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【コラム】Jリーグ、「カップ戦優勝」でユニフォームに星をつけていいのか問題

  • 2026.6.18

Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。

「カップ戦優勝でユニフォームに星をつけていいのか」→「いいでしょ」

小タイトルで既に自分の考えと結論を書いてしまっているのだが、Jリーグ各クラブの新ユニフォームが発表される度に、この論争が巻き起こる。

つまり、

「ユニフォームにつけるタイトル数を表す星は、リーグ優勝に限るべきだ」
「いや、リーグタイトルに限定せず、全てのタイトルは等しく付けるべきだ」
「この制度については各クラブがバラバラの運用をするのではなく、Jリーグ側が統一すべきだ」

という各クラブサポーター達の議論だ。

個人的な考えとしては、「誰に迷惑かけているわけでもないし、各クラブで好きにせぇ」である。

でも一方で、議論をする人達の気持ちもよくわかるので、どういった問題点があるのか、どの点で整合性がとれていないのか、というポイントを整理しつつ解説していきたい。

各タイトルに分けて解説していく。

絶対に荒れる議論ではあるし、正解もない。そもそも自分はどちらでもええやろ派ではあるが、かなり長くなる議論なのであえて整理のため記載してみたい。

「サッカーファンはユニフォームに付ける星一つでここまで真剣に、目を血走らせて議論をするのか~~~」と、あまり深くハマっていないファンの方々はこれを読んでまた一歩ドン引きしてくれれば幸いである。

1.リーグ

まず、J1リーグ優勝で星を付けることは皆、全く異論がないと思う。リーグ優勝を成し遂げたクラブのうち、全てのクラブがリーグ優勝でユニフォームに星を付けている。

しかし、J2優勝で付けるのはいいのか?という議論がある。

具体例で言うと、湘南ベルマーレはJ2優勝した際にユニフォームへ星を付けた。

この場合、何が問題なのか。

J2優勝は確かに一つの結果である。ただそれはあくまでJ1でのタイトル獲得までの通過点であり、そこを誇らしく星を付けて良いのか?という論点だ。

それこそ、J1⇔J2の昇降格を繰り返すエレベータークラブ(不名誉な称号だ)が星を積み重ねることとなってしまう。果たして、そのJ2優勝の星だらけユニフォームは誇らしいものなのだろうか?という観点がある。

さすがに、J1優勝の星を並べている鹿島や横浜F・マリノスとJ2優勝の星は同格ではない。(なお、後に湘南側は星を変更。J2優勝した際の星を無くし、1994年天皇杯、1996年アジアカップウィナーズカップ、2018年ルヴァンカップの優勝に限定して星をつけた)

また、J2ではなくJ1でも物議を醸した事例がある。2004年2ndステージ優勝で浦和が星を付けたのだ。これは当時、かなり物議を醸した。

・この年、年間優勝はチャンピオンシップで横浜F・マリノスにPK戦の末に逃した
・年間優勝のタイトルは掴めなかったにもかかわらず、ステージ優勝だけで星を付けた
・2003年のナビスコカップ(当時)で浦和が優勝した際は星を付けなかった
・ナビスコカップ優勝よりステージ優勝の方が、価値があるとして星を付けた

こういった他サポーターからの指摘や批判に対し、浦和サポーター側の反論は主に以下の2点だった。

・Jリーグ側で、星を付ける基準は明確化されていない。付ける・付けないは自由
・クラブ側は「ステージ優勝として星を付けた」と明言しているが、一部サポーター側は「年間最多勝ち点の証」という解釈をしているので納得している

またこの反論に対しても、

「星を付けるのは各クラブの自由とはいえ、過去のステージ優勝で鹿島や広島は星を付けていないし、そんな星を付けているのは浦和だけ」
「年間最多勝ち点は事実だが、同じく2000年の柏等も2004年浦和と同様に、“年間最多勝ち点獲得も年間優勝を逃す”という状況で星を付けていない。年間最多勝ち点で星を付けているのは浦和だけ」

