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「ただの目印だよ」とはぐらかした俺→その数字は二人で過ごした日の、消せない名残だった

  • 2026.6.28
ハウコレ

「ただの目印だよ」そうごまかした番号には、本当は二人だけにわかる意味があったのです。それを口にできないまま、俺は彼女の不安に気づけずにいました。

手のひらに、同じ形の鍵が二本。並べ替えてみても、どちらが俺の分か見分けがつきません。同じ鍵が二本あると、つい取り違えそうになります。せめて片方に印があれば。そんな小さな思いつきが、はじまりでした。

同じ鍵が二本、見分けがつかなかった

彼女のために、合鍵をつくりました。受け取りに来た彼女に「これ、合鍵」と渡したのが、その鍵です。俺がいつも使っている鍵とまったく同じ形なので、二本並べると自分でもどちらがどちらか怪しくなります。だから、片方に印をつけることにしました。

彼女に手渡すときには「同じ鍵だと、どっちがどっちかわからなくなるから」と説明したつもりです。実際、それは嘘ではありませんでした。

札の番号に、ひとつだけ意味を込めた

つける番号は、適当な数字にはしたくありませんでした。選んだのは、初めて二人で出かけた日に荷物を預けたロッカーの番号です。7番。彼女は覚えていないかもしれませんが、俺にとっては忘れられない数字でした。

彼女が鍵を手に取るたび、いつかこの番号に気づいてくれたら。そんな期待を、口には出せませんでした。

「ただの目印だよ」と、はぐらかした

数日後、彼女に「私の鍵にだけ、どうして番号がついてるの」と聞かれました。本当の意味を打ち明けるなら、このときでした。けれど、口から出たのは「ただの目印だよ」というひとことです。

照れくさくて、それ以上が続きませんでした。彼女が少し寂しそうな顔をしたのは、わかっていました。説明すればいいだけなのに、俺はその一歩を踏み出せなかったのです。

そして...

次に彼女が来たら、番号の話をしようと決めています。あの数字は管理のためではなく、二人で過ごした日の名残なのだと。印のない俺の鍵を、彼女のものと取り替えてもいい。大事にしたかったのは、いつだって彼女のほうの鍵でした。今度こそ、そのことを言葉にするつもりです。

(20代男性・システムエンジニア)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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