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”砂漠の天使”スナネコがリビアで初発見、きっかけはYouTube動画だった

  • 2026.7.1
スナネコがリビアで初めて発見される / Credit:ErRu,Wikipedia Commons, CC BY-SA 3.0

砂漠に溶け込むような体色と小さな体で、「砂漠の天使」とも呼ばれるスナネコ

その存在が、これまで確実には確認されていなかったリビアで、写真や動画を含む複数の記録によって裏づけられました。

報道によると、きっかけとなったのは、2017年にYouTubeへ投稿された1本の動画です。

南アフリカ・ソル・プラーチェ大学(Sol Plaatje University)の研究チームは、リビア南西部でスナネコの初確認記録を報告しました。

その成果は2025年9月25日付で『Journal of Arid Environments』に掲載されました。

目次

  • 「いるのか、いないのか」が不明だったスナネコを探す
  • 南西部はスナネコの重要な生息拠点かもしれない

「いるのか、いないのか」が不明だったスナネコを探す

スナネコ(Felis margaritaは、食肉目ネコ科ネコ属に分類される小型の野生ネコです。

砂漠地帯にすむネコ科動物として知られ、明るい砂色の毛、大きな耳、そして毛に覆われた足裏など、過酷な砂漠で生きるための特徴を備えています。

足裏の毛は、熱い砂の上を歩くときの断熱や滑り止めに役立つと考えられ、耳の内側の毛は砂の侵入を防ぐとされています。

一方で、その「砂漠仕様」の体は、人間の目から隠れるためにも非常に都合がよいものでした。

スナネコは砂地に溶け込みやすく、主に単独で夜に活動するため、広大な砂漠で見つけるのは簡単ではありません。

実際、リビアにおけるスナネコの存在は長い間あいまいでした。

過去には「リビアにもいる可能性がある」とする記述があったものの、具体的な場所や物的証拠を伴う記録は乏しく、研究者の間でもリビアを分布域に含めるかどうかで判断が分かれていました。

そんな状況を動かしたきっかけとして報じられているのが、2017年にYouTubeへ投稿された1本の動画でした。

野生動物写真家Mohammed Saed Husayn Almuntasir氏が撮影したその映像には、日陰の植物の下で休むスナネコの姿が映っていました。

しかし撮影地は、スナネコの確実な生息地とはされていなかったリビアです。

当初、この動画が本当にリビアで撮影されたものだとは、なかなか信じてもらえなかったといいます。

それでもAlmuntasir氏は、リビアには複数の場所にスナネコがいると主張し続けました。

この情報に注目した研究者たちは、現地での記録を科学的に確かめるため、調査を進めることにしました。

研究チームは、リビア南西部を中心に、直接観察、写真や動画、現地の人々への聞き取り、博物館標本や生物多様性データベースの確認を組み合わせました。

リビア南部は、政情不安、遠隔地であること、厳しい砂漠環境のため、これまで十分な野外調査が難しい地域でした。

そのため今回は、現地をよく知る住民や協力者の観察経験も重要な手がかりになりました。

その結果、研究チームは写真・動画を伴う記録を含め、リビア南西部の13地点でスナネコの存在を報告しました。

では、その記録は何を意味していたのでしょうか。

より詳細な結果は次項で見ていきます。

南西部はスナネコの重要な生息拠点かもしれない

今回の研究で最も重要なのは、これまで曖昧だったリビアのスナネコの存在が、写真や動画を含む記録によって初めて裏づけられたことです。

つまりこれは、新種の発見ではありません。

これまで証拠が不足していた国で、生息が確認されたという成果です。

論文によると、スナネコの確認記録は13地点に及び、すべてリビア南西部のサハラ砂漠地域に集中していました。

なかでも、野生動物写真家Mohammed Saed Husayn Almuntasir氏は、スナネコを24回直接観察しており、2017年のオスと2024年のメスについては高解像度写真も残されています。

また、別の著者も2022年に写真と動画を撮影しており、単発の目撃ではなく、複数の場所と時期にまたがる記録が積み上げられました。

研究チームは、これらの分布データをもとに、リビア南西部が同国におけるスナネコの中核的な生息地、あるいは重要な拠点である可能性を示しています。

スナネコが利用していた環境は、砂砂漠、砂と石が混じる砂漠、乾いた川床でした。

これは、スナネコが単なる「何もない砂丘」だけでなく、乾燥地に適応した植物や、地形の変化がある場所も利用していることを示しています。

さらに今回の調査では、Saharan striped polecatPoecilictis libyca、サハラにすむイタチ科の小型食肉類)についても、8地点で新記録が得られました。

そのうち7地点は、IUCNが示していた既知の分布域の外でした。

つまり、リビア南西部では、スナネコだけでなく、砂漠にすむ小型食肉類の分布そのものが大きく見落とされていた可能性があります。

ただし、明るい話だけではありません。

研究では、スナネコがペットとして、Saharan striped polecatが伝統医療目的で市場に出回っているとの報告も示されました。

これは、違法取引や不適切な利用につながるおそれがあります。

だからこそ研究チームは、今後も野外調査を続けること、地域住民への啓発や保護策を進めることが必要だと訴えています。

1本のYouTube動画から始まった発見は、リビアの砂漠にまだ知られていない命の地図が眠っていることを教えてくれます。

参考文献

Youtube Video Leads To Discovery Of Adorable Sand Cats In Libya, Where They Had Not Been Known To Live Before
https://www.iflscience.com/youtube-video-leads-to-discovery-of-adorable-sand-cats-in-libya-where-they-had-not-been-known-to-live-before-83921

元論文

Rediscovering desert ghosts: new records and range extensions of the sand cat and Saharan striped polecat in Libya
https://doi.org/10.1016/j.jaridenv.2025.105485

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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