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最悪の失恋から裏アカに溺れ暴走していく…承認欲求の権化となった女性を通してSNS時代の闇を映し出すセミフィクション【書評】

  • 2026.6.24

【漫画】本編を読む

「誰かに認められたい」という気持ちは誰もが持っているものだ。しかしその感情が抑えきれなくなってしまったら……。『このハナシ、つづきは墓場で。』(ぼめそ/KADOKAWA)は、「裏アカ」にのめり込み、承認欲求を満たすためだけに暴走していく女性を生々しく描いたセミフィクションだ。

主人公・ナナコは、結婚を考えていた恋人から「体以外は取り柄がない」と残酷な言葉を浴びせられ深く傷つけられる。そんな彼女を救ったのが、裏アカだった。フラれた勢いで投稿したネタがバズり、さらに酒に酔った勢いで上げた写真に「かわいい」「更新が楽しみ」といった大量の反応が集まったことで承認欲求を満たしていく。だが、もっと褒められたい、もっと認められたいという気持ちが大きくなっていき、少しずつ彼女を深みへ引きずり込んでいく。

本作の怖さは、ナナコの行動が決して特別な人間のものではないところにある。SNSに写真を上げたら反応が気になり、肯定されると安心する。加えて本名も顔も知らない相手だから本音をさらけ出せるし、実際に会って言えないことでも吐き出せる。この感覚は多くの人に覚えがあるはずだ。ナナコはさらなる承認を求めて過激な投稿や行動へ踏み込んでいくのだが、その姿が快感と破滅が紙一重であることの事実をまざまざと見せつけてくるのだ。

そしてタイトル通りこの物語には「墓場まで持っていくしかない秘密」が存在する。ラストで明かされる真実によってそれまでの印象が大きく変わり、もう一度最初から読み返したくなる構成となっているのも見どころだ。

承認欲求は決して醜いものではない。誰だって自分を認めてほしいし、愛されたいし、必要とされたい。しかしその気持ちが行き過ぎてしまったら……。現代を生きる私たちの誰もが持ちうる危うさを映し出した鏡のような作品である。

文=馬風亭ゑりん

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