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彼女のものだけ袋にまとめた僕が、本当は伝えられずにいた理由

  • 2026.7.9
ハウコレ

彼女の歯ブラシを袋に入れたとき、僕は親切のつもりでした。けれど玄関で聞かれてから、自分が彼女の居場所まで片付けようとしていたのだと気づきました。

部屋に物が増えるのが、苦手な僕

彼女が初めて部屋に泊まりに来ることになり、僕はいつもより念入りに部屋を整えました。棚の上に出しっぱなしだった書類をしまい、洗面台の周りも片付けました。気まずいところを見せたくないという、見栄もあったと思います。

彼女は歯ブラシを洗面台の端に置きました。それを見たとき、嫌だとは思いませんでした。むしろ、そこに彼女のものがあるのが少し新鮮でした。

それなのに帰る前、僕はその歯ブラシを袋に入れ、彼女のバッグの上に置きました。「忘れないで持ち帰ってね」と言えば、気遣いに聞こえると思っていました。自分でも、その言葉の奥にある気持ちを見ないようにしていたのです。

残るものが増えるのを怖がっていた

僕は、付き合っていることを家族にも友人にも話していませんでした。彼女のことが嫌だったわけではなく、むしろ大切に思っていました。ただ、いざ周りに聞かれたときに、どんなふうに説明すればいいのか、自分の中でまだ整理がついていなかったのです。関係にきちんと名前をつけることや、それを他人に伝えることに対して、どこかで責任の重さを感じていて、その覚悟が持てないまま、考えること自体を避けていました。

部屋に誰かのものが残ると、その人が生活に入ってきた証拠になる気がしました。歯ブラシ1本で大げさだと思う人もいるかもしれません。でも僕にとっては、彼女との関係に名前をつけることと同じくらい、はっきりした変化でした。

彼女に聞かれて逃げていたこと

玄関で彼女に「私以外も来るの?」と聞かれたとき、最初は「そういうことじゃない」と返そうとしました。でも、その言葉だけでは彼女の不安をさらに置き去りにすると分かりました。

「まだ誰にも付き合ってるって言えてなくて」と言うと、彼女は「私は知られたら困る人なの?」と聞きました。その問いに、僕はすぐ答えられませんでした。困るのは彼女の存在ではなく、説明しなければならない自分のほうでした。

「自分を守ってただけだと思う」と口にした瞬間、自分でもはっとしました。ああ、そうか、とすぐに分かりました。忘れ物を防ぐためなんかじゃない。彼女が僕の生活に残ることを、僕自身がまだ受け止めきれていなかっただけでした。

そして...

彼女はその日、歯ブラシを持ち帰りました。帰り際に「次に来たときは、置くかどうか2人で決めたい」と言われました。その一言で、僕が勝手に決めていたことの多さに気づきました。

次に彼女が来たとき、僕は新しい歯ブラシを洗面台の端に置きました。それだけで不安が消えるわけではありません。彼女を安心させるには、部屋に物を置くことより、僕自身が関係から逃げないことのほうが大事なのだと思います。

歯ブラシ1本を、もう袋にしまわない。小さなことですが、僕にとっては彼女を生活の外に出さないための最初の約束でした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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