と、また紛糾することとなったのを覚えている。

さすがに無理筋だと自覚したのか、浦和側はこの2004年2ndステージ優勝の星は無くし、今ではACL優勝とリーグ優勝のみの星を付けている。

また、2016年の「年間最多勝ち点を獲得したが、優勝できなかったシーズン」でも星を付けていない。

個人的には、前述のJ2優勝で星をつけた湘南同様、当時の浦和フロントがやらかしてしまい、刷新されたフロント陣で過去の変な解釈を訂正した、という形と認識している。

2.ルヴァンカップ

「星を付けるのはリーグ優勝かアジアタイトルのみ」原理主義の人達からすると、カップ戦優勝で星を付けるのはNGであり、御法度という認識だ。

その根拠としてはシンプルに以下の通り。

カップ戦優勝は「CUP WINNER」である。

リーグ戦優勝は「CHAMPION」である。

両者は明確に異なり、ユニフォームに付ける星は「CHAMPION」の時だけ付けられる、という理論だ。

(では、なぜカップ戦であるACLで優勝したら星を付けて良いのか?という疑問もでるだろうが、ACLは「AFC CHAMPIONS LEAGUE」なので、各国CHAMPIONが集まったリーグ戦であるから、通常の国内カップ戦とは異なる、という解釈だ。)

また、上記解釈以外の補足をするならば、ルヴァンカップは常にレギュレーションが変わる大会だ。

年によってグループリーグ開催もあれば、全て一発勝負のトーナメント開催の場合もある。

育成年代の選手を起用しなければならない等、出場選手の縛りも存在し、かなり実験的な部分も含んだ大会であるため、大会の価値として「一段落ちる」と認識する人自体は一定数存在する。

さらに言えば、海外サッカーも見てる人ならわかると思うが、カップ戦自体が廃止になる可能性もある。近年でもフランスでカップ戦のクープ・デゥ・ラ・リーグが廃止された(もう一つの国内カップ戦クープ・デゥ・フランスは残存)。

さすがにリーグ戦は廃止にならないが、カップ戦は廃止の可能性があるため、その場合、ユニフォームに過去のカップ戦優勝の星を残し続けるのか、という議論もある。

そういった上記の諸々を踏まえると、「星を付けるのはリーグ優勝かアジアタイトルのみ」という原理主義に行き着くのも一定程度理解はできる。

この考えで通している主なクラブは、横浜F・マリノス、FC東京、清水エスパルスだ。

F・マリノスはリーグ優勝時の星しか付けていないし、FC東京はルヴァンカップ(+ナビスコカップ)、天皇杯を制しているが星を付けていない。清水はルヴァンカップ(+ナビスコカップ)、天皇杯、アジアカップウィナーズカップを制しているが星を付けていない。

3.天皇杯

天皇杯は1921年に初開催。

日本サッカー界で相当な歴史があり、それこそ1993年にスタートしたJリーグよりも遙かに歴史がある。

一方、Jリーグ開幕以前の1921~1992年の天皇杯優勝実績は考慮されず、各クラブはどこも星を付けていない。

Jリーグと旧日本リーグは別物であるため、1992年以前の優勝実績の星を付けないのは理解できる。1992年以前に古河電工(現・ジェフユナイテッド千葉)、ヤンマー(現・セレッソ大阪)、日立製作所(現・柏レイソル)等々が優勝しているが、クラブ名も変わっているので、「あの当時優勝したクラブと今のクラブは別物」と線引きして区切るのも理解できる。

一方、1993年以降の話で言うと、「星を付けるのはリーグ優勝かアジアタイトルのみ」原理主義の人達からすると、古くからの伝統がある天皇杯でも、優勝して星を付けることは認めがたいという形だ。

例えば2020年はコロナ禍のため、感染防止の観点から規模を大幅に縮小して開催。

J1ではたった2クラブ(川崎フロンターレとガンバ大阪)のみ参加。しかも準決勝から参加のため、2回勝てばタイトル、という例年より遙かに容易に優勝できる仕組みだった。

