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「携帯代の3万、今ちょうだいよ」祖父を看取った直後に祖母へ無心した父→私が泣きながら放った一言

  • 2026.7.21

深夜の待合室で待つ家族

祖父が息を引き取ったのは、日付が変わる少し前だった。

親族みんなで最期を看取った。祖母は祖父の手を握ったまま、しばらく離さなかった。

看護師さんに身支度を整えると告げられ、私たちは病室を出た。案内されたのは、灯りを落とした外来の待合室だった。

長椅子が並ぶだけの、しんとした場所だ。

「おじいちゃん、痛くなかったかしらねぇ」

祖母がハンカチで目を押さえた。

六十年近く連れ添った人を、たった今送ったばかりだった。

伯母が祖母の背中に手を添える。誰も、うまく言葉が出てこない。自販機の低い音だけが響いていた。

そこへ、父が缶コーヒーを片手に戻ってきた。

祖母の正面の椅子に、どすんと腰を下ろす。

「なあ、母さん」

祖母が顔を上げた。

「これから親戚への連絡やら手続きやらで、バタバタするだろ」

「……ええ」

「携帯代の3万、今ちょうだいよ」

泣きながら怒鳴った夜

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

祖母がぽかんと父を見ている。伯母の手が、祖母の背中で止まった。

「連絡するにも金がかかるんだ。今のうちにもらっとかないと」

父は缶を開けながら、事務の話でもするような顔で言った。

気づいたら、涙があふれていた。

「お父さん、今そんなこと言って本当に有り得ない」

自分でも驚くほど大きな声が出た。父の手が止まる。

「……なんだよ、いきなり」

「おじいちゃんが亡くなって、まだ一時間も経ってないんだよ。おばあちゃんの顔、見てよ」

父は口を開きかけて、また閉じた。缶コーヒーを持つ手が、行き場をなくしたように宙で止まっている。

「いや、俺だって手続きのことを考えて…」

「自分の携帯代でしょう」

伯母が、静かに割って入った。

「兄さん、あんた今日くらい黙ってなさい」

叔父も長椅子から立ち上がった。

「連絡はこっちで回す。金の話をする日じゃない」

父は誰の顔も見られず、視線を床に落とした。言い訳の続きは、もう出てこなかった。

「……悪かったよ」

絞り出すような声だった。私は涙を拭いて、まっすぐ父を見た。

「謝るなら、おばあちゃんに言って」

父は立ち上がり、祖母に頭を下げた。それきり、待合室の隅の椅子に座って一言も喋らなかった。

私は祖母の隣に座り直して、その手を両手で包んだ。冷たくて、少し震えていた。

「ごめんね、こんな夜に」

祖母がそう言うので、首を横に振った。

「おばあちゃんが謝ることなんて、何もないよ」

祖母の肩に、そっと頭を預ける。窓の外はまだ真っ暗だった。それから葬儀が終わるまで、父が祖母にお金の話を持ち出すことは一度もなかった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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