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「私だけあんこ餅ゼロ?」親戚一同の餅つきで露骨なひいきをする大伯母。だが、私が明るい声で嫌味を言った結果

  • 2026.7.11

下っ端に回る崩れ餅

年末に親戚一同で餅をつくのが、この家の恒例行事だった。

庭先に据えた臼から白い湯気が立ちのぼり、杵の音が景気よく響く。

つきたてを手分けして丸め、白餅とあんこ餅をこしらえていく。台所ではおにぎりを握り、漬物をつまみ、熱いお茶をすすりながらのおしゃべりに花が咲く。子どもたちは丸めたばかりの餅を追いかけて走り回り、大人はその様子を笑って眺める。にぎやかで、私はこの集まりが、決して嫌いではなかった。

問題は、いつも最後に起きる。

つき終えた餅を袋に分けて「お疲れさま」と解散するのだが、その配り方がひどいのだ。

取り仕切るのは、一族で一番の年長者である大伯母。

長老格の家の袋にはあんこ餅がずしりと山盛り、いっぽう私のような下っ端の袋には、形の崩れた白餅が三個だけ。

あんこ餅にいたっては、毎年きれいにゼロだった。

「今年もこんなものでいいわよね」

大伯母はさも当然という顔で、私の袋をぽんと押しつけてくる。

手のひらに乗せると、袋はあきれるほど軽い。同じだけ手伝って、同じだけ丸めたはずなのに。露骨な贔屓に、去年までの私は、ただ黙ってのみ込むだけだった。角を立てたくない、その一心で。

明るいひと言で一変

けれど今年こそは、と決めていた。みんなが見ている前で袋の中身をのぞき込み、私はわざと明るい声を出した。

「私だけあんこ餅ゼロ?」

にぎやかだった台所の空気が、すっと止まる。大伯母の表情が、目に見えてこわばった。

「……あなたのは、その、崩れた分でいいかと」

言いわけにもなっていない言葉が、尻すぼみに消えていく。すると、それを見ていた別の伯母が、あっけらかんと口を開いた。

「そうよ、おかしいわよ」

「みんなで分けよ」

伯母はそう言うなり、山盛りのあんこ餅を手ずから配り直しはじめた。まわりの親戚たちも顔を見合わせ、口々にうなずき合う。

「たしかに、毎年ずいぶん偏ってたわよね」

「言われるまで、気づかなかったわ」

大伯母はもう何も言い返せず、赤い顔でうつむくばかり。私の袋にも、つやつやのあんこ餅が五個、ちゃんと収まった。ずしりとした重みが、なんだか誇らしい。

「来年からは、最初から人数で分けましょ」

伯母のひと言に、その場がやわらかな笑いに包まれる。長年のもやもやが、たった一度の明るい問いかけで、あっけないほどすんなり晴れていった。うつむいたままの大伯母を横目に、私はほくほくのあんこ餅を一つ、その場でほおばる。あんこの甘さが、いつもの年よりずっと沁みた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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