1. トップ
  2. エピソード
  3. 「そんなの千円で買い直せるだろ」妻が生地から手作りしたバッグを酔って失くした夫。だが、値段を見て青ざめた

「そんなの千円で買い直せるだろ」妻が生地から手作りしたバッグを酔って失くした夫。だが、値段を見て青ざめた

  • 2026.7.14

完売した生地で作った、世界に一つのバッグ

夫婦で地元の球団を応援するのが、我が家の一番の楽しみでした。

試合の日は、いつも夫が荷物持ち役です。

ファンクラブでもらったカバンは口が浅くて使いにくく、夫はいつも不便そうにしていました。

そこで私は、とっくに完売していた公式の生地を、あちこち探してやっと高値で仕入れたのです。

型紙から起こし、飲み物やタオルを分けて入れられるよう工夫を重ねました。お金も時間もかけた、世界に一つだけの観戦バッグでした。

持ち手には肩が痛くならないよう芯を入れ、内側には飲み物用の保冷ポケットまで縫い付けました。何日も夜なべして、やっと仕上げた自信作です。

「これ、売り物みたいだな。使いやすいよ」

受け取った夫も、はじめはそう言って喜んでいました。ところが数回使っただけで、事件は起きたのです。

試合の帰り、すっかり酔った夫が、どこかにバッグを置き忘れてきました。

「バッグは?あんなに気に入ってたのに」

「知らないよ。酔ってたし、そこらに置いてきたんだろ」

「一緒に駅まで戻って探そう。まだ届いているかもしれない」

「もう遅いって。どこで飲んだかも覚えてないんだから」

ろくに探しにも行かず、逆に不機嫌になる始末。しまいには、面倒くさそうにこう言い放ったのです。

「そんなの千円で買い直せるだろ」

買い直そうとした夫が固まった瞬間

私は涙をこらえ、手芸用品店の場所をメモに書いて夫に手渡しました。

「じゃあ、同じ物を買い直してきて。生地からね」

その週末、夫は面倒そうに店へ出かけていきました。ところが夕方、帰ってきた夫の顔は真っ青だったのです。

「あの生地、もうどこにも売ってないって言われた」

店員さんいわく、あの公式生地はとうに完売で、今では手に入らないとのこと。運よく在庫を残す店でも、値段は千円どころの話ではなかったそうです。

「じゃあ、ネットで探せば……」

「無理よ。あれ、当時でもやっと見つけた品なの」

「同じ柄の生地じゃなきゃ、代わりにならないの」

夫は言葉に詰まり、それきりうつむいて黙り込んでしまいました。

その姿を見て、私はもう一度だけ、静かに口を開きました。あれを仕上げるまでの日々が、頭をよぎっていました。

「一針ずつ縫った時間は、千円じゃ買い直せないの」

私が静かにそう告げると、夫はもう何ひとつ言い返せませんでした。

あの日から夫は、私の持ち物を雑に扱わなくなりました。新しいバッグを縫う私の隣で、今は黙って糸くずを拾ってくれています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