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小泉今日子×小林聡美『団地のふたり』地上波放送開始。網戸の張替え修理が話題になってハプニング勃発?【ドラマレビュー】

  • 2026.7.21
団地のふたり 藤野千夜/双葉社
団地のふたり 藤野千夜/双葉社

大人になるにつれて、日常を楽しむことの感覚を忘れていくように思う。仕事や家事、育児など、こなさなければならないタスクが多すぎる日々の中には余白がなく、どこか窮屈だ。なんのために生きているんだろう…。そう自問したくなる日もあるのではないだろうか。

『団地のふたり』(藤野千夜/双葉社)は、そんなお疲れ気味の心に刺さるヒューマンストーリーだ。本作は、同じ団地で暮らす50代の幼なじみ2人のユニークな日常を描いた友情物語。2026年7月14日(火)に、小泉今日子と小林聡美がW主演を務めた実写ドラマが地上波で初放送された。

主人公は、同じ団地で生まれ育った太田野枝(通称:ノエチ)と桜井奈津子。わけあって昭和の面影を残す団地に戻ってきた2人は再び、同じ団地で暮らすようになった。

ノエチは、大学の非常勤講師。奈津子はイラストレーターだが、今はフリマアプリで不用品を売ることが本業になりつつある。時には、高齢のご近所さんから頼まれた不用品をフリマアプリに出品することも。

互いのことを知り尽くしている2人はもっぱら、奈津子の家で一緒に過ごす。好き放題に言いながら録画したテレビ番組を見たり、愚痴をこぼし合ったりして、賑やかな時間を過ごすのだ。

ドラマでは、原作に描かれていた2人の仲睦まじさや日常のほっこり感がそのまま再現されている。小泉今日子が演じるノエチと小林聡美が扮する奈津子が繰り広げるやりとりは、息ピッタリでテンポがいい。

もちろん、ドラマには原作の内容も反映されているので、原作ファンも楽しめる。ただ、原作以上に2人のコミカルなやりとりが多くて何度も頬が緩む。特に、奈津子が野菜の通販サイトで定期購入している旬の野菜を2人で食べるシーンでは気心知れた相手にしか出せない素が伝わってきて、改めて2人の関係性が羨ましくなる。

第1話で印象的なのは、ヤンキーだったノエチの兄・あつ兄の不用品をフリマアプリに出品するシーンだ。2人は出品できるお宝を探しながら、あつ兄が持っていたフォークソングの楽譜を手に取り、懐かしの昭和ソングを歌い、踊る。同じ年代を過ごした人は、言葉では言い表せない懐かしさがこみ上げてくることだろう。

なお、近所の人たちとの関係も微笑ましい。団地内には高齢のご近所さんが多く、50代の奈津子らは若手の部類。2人はご近所さんに頼まれて、網戸の張替え修理を行い、作業後はピザをごちそうになる。

しかし、その後、予期せぬ事態に。その仕事っぷりが近所で評判になり、ご近所さんから次々と網戸の張替えの依頼が舞い込むようになってしまうのだ。奈津子たちは困惑するが、視聴者としては人同士の繋がりがあってこそのプチハプニングにほっこりした。

ネットを介して様々な人と繋がれる今の時代は、かえって身近な人との繋がりが薄れている。奈津子たちの交流を見ていると、自分も手が届く範囲の人々に目を向け、対面で向き合う温かさを忘れたくないと思わされることだろう。

奈津子たちは決して、順風満帆な人生を歩んできたわけではない。学者を目指していたノエチは、理想の職を掴む直前で教授との不倫を疑われ、職場にいられなくなった。奈津子にはイラストレーターとしてのキャリアを着実に積んできたが、景気の波によって依頼が減ったというバックボーンがある。

だが、2人は自身に起きた悲劇を悲観的に受け止めず、心豊かに今を生きる。一緒に飲む食後のドリップコーヒーがおいしい、お気に入りのイケメンなコンビニ店員に会えたなど、日常の中で起きるささやかなことに幸せを感じ、心を満たす2人。その姿に触れると、自分の心に足りないものが自ずと見えてくるのではないだろうか。

原作のノスタルジックな雰囲気がしっかり表現されているこのドラマは昭和という時代を生きた人はもちろん、昭和レトロな世界観が好きな方の心にも響く作品である。ぜひ、続編『また団地のふたり』(双葉社)も手に取りつつ、ドラマでも本作を楽しんでほしい。

文=古川諭香

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