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【中央区】何色だったんだ、元の壁。「キッチンバロン」で燻される、不滅のオムライス

  • 2026.6.25

平成すっ飛ばして昭和

お洒落なカフェで食べる「ふわとろオムライス」も悪くはない。

しかし、我々が本当に渇望しているのは、スプーン一本で昭和にタイムスリップできるような、脳に直接響く「あの味」ではないだろうか。

今回は札幌のディープスポット、もはや空気ごと美味い「キッチン バロン」へお邪魔した。

出典:リビング札幌Web

壁の色は「お楽しみ」。暖簾の先に広がる怒涛の天然燻製空間

中央区南11条西9丁目、味のあるオレンジ色の看板が目印の「キッチン バロン」。

一歩足を踏み入れた瞬間、時空の歪みに目眩を覚える。

まず驚くのが、天井と壁の圧倒的な仕上がりっぷりだ。

長年培われたタバコの煙、炒め物の油、そして汁物の湯気が一体となり、見事な琥珀色(というか完璧な燻製色)に染まりきっている。

「元々は何色だったのか」などと考えるのは野暮だ。

令和の技術では再現不可能なこの天然のデコレーションは、もはやお見事の一言。

テレビの音をBGMにモクモクと紫煙がくすぶるこの空間は、非喫煙者ですら「これぞ昭和の正解」と平伏したくなる凄みがある。

出典:リビング札幌Web
出典:リビング札幌Web
出典:リビング札幌Web

出前バイクの哀愁と、生姜焼きをほおばる常連たちの熱気

店前に堂々と鎮座する白いスクーターは、単なるオブジェではない。

現役バリバリの出前特攻機である。

黄色いメニューの隅に書かれた「出前は1個からいたします(プラス200円)」の文字に、この店の深い愛を感じずにはいられない。

厨房から響く心地よい調理音に耳を傾けていると、隣のテーブルでは常連客が、これまた凶暴に美味そうな「生姜焼き定食」をガッツリと突っついている。

タバコを美味そうにくゆらせ、定食を頬張る男たちの姿。

ここは単なる飲食店ではなく、近隣住民の胃袋を支える「インフラ兼オアシス」なのだと確信させられる。

出典:リビング札幌Web

卵のドレスを纏った、美しすぎる「ザ・王道」の襲来

今回のお目当ては、不動の人気を誇る「オムライス(1,000円)」だ。

運ばれてきた瞬間、思わず背筋が伸びた。そこにいたのは、理想を絵に描いたような完全無欠のオムライスだったからである。

フライパンの職人技できれいに巻かれた、隙のない薄焼き卵の黄色。

その頂点にぽてっと鎮座する、鮮烈なケチャップの赤。

このコントラストは、もはや美術品の域である。

紙ナプキンに包まれることもなく、無造作にお盆に直置きされたスプーンが、逆にこの店の男気溢れるアットホームさを際立たせている。

出典:リビング札幌Web

脳に響く「甘め濃いめ」と、不意打ちの隠れトロリ卵

スプーンを入れ、断面を割った瞬間、さらなる衝撃が走る。外見はしっかり固茹でに見えた卵の内側が、絶妙にトロリと半熟感を残しているのだ。

このフライパン捌き、ただ者ではない。

そして中のチキンライスには、驚くほど大ぶりな玉ねぎがゴロゴロと贅沢に発掘される。

一口食べれば、ケチャップの酸味が完璧に飛び、旨味と甘みが大爆発した「甘めで濃いめ」の最強テイスト。

玉ねぎのシャキッとした食感が、昔お母さんが作ってくれたあの懐かしい味を想起させ、ノスタルジーが最高潮に達する。

食べ進めるうちに皿のフチからチラリと覗く、茶色い「バロン」の店名ロゴが、またファン心をくすぐってたまらない。

出典:リビング札幌Web
出典:リビング札幌Web

優しい薄味の味噌汁が、無限ループのストッパーとなる

このガツンと濃いオムライスを迎え撃つのが、大根と豆腐という王道の味噌汁だ。オムライスに味噌汁が付いてくる時点で定食屋として100点満点なのだが、その味わいがまた心憎い。

これが実に見事な「優しい薄味」なのである。

甘めで濃いオムライスを口いっぱいに頬張り、すかさずこの味噌汁をズズッとすする。すると、濃くなった口内が出汁の優しさで完璧にリセットされるのだ。

「濃い・美味い・優しい・落ち着く」の無限ループ。

時折、真っ赤な福神漬けでアクセントをつけながら、最後の一粒までスプーンが止まることはなかった。

お腹も心も、そして服の匂いまで(?)昭和に染まる、至福の一皿であった。

出典:リビング札幌Web
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