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父の日の贈り物に「こんなのに金を使わなくていい」→ 死後、クローゼットを開け『母と号泣したワケ』

  • 2026.6.20

知人の葵さん(仮名)は、毎年父の日にプレゼントを贈っていました。しかし、もらっても表情を変えない父。本当に喜んでいるのか分からないまま贈り続けていたある年、父が突然この世を去ってしまいます。

父の日の贈り物

父の日になると、私は毎年何かしらのプレゼントを選び、父へ渡していました。財布や湯のみ、小物など高価な物ではありませんが、その年ごとに父の顔を思い浮かべながら選ぶのがちょっとした楽しみだったのです。

ところが父は、受け取るたびに「こんなのに金を使わなくていい」「もったいない」と言うばかり。普段から口数の少ない父ではありますが、プレゼントをもらっても表情をほとんど変えません。「せっかく選んだのに……」と、少し寂しくなることもありました。

母だけが知る父の本心

結婚して実家を離れてからは、直接渡す機会が減ったものの、父の日が近づくたびにプレゼントだけは欠かさず送っていました。ところが父から連絡が来ることはほとんどなく、届いたかどうかも母づてに聞くことが多かったのです。

電話口の母は「ああ見えて喜んでるのよ」といつも笑っていました。本当にうれしいのなら、父から一言くらい連絡があってもいいのに……そう思いながらも、父の日になると自然と贈り物を探している自分がいました。

突然訪れた父との別れ

昨年のことです。父が病気で倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。あまりにも突然の出来事で、私は現実を受け止めきれませんでした。もっと話しておけばよかった、もっと顔を見せに行けばよかった。そんな思いばかりが頭をめぐります。

葬儀を終えた後もしばらくは慌ただしい日々が続き、気持ちを整理する余裕もありませんでした。そして数か月後、家族で実家の片付けを進めることになったのです。その時はまだ、この後知ることになる父の思いなど、想像もしていませんでした。

箱の中に残された愛情

片付けの際、父の部屋のクローゼットから大きな箱が見つかりました。何が入っているのだろうと思いながら開けてみると、中には私がこれまで父の日に贈ったプレゼントが一つひとつ丁寧に保管されていたのです。使い古された物ではなく、大切にしまわれていたことが一目で分かりました。

さらに「葵からもらった財布」「葵からもらった湯のみ」など、父の字で書かれたメモも入っていたのです。その文字を見た瞬間、私は箱を抱えたまま動けなくなりました。

「お父さん、全部取ってあったんだね」とつぶやくと、隣にいた母が涙をぬぐいながら「だから言ったでしょ。お父さん、本当はすごくうれしかったのよ」と静かに言いました。

父と直接会話することはもうできません。しかし今では、あの不器用な言葉の奥にあった父の気持ちを、少しだけ理解できたような気がしています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

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