム3人が、同じ家で暮らしながら日々を楽しむコミックエッセイだ。栞、沙苗、晴子の会話には、年齢を重ねたからこそ言える言葉がさりげなく詰まっている。何気ない雑談の中で、時間をかけて磨かれたものの美しさに気づかせてくれるのが本作の魅力だ。

たとえば、ある時、沙苗たちの話題にあがったのは、ヴィンテージの指輪。沙苗が20代の頃に買ったものだから、もう最初の輝きはない。けれど、その分、大切に磨かれ、年月を経たからこそ出る深みと美しさがある。沙苗はそんな指輪を熱心に磨きながら「まるで私たちのよう」と表現するのだ。

なんて素敵な言葉なのだろう。年齢を重ねることは、ただ何かを失っていくことではない。知識も、経験も、好みも、生き方も、その人が長い時間をかけて磨いてきたものになる。人も指輪と同じで、磨かれてきたものには、若い頃とは別の美しさがあるはず。そう考えると、年齢を重ねた自分にも、少し自信を持てる気がする。

さらにいいのは、「新しく磨き始めるのは?」という問いに、沙苗が「むしろ磨き始めるなら今よ」と返してくれるところだ。いくら年齢を重ねても「もう遅い」なんてことはない。好きなものも、知りたいことも、なりたい自分も、今から磨き始めればいい。マダムたちの会話を聞いていると、これから年齢を重ねていくことが何だか少し楽しみになってくるだろう。

文=アサトーミナミ

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