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「今日は仕事で会えない」と嘘をついた俺が→花屋で花束を選んでいた、その理由

  • 2026.6.29
ハウコレ

待っていたのは、よそよそしい一通の返信でした。喜ばせるつもりが、彼女を追い詰めていたのかもしれない。玄関の前で一度だけ息をついて、俺はチャイムを押しました。

改札を抜けて、彼女の家までの道をいつもより急ぎました。気分が浮き立って、自然と足取りが軽くなっています。サプライズなんて柄じゃないのに、その日の俺はやけに張り切っていたのです。

本当の計画を隠して、会えないと伝えた事情

最近の彼女は、仕事に追われてメッセージの文面にも疲れがにじんでいました。前に彼女が、花びらが幾重にも重なっていく姿が、少しずつ前へ進む自分みたいで好きなのだ、とラナンキュラスについて話していたのを覚えています。今の彼女にこそ、その花を渡したいと思ったのです。

その日は、久しぶりに会う約束をしていた日でした。約束どおりに会えば、驚きは半分になってしまう。だから俺は、「今日は仕事で会えない」とメッセージを送りました。早めに切り上げて後から訪ねる、それがその日の計画でした。

閉店間際の花屋で、迷いながら選んだ一束

駅前の花屋に着いたのは、店じまいの少し前でした。お目当てのラナンキュラスは残りが少なく、店員に相談しながら一本ずつ選びました。彼女がどんな顔をするだろう。そればかり考えていたので、店の外のことは何も目に入っていませんでした。会計を済ませ、崩れないように花束を抱えて店を出ました。

届いた返信に感じた、いつもと違う温度

店を出て歩き出したころ、ポケットの中でスマホの画面が光りました。彼女からの返信です。

「わかった。お仕事頑張ってね」

いつもなら絵文字のひとつも付くのに、その日はそっけなく感じました。仕事だと嘘をついたことが、どこかで伝わってしまったのだろうか。彼女を笑顔にしたい一心の段取りが、急に独りよがりに思えてきました。

そして...

彼女の家のドアの前で、俺は花束を持ち直しました。チャイムを鳴らすと、少し目を見開いた彼女が出てきます。

「これ、前に好きって言ってたよね」

そう言って差し出すと、彼女は両手で受け取ったまま、何も言いませんでした。喜ばせたかっただけなのに、嘘をついていた間、余計な不安を抱かせていたのだと気づきます。驚かせるより先に、ちゃんと伝えればよかった。そう思いながら、俺は彼女の隣に腰を下ろしました。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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