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なぜ女性だけが年齢を問われる? “高齢出産”をめぐる偏見とプレッシャーとは

  • 2026.7.17
Marco_Piunti / Getty Images

35歳以上になってから初めて出産すること、経産婦で40歳以上で出産することを指す「高齢出産」。女性の社会進出や晩婚化などによって、高齢出産の割合も増加しているなか、先日アン・ハサウェイ(43歳)が第3子を妊娠したことを発表し、話題に。SNSでは、女性の出産年齢の選択やライフプランをめぐる議論が広がっている。

43歳で第3子を妊娠したアン・ハサウェイ

映画『プラダを着た悪魔』シリーズや『レ・ミゼラブル』などへの出演で知られる、俳優のアン・ハサウェイ。2012年には、俳優などエンタメ業界で活躍する夫アダム・シュルマンと結婚し、その後2人の子どもが誕生。

そして2026年6月19日(現地時間)、アンは自身のインスタグラムで大きなお腹を披露し、43歳で第3子を授かったことを報告した。

アメリカ疾病対策センター(CDC)の報告によると、30歳以上の女性の出生率は1990年以降一貫して上昇しており、近年では40歳以上の女性による出産が、初めて10代の妊娠件数を上回ったという。

また、セレブたちの発信は、高齢出産をめぐる長年の不安や偏見を見直すきっかけとなっており、アンの投稿は多くの注目を集め、2026年7月2日現在で約2200万件もの「いいね!」を獲得。コメントも27万件を超え、祝福の言葉や「母親になることに期限はない」といった声が相次いでいる。

社会に根付く偏見で“40代での妊娠”に不安を抱いたセレブも

セレブの間で“特別な年齢”として注目されている「43歳」。歌手のグウェン・ステファニー(56歳)や、元アメリカ女子サッカー代表のカーリー・ロイド(43歳)、俳優のクレア・デインズ(47歳)やシエナ・ミラー(44歳)も、43歳で妊娠を経験している。

20代と40代で妊娠を経験しているシエナは2026年3月、「40代の妊娠の方が楽だと感じる」と語り、さらに「男性が80代で子どもをもっても批判されないのに、なぜ女性だけがそうした目で見られるの?」と、年齢を重ねた男性と女性では“子どもをもつこと”に対する社会の見方に違いがあると訴えた。

クレア・デインズ John Nacion / Getty Images

一方で3児の母であるクレアは、エイミー・ポーラーのポッドキャスト番組『Good Hang』で、第3子の妊娠が分かったときに「パニック状態に近い反応をしてしまった」と振り返っており、別のポッドキャスト番組『SmartLess』では、「妙な恥ずかしさ」を感じたとも明かしている。

実際にクレアは、「本来のタイミングを過ぎて、越えてはいけない線を越えてしまったような感覚」や、「社会の想定する枠の外に出てしまったような気持ち」を抱いたという。

“高齢出産”という言葉への違和感

近年では高齢出産をする人も増え、世間の反応やイメージも変わりつつあるものの、クレアのように、35歳以降の妊娠にプレッシャーを感じてしまう人も。長く社会に根付いた視線や偏見は、知らず知らずのうちに内面化され、自分の選択に不安を抱かせてしまうこともあるよう。

出産年齢が上がっているにもかかわらず、高齢で子どもを持つことに対する偏見はいまだに残っており、高齢出産にまつわるネガティブな見方は社会全体に存在している。『Baby Chick』によれば、“高齢出産という言葉”に違和感を覚える人もいるという。

Natalia Lebedinskaia / Getty Images

また、30代後半以降で出産する女性は、否定的な言葉や視線にさらされることも多く、社会全体としても「35歳以上での出産は望ましくない」という意識が、いまだ無意識のうちに残っているよう。

『HELLO!』の取材に応じた不妊治療の専門家であり、「Fertility Mapper」アプリの創設者であるケイリー・ハーティガン氏は、「出産が遅くなることは医療の現場だけでなく、社会全体でもスティグマの対象となっている」と指摘。

「女性の妊娠可能な期間は男性よりも短い一方で、男女ともに年齢を重ねて子どもを持つ場合には妊娠合併症のリスクが高まります。それにもかかわらず、男性が“geriatric father(高齢の父親)”と呼ばれることはないのです」

さらに、40歳のクロエ・ホーキンスさんにとって、「geriatric mother(高齢母体)」という言葉は、妊娠の過程で違和感を覚える表現のひとつだったという。彼女は「医療用語や制度はあまりにも時代遅れだと感じます。分類のために名称が必要なのは理解できますが、なぜ“geriatric(高齢の)”という言葉で表す必要があるのかは分かりません」と語っている。

実際に、「Healthcare Stereotype Threat(HCST)」という用語も生まれており、これは高齢の妊婦が医療機関でケアやサポートを受ける際に直面する、ステレオタイプや偏見の影響を指すものであるとのこと。こうしたスティグマが、妊婦の受ける医療の質にまで影響を及ぼす可能性もあるという。

『Baby Chick』は、35歳以上の出産に対するスティグマに向き合ううえで、最も有効なのは“事実”に基づいた理解であるとしており、科学的根拠に基づく正しい情報を知っておくことは、不安を和らげたり、周囲から否定的な意見が向けられたときにも大きな力になると主張している。

skynesher / Getty Images

もちろん、自然妊娠が可能な人もいる一方で、近年では不妊治療や卵子凍結といった選択肢も広がっており、セレブたちの妊娠・出産によって見方が変わりつつあるが、年齢による偏見や無意識のプレッシャーが完全になくなったわけではない。年齢を重ねた上での妊娠・出産のリスクを正しく理解したうえで、個々の選択や価値観が尊重される社会になっていけば、こうした偏見や無意識のプレッシャーも、次第に薄れていくのかもしれない。

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