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「熱でも飯は作れるだろ!」と優しくない夫。だが、妻の毒舌で態度が一変

  • 2026.7.5

熱で寝込む私への第一声

結婚して十数年、夫はずっと「家事は妻の役割」だと言い張ってきた。

その日は朝から熱が三十八度を超え、私はベッドで横になるのがやっとだった。

ふすま越しに足音が近づいて、夫が顔だけのぞかせる。

「お腹空いた、飯は?」

心配の言葉が先にあると思っていた私は、力の入らない体で天井を見上げた。

「ごめん、今日は動けなくて」

そう返すと、夫はあからさまに眉をひそめた。

「熱でも飯は作れるだろ!」

その一言で、私の中の何かがすっと冷めていくのがわかった。

これまでは、熱があっても這うようにキッチンに立ち、湯気の向こうで涙をこらえてきた。

けれど今日ばかりは、もう体が言うことをきかなかった。

夫のこだわりを逆手に取る

思い返せば、夫には奇妙なこだわりがあった。私が少しでも咳をすると、決まってこう言うのだ。

「咳するな、俺にうつすなよ」

そして咳が出ている日は「感染力がある」と勝手に判断して、私を寝室に隔離してくる。皮肉なことに、その間だけは家事を一切求めてこない。

つまり夫にとって、熱だけの私は都合よく働ける妻で、咳の出る私は近寄らせたくない病人なのだ。

ならば、と私は決めた。

次にキッチンへ引きずり出されそうになった瞬間、わざとらしく喉に手を当てる。

「ゴホッ、うつすよ?」

咳ひとつで形勢逆転

夫の動きがぴたりと止まった。

「……お前、咳出てるのか」

顔がわずかに引きつり、一歩あとずさる。私は喉を押さえたまま、弱々しく続けた。

「さっきから喉がイガイガして。うつしたら悪いから、私は寝てるね」

夫は口を開きかけて、言葉を飲み込んだ。うつすなと命じてきたのは、ほかでもない夫自身だ。撤回できるはずもない。

「わ、わかった。今日はゆっくり休め」

目を泳がせながら、夫はそそくさと寝室のドアを閉めた。ここまであっさり引き下がるのかと、私は布団の中で思わずにやりとした。

それから数日、私は咳の芝居を続けて家事を堂々とボイコットした。夫は慣れない手つきで弁当を並べ、洗濯機の前で説明書とにらめっこしている。

「なあ、これどうやるんだ」と小声で聞いてくる夫に、私は布団の中から短く答えるだけ。

熱が下がるころ、夫はもう「飯は?」とは言わなくなっていた。かわりに「体、大丈夫か」と。私なりの、ささやかで確かな抵抗だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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