これだけレギュレーションが違う形になっても等しく星を付けていいのか?という批判も当時、川崎とG大阪以外のサポーターが挙げていたのを覚えている。

なお、ルヴァンカップとどちらが重いかどうかの議論はあまりなく、それこそ「天皇杯優勝で星を付けるが、ルヴァンカップ優勝では星を付けない」というクラブは存在しない。

4.アジア

ACLことAFCチャンピオンズリーグ。

Jリーグ優勝と同格、もしくはそれ以上と認識するサッカーファンもいるほどの価値がある大会だ。

そのため、ACLを制した浦和レッズ、ガンバ大阪、鹿島アントラーズは当然、ユニフォームに星を付けている。

しかしここで大きな論点がある。

ACL優勝で星は付けているが、その前身のアジアクラブ選手権優勝では付けていない。

具体的には1999年、アジアクラブ選手権で優勝したジュビロ磐田。

テヘランの地で完全アウェーの舞台ながら勝利をおさめ、1993年Jリーグ発足後、唯一のアジアクラブ選手権優勝を成し遂げたJクラブである。

(さらに言えば、1998-99、1999-00、2000-01と3年連続で決勝進出を成し遂げた前人未踏のアジア最強のクラブだった)

個人的には、これは一番の問題と認識している。

ACLとアジアクラブ選手権は同格であり、優勝の難易度も同等。

大会の価値として星を付けるに相応しいものだが、磐田は星を付けていない。

この長年の疑問について、超古参の磐田サポーターの方に聞いた際の回答は、以下の通りだった。

「クラブもユニフォームに星を3つ(Jリーグ優勝)しか付けてませんし、(アジアクラブ選手権優勝を)伝承する気もないようです」
「もっとも、現場のサッカーの方針すらまともに持ってないので、歴史をどう扱えば良いのかなんて考えてないと思われます」

これは本当に残念なことである。

もちろん、仕方ない部分もあり、上記のやりとりの際、さらに質問もしたが、以下の通り。

「あの当時(1999年頃)のアジアクラブ選手権でテヘランやリヤドまで行った人で、今のヤマハスタジアムにも足を運んでいる人はどの程度いらっしゃるのか?」

「サポーターも世代交代して、かなり少ないと思います。2004年、2005年のACLに行っていたサポーターすら、今も毎試合行っている人は少ないのではないか」

何十年の歴を持つサポーターですら世代交代により、90年代や2000年代のアジアクラブ選手権、ACLでの海外アウェーを経験した人達が既に現場を離れているとなると、もっと在籍・離籍サイクルの早いクラブフロントスタッフでは、あの当時をリアルタイムで経験した人はもはやほぼ残っていないのだろう。

となると、1998-99のアジアクラブ選手権優勝で星を付けていないことにクラブ内で疑問が出ることもないし、付ける価値を感じていない、ということとなる。

サポーター側も、古参の方々はどんどん減る一方で、アジアクラブ選手権の存在を全く把握していない新規サポーターが逆にどんどん増える一方なことを踏まえれば、おそらく、磐田がアジアクラブ選手権を優勝したことの価値は忘れ去られて行く運命なのかもしれない…。(これは悲しい!)

なお、アジアクラブ選手権とは別に、ACLの前身の一つと言えるアジアカップウィナーズカップ、こちらも1993年以降では横浜F・マリノス(1992-93)、ベルマーレ平塚(1995)、清水エスパルス(1999-00)の3クラブ(+横浜フリューゲルス)が優勝を成し遂げているが、こちらについては、F・マリノス以外はユニフォームに星を付けている。

感想

以上、リーグ、カップ戦、アジアと様々なカテゴリーにおいて星を付けるか付けないかの論点を列挙してみたが、改めて、星の有無でここまで語れるというサッカー界の面倒くささを強く感じる。

最後まで読んでみて、

「星一つでこんなにグダグダ語る熱量、別のことに活かせよ」
「ユニフォームの売上げ増加材料でしかないんだし、そんな真剣に考えることか?」

と、呆れるのか、もしくは、

「星は先人達が成し遂げ、積み上げた偉大な功績であり、軽く考えるものではない」
「応援するクラブの歴史であり、歴史を軽んじてはならない」

と本気で考えるものなのか、あなたはどちらだろうか。

自分としては、最初に述べた通り、

「誰に迷惑かけているわけでもないし、各クラブで好きにせぇ」

ではあるものの、ここまで4000字以上に渡って熱く語っていることを踏まえると、自分でも結構こだわりがあって、色々思うところはあるんだなと客観視させられる…。

筆者:中坊(中坊コラム)

1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2025年終了時点で1,029試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
中坊コラム:https:note.com/tyuu_bou X:https:x.com/tyuu__bou

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