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待っていたのは誰も得しない結末……世帯年収480万・62歳男性が弟との相続トラブルの末に失ったもの

  • 2026.7.23

親が亡くなった後の実家の相続。誰もが直面する可能性のある問題ですが、不動産の価値をめぐって兄弟間で大きな認識のズレがあると、思わぬ泥沼の争いに発展することも……。福島県で製造業の会社員として働く62歳の男性は、実家の相続に伴う弟との相続トラブルで、兄弟間の絆とお金を失ってしまいました。男性の憤りと、実家が“負債”になってしまった過酷な顛末を教えてもらいました。

回答者のプロフィール

ママテナ編集部マネーチームは2026年4月、インターネット上で「お金にまつわるトラブル」について、エピソードを募集するアンケートを実施しました。今回紹介するエピソードは、そのアンケートに寄せられたものです。回答者である62歳男性のプロフィールは以下の通り。

回答者本人:男性(62歳)
居住地:福島県
家族構成:本人(62歳)、妻(59歳)、長男(32歳、独立して都内に居住)
回答者の職業:会社員(正社員)製造業の現場管理・安全指導員
配偶者の職業:パート・アルバイト
現在の世帯年収:約480万円
回答者個人の年収:350万円
住居形態:戸建て(分譲・建売住宅)
現在の金融資産状況:約800万円(預貯金が主。一部、老後資金としてiDeCoと積立NISAを運用中)

実家の価値は「数千万」か「数百万」か。父亡き後、弟との泥沼の相続争いに

福島県で製造業の会社員として働きながら、妻と2人で暮らす62歳の男性。その身に起こった金銭トラブルとして教えてくれたのは「3年前に他界した実父の『地方の実家』の相続と、それに伴う兄弟間での売却益の分配トラブル」でした。

父が亡くなった際、男性たち兄弟に遺されたのは地方の古い実家とわずかな預貯金のみ。長男である男性は、遺された実家の片付けや固定資産税の支払いを負担することになりました。

そんな男性に対し、弟は「家を売れば数千万になるはずだ」と主張。「法定相続分通りの現金配分を強く要求してきました」と言います。

そこで、実際に不動産業者に査定を依頼してみると、「建物は価値ゼロで土地も需要がなく、弟の想定を大幅に下回る数百万円の評価でした」と男性。

しかし、弟はこの査定結果に納得しませんでした。「兄が業者と結託して安く見積もらせ、着服しようとしている」と主張してきます。

親戚を交えて弟の説得を試みたという男性ですが、「弟の不信感が拭えなかった」がゆえに、兄弟での話し合いは決裂してしまいます。

法テラスで弁護士に相談。感情論を排除し、2年がかりで決着へ

結局、男性は法的に解決する道を選ぶことに。「法テラスを通じて紹介された弁護士に相談しました」と振り返ります。

男性は、客観的な不動産鑑定評価書を作成し、これまでの維持管理費の領収書をすべて証拠として提示。「感情論を排除し、すべてを数字と法律に基づいて書面でやり取りするように切り替え、最終的には家庭裁判所での調停に持ち込みました」と明かします。

その結果、「裁判所の調停員が入ったことで、ようやく弟も現実的な売却価格と長男である私の負担を認めざるを得なくなりました」。

最終的には実家を売却した残金を折半するという形で合意したとのこと。ただ、解決に至ったときには既に2年近くの歳月が経過していました。

調停で失った150万円以上の老後資金と、絶たれた家族の絆

弟との話し合いが調停にまで発展したことで「実家の売却益がほぼ弁護士費用と解体費用で消えてしまうという、誰も得をしない結果になりました」と男性。

さらに「老後資金として計算していた自分自身の貯蓄を、実家の維持管理費や調停費用として150万円以上切り崩さざるを得なかった」と言います。

相続が思わぬトラブルに発展したことで「再雇用の給料だけでは補填が難しく、定年後に予定していた自宅のリフォームを無期限延期することになりました」と、その後の生活設計にも大きな影響が及びました。

今や弟とも絶縁状態に。「親戚付き合いも完全に断絶してしまった精神的なダメージも大きいです」と精神的な苦痛も相当なものだったようです。

「『なぜ自分ばかりが苦労して、遠方に住んで何も手伝わなかった弟に責められなければならないのか』という強い憤りと虚しさを感じていました」と、率直な心境を吐露する男性。

「父が生前にしっかり遺言を残してくれていればと、亡くなった父を恨んでしまう時期もあり、夜も眠れないほどストレスが溜まっていました」と言います。

「家族の絆が金銭問題でここまで簡単に崩れるのかと、絶望的な気持ちでした」。

「不動産は資産ではなく負債になり得る」。苦い経験から得た教訓

父が健在なうちに、実家の処分方針を親子・兄弟で明確にし、公正証書遺言を作成してもらっておけば……男性は今、そう感じていると言います。

さらに、不動産の査定も一社だけでなく、最初から複数の大手・地元業者に依頼して、客観的なデータを兄弟で同時に確認できる場を設けるべきだった、とも。

このトラブルを通して、男性は「親の資産はあてにしないという覚悟と、不動産は資産ではなく負債になり得るという教訓を得ました」と教えてくれました。

今、考えているのは、将来的に男性自身が亡くなった後の息子のこと。「自分の息子には同じ苦労をさせないよう、今のうちから自宅の処分や預貯金のリスト化を進め、エンディングノートを作成して意思を明確に伝えるようにしています」。

 

(文:ママテナ編集部マネーチーム)
※この記事は、ママテナ編集部マネーチームが2026年4月、「お金にまつわるトラブル」をテーマに実施したアンケート(インターネット回答)に寄せられたエピソードを元に作成しています。
※写真はイメージで本文とは関係ありません。

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