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「押す」よりも「止める」感覚? 元MotoGPライダーが語るプッシングステアとブレーキングの関係|プッシングステアで鋭く曲がる Vol02

  • 2026.6.26

プッシングステアは、ハンドルに入力してバイクのバランスを崩し、リーンするきっかけを作るためのテクニックだ。しかし、その感覚は単純に“押す”というより、セルフステアで切れ込もうとするステアリングを“止める”ことに近い。中野真矢が、ブレーキングからターンインへつなげるプッシングステアの使い方を解説する。

PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA

取材協力/本田技研工業 0120-086-819

https://www.honda.co.jp/motor/

ブレーキングではハンドルに荷重して曲がる準備をする

今回のテーマであるプッシングステアは、ハンドルに入力することでバイクのバランスを崩し、リーンする力につなげることが目的です。つまり最大の効果を発揮するのは、ストレートエンドのヘアピンカーブのような単一の低速コーナーであれば、手前で減速のためのブレーキングを終えたあと、フロントブレーキを引きずりながらバイクをインに寄せていくあたりになります。

その操作を表現するなら、イン側のハンドルグリップを押す、まさに「プッシングステア」なのですが、ライダーの感覚としては“押す”というよりも、セルフステアの効果でイン側に切れ込もうとするステアリングを“止める”というほうが近いかもしれません。いずれにせよ、力を入れて“切る”わけではないことを頭に入れておきましょう。

そして、このプッシングステアを有効に使って鋭いターンインを実現するためには、これまで連載で取り上げてきた正しいライディングフォームでのブレーキングも重要です。減速からプッシングステアを使ったリーンへスムーズに移行できなければ、鋭く曲がるための車体姿勢をキープしづらくなり、結果としてシャープなコーナリングにはつながりません。

逆に、減速から旋回まで正しいフォームを維持できていれば、その流れの中にプッシングステアをごく自然に取り入れられると思います。

腕をつっかえ棒にして減速Gで前輪を潰すイメージ

ハードブレーキングの段階でも、ライダーはハンドルへ入力していますが、これは今回解説しているプッシングステアとは別のものです。目的は、減速Gによって前方へ投げ出されそうになる上半身を支えることにあります。

その際は、肘が軽く曲がる程度に腕を伸ばし、肘の関節をロックするようなイメージで支えるのがポイントです。腕で突っ張るというよりも、上半身の荷重をフロントタイヤへ適切に伝えながら、安定したブレーキング姿勢を作ることを意識したいところです。

ガチガチに固まってグリップを強く握るのはNG

「腕の力は絶対に抜く」という言葉の大きな誤解は、「腕や肩のムダな力を抜く」という指摘との混同で広まったと推測できる。他の運動と同じくスポーツライディングでも、身体がガチガチに固まった状態はダメ。しなやかでメリハリある動きを意識して操縦すべし。

ロックしないと前輪荷重が抜けて制動できない

プッシングステアどころかブレーキングの段階でも、腕の力を絶対に抜かなければいけない……と勘違いしているライダーは意外と多い。しかしこれでは、減速時に上半身を支えられず、前輪を潰すこともできないため強いグリップを引き出すことも不可能だ。

腕立て伏せの要領でしっかり上体を起こす

減速時には、上半身を起こすのが基本。これは、コーナーに対して広い視野を確保することや、重心を移動することで減速による車体姿勢変化とのバランスを取るなどの目的がある。腕立て伏せを思い浮かべると、姿勢づくりがしやすいかも。

「押す」よりも「止める」感覚? 元MotoGPライダーが語るプッシングステアとブレーキングの関係|プッシングステアで鋭く曲がる Vol02
直線では頭を下げて伏せる

小さな入力でも車体が傾くのは低速走行でも体感できる

高速と比べて低速走行時のほうが、前輪に発生するジャイロモーメントは小さいため、微少なプッシングステアの入力でも直進安定性が崩れやすい。安全な場所での低速走行中にイン側ハンドルグリップをチョンと押してみると、プッシングステアの片鱗を体感できる。

手のひらの外側を使ってグリップに体重を乗せる

ハンドル入力は、グリップをベタッと握ってステアリングを切るのではなく、手のひらの外側でグリップエンドを押すのがセオリー。ただし、意識的に強く押すというわけではなく、減速では上半身の体重を支え、プッシングステアでは動きを止めるような感覚に近い。

ブレーキング→リーンでは段階的に入力を弱める

減速から旋回にかけてハンドルに入力していない瞬間はまずないが、どこでプッシングステアを発揮させたり緩めたりするかは、コーナーのレイアウトなどにより変化する。

傾き始めのプッシングステアを「10」とするなら、狙ったバンク角に近づいたときは「3」以下に緩めるのが基本。でも、意識的な調整は難しい。

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車体が直立に近い時はしっかりグリップに体重を乗せていく
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